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テクノロジーの理解は現代人の必須条件になった『テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」』【読書ログ#56】

『テクノロジー思考 技術の価値を理解するための「現代の教養」』(蛯原健)

テクノロジー思考とは?

本書の題名にもなっている『テクノロジー思考』とは何か? 著者は以下のように定義している

近年において世界のあらゆる事象、組織、そして人間にテクノロジーが深く関与し、また支配的な存在として強い影響を与えている事実に焦点をあてた、新しい思考アプローチ

頭の良い人は、表現を正しくしようとするあまり、正しいのだろうけどかえってわかりにくいよ、といった表現をしてくるが、この著者もそっち方面だ。

ようするにテクロジー中心で世界が動いており、テクノロジーが生み出すイノベーションが世界を次々と作り変えている。ということを認識しておけということだ。

下記に当てはまる人は、この本を読んで考えを改め、認識をアップデートしたほうがよい。

・インターネットが成長産業だと思っている
・インターネット外の仕事なのでテクノロジーやイノベーションは関係ない
・投資行為をコストだと思っている
・中国を侮っている間に中国で何が起こっているのかわからなくなっている
・インドにはカレーしかない

当てはまらない人も、知ってるようで知らないことが多いので、知識を整理するために読んだほうが良い。

あまり認識されていないが、インターネット産業の成長は、2017年をピークにマイナスとなっている。現在は『モビリティ』や『ヘルスケア』といったリアルでフィジカルな産業に対して、スタートアップへの投資が行われている。

その中心にいるのは、残念ながら日本ではなく、アメリカやそれを追い上げる中国、世界中にテクノロジストを供給するインドだ。

これらの事が理解できない人や組織、国には、もはや正しい意思決定は望めない。長期的に生き残っていくことも難しくなってしまう。

著者はこう言い切る

イノベーションは現代における金科玉である。これに取り組まないものは無能、または悪である。

そこまで言うか、という感じだけど、まちがってはいない。

個人のレベルでも最低限のテクノロジー思考を持たないと、今の世の中で何が行われているのかが見えないし、この先の動きも理解できない。成長産業を理解できないし、イノベーションにかかわることが出来ない。

そういう意味では、この本に書かれている内容は基礎的な知識として頭に入れておきたい。

ちなみに、本書を読むなら、タイミングは今がベストだ。この本が網羅している情報は、現在と直近の未来を理解するうえで非常に重要だが、賞味期限はおそらく短い。世界は猛烈なスピードで変わり続けている。今このタイミングで読むべき本だろう。

本書のターゲットは幅広いが、過去の成功体験で生きているような40代半ばくらいの人が本書を一番必要とする世代かもしれない。(世代でくくるのは嫌いだし意味がないとは思うけど)

それくらいの年代って、インターネット黎明期を経験してきた自負と、多少の成功体験という少なくない貯金にしがみついていて、じつは、知識のアップデートをさぼっているような人が多い印象がある。

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