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毎日読書#191 『PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(ローレンス・レビー)

書店に並んでいるときから気にはなっていた。

なので、KindleのPrimeブックスのレコメンドコーナーで、本書が紹介されているのを見かけ、一目散でダウンロードをした。

でも、あまり気が進まず読んでいなかった。バイオリズムが、ずっと文芸モードだったのかもしれない。

先日、満員電車で物理的に本が広げられない格好となった。それならばとスマホでKindleを開いたときに、ライブラリで本書が目立っていたので、いっちょ眺めてみようかと斜め読みをしていたのだけど、内容が想像以上に面白く、結局、斜め読みをあらため、最初から読み、そしてそのまま読了してしまった。

いやぁ、面白かった。アメリカのビジネスシーンでトップランナー張ってる人たちはやっぱり面白い。そして、お金がらみの話は面白い。

翻訳本なんだけど、へんな癖の無い翻訳で読みやすく、2時間位で読み終える事が出来たよ。(私は速読が出来ません)

『PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話』(ローレンス・レビー)

本書は、みんな大好きピクサーアニメーションスタジオのサクセスストーリーなのだけど、スティーブ・ジョブズでもなく、ジョン・ラセターでもない、財政面を支えたCFOからみた物語になっていて、そこがユニーク。

物語は、トイストーリーが世界を席巻する前の、ちょっとぎくしゃくした、でも夢と希望に溢れたピクサー社に、著者であるローレンス・レビーがCFOとして参加するところから始まる。

ピクサーのサクセスストーリーは、世の中に、山ほど紹介されている。

本も沢山出ている。

スティーブジョブズの伝説はもはや神話のように語られているし、ジョン・ラセターは醜聞も含めメディアを賑わせている。

クリエイティビティに溢れたオフィスは、世界中のメディアに取材されており、クリエーターたちのあこがれの的になっている。

そして、世界中の子供たちを熱狂させた映画の数々。どれも素晴らしい作品でうちの子供達も大好きだ。

そんなクリエーティブの理想郷のようなピクサーを、この本は、経営や戦略、会計といった、違う視点から眺めているのだけど、そのことによってあぶりだされるエピソードは、今まで私たちが見てきた物語とは違うリアリティがあり、これが面白かった。

トイストーリーが大ヒットする以前のピクサーは、毎月ジョブズの個人資産から小切手を切ってもらい、そのお金で赤字を埋めるような状態だった。(その総額は五千万ドル近くまで膨らんでいた! ジョブズ凄いな)

従業員はストックオプションをもらえず不満たらたら。

赤字は毎年何百万ドルと増えていく。

それなのに、だれも会社の方向性を定めておらず、ただひたすら売れるのかわからない長編アニメーション(トイストーリーだ)を作っていた。

今のピクサーを知るひとなら、この問題だらけのピクサーが、遠くない将来、とんでもない成功をすることはご存じだと思う。はたしてその裏でどんな戦略が立てられ、どんな意思決定が行われ、どんな人たちが活躍したのか。これが面白くないわけがないのですよ。

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