見出し画像

毎日読書#237 『太陽は地球と人類にどう影響を与えているか』(花岡庸一郎)

子どものころは、宇宙や化学が大好きで、子供向け科学雑誌の『コペル21』を定期購読し、毎月楽しみに読んでいるような子供だった。

わたしは1975年生まれなのだけど、そのころって、子供向けの宇宙本が沢山出ていたような気がする。

家庭用コンピューターも普及しはじめていたし、科学分野に対する期待や憧れというものが強かった。色々な事にわくわく出来て楽しかったな。

宇宙開発もまだ盛んな頃で、1977年に打ち上げられたボイジャー1号は、当時、子供達のハートを鷲掴みにしていたはず。

ボイジャー1号ってのはNASAが打ち上げた無人探査機で、打ち上げから二年後に木星に到着、写真をパシャパシャとりつつ、木星の重力を使って土星へ向かい、翌年に土星へ、その後は地球に戻らず、太陽系の外をめがけてすっ飛んでった。

Wikipediaをみると、すでに太陽圏は抜け出して、星間空間を飛んでいるそうな。すごいなー。

子どもの頃に読んだボイジャー計画を紹介する記事では、もし人類が絶滅していても、太陽が巨大化して地球を飲みこんでも、ボイジャーは地球人のメッセージを載せて宇宙を飛び続けているでしょう。みたいなことが描いてあって、何十億年も先におこる事を想像して震えたりしていた。

とにかく天文学ってのは大きさも距離も時間もスケールが大きくて、話の大きさにワクワクした。

天文学にかかると、我々にとっては存在感の大きい太陽ですら、夜空に輝く恒星の一つでしかない。しかも、わりと小粒な存在だという。

いまだと、こんなビデオもあっていいね。試しに娘にみせてみたら、割とちゃんと驚いてくれた。

これをみちゃうと、太陽ってちっさいなぁ。地球はさらにちっさいなぁと、宇宙の計り知れないスケール感に圧倒される。ワクワクする。

天文学というのは、扱っているもののスケールが途方もない。巨大な恒星、それらの恒星が何十億とあつまる銀河、さらにそんな銀河が何十億とある。ブラックホールも理屈ではわかっても、話のスケールが大きすぎて、どこか、遠い宇宙の話でも聞かされているような気持ちになってくる。

そういった天文学の範疇での話を聞くことが多かった我らが太陽だけど、ご近所なだけに、地球への影響という視点で見ていくと、様々なトピックが有るらしい。本書では、地球のエネルギーの99.9を担い、生命を温かな環境で育んでくれる太陽について、地球や人類に対して、どのような影響をあたえてきたのか、という視点で様々なトピックを紹介してくれている。

目次はこんなかんじ(Amazonから引用)

まえがき
第1章 「変わる太陽」と「変わらぬ太陽」
1・1 「変わる太陽」の発見
1・2 黒点と太陽面爆発
1・3 爆発で太陽はものも放出する
1・4 X線と電波で見た太陽
第2章 なぜ太陽面で爆発が起こっているのか
2・1 磁場は爆発のエネルギーをためる
2・2 磁場は爆発を起こす
2・3 黒点やフレアは他の星にもある
第3章 脅威の太陽
3・1 太陽面爆発と電離層
3・2 磁気嵐のもたらす災害
3・3 高エネルギー粒子の脅威
3・4 現代社会に太陽はどれだけの災害を起こすのか
3・5 スーパーフレア
第4章 「変わらぬ太陽」は本当に変わっていないか
4・1 「変わらぬ太陽」の変動
4・2 太陽風と銀河宇宙線
4・3 太陽活動と気候は関係あるのか
第5章 太陽活動の地球への影響はどう議論されているのか
5・1 太陽の明るさは変わっている
5・2 太陽活動の変動は磁場の変動
5・3 正しい太陽活動を理解する
あとがき

本書は、太陽の恒星としての話よりも、太陽やその活動が人類にどのように影響をあたえてきたか、という事を詳しく教えてくれる内容だ。

太陽ってのは、大昔から変わらず地球に光を照らしてきた。しかし、人間による長年の観察により、ただそこにあるだけの存在ではないということが分かってきた。

太陽の活動が、いかに人間の生活に大きくかかわってきているか。そのことを本書は丁寧に紹介してくれる。

あまりなじみがなかった太陽物理学という世界に連れて行ってくれる良書だと思う。おススメ!

本書が平積みになっていたのは、やはり例のウィルスのネーミングの元になっているから?


この記事が参加している募集

読書感想文

「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。