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SDカードのスピードクラスとは?

一言で言えば…

データの書き込み速度を示す基準のことです。これにより、SDカードがどれくらいの速さでデータを書き込めるかがわかります。

スピードクラスには、「スピードクラス」、「UHSスピードクラス」、「ビデオスピードクラス」および、「SD Expressスピードクラス」の4種類があります。

SDアソシエーション

以下はSDアソシエーションという、SDカードの業界標準を定めている規格団体のHPから引用したものです。

フラッシュメモリーなどのストレージデバイスは、一般的に書き込み速度にばらつきがあり、大きなバッファを用いることでばらつきを平均化できますが、確実性の点で不安がありました。

放送・ストリーミングコンテンツなどを確実に録画し続けるには、バッファサイズや書き込み速度に対する規定が必要となります。すべてのスピード クラスは、規格で定義された条件下でマルチストリームアクセス(SD Expressスピードクラス規格対応)を含む、最低限のシーケンシャルカードアクセス性能を保証します。

これはビデオ録画やその他のアプリケーションにとって最も重要です。 また、シーケンシャル アクセス性能の最低保証速度を必要とするRead/Writeアプリケーションにも適用できます。

SDアソシエーションHP

スピードクラスが4種類も生まれた背景

なぜ4種類もスピードクラスがあるのでしょうか?それは技術発展に伴って、扱うデータの種類とデータ量が変化してきたためです。

メモリが開発された初期には、スタンダードビデオ(640×480ピクセル)が主流でしたが、その後にHD/フルHDビデオ(1920×1080ピクセル)が標準となりました。

現在では、4Kビデオ(3840×2160ピクセル)8Kビデオ(7680×4320ピクセル)も登場しており、さらに扱うデータ容量が増えてきています。

今後も技術革新によって、新しいスピードクラスが生まれてくる可能性は大いにあるでしょう。

SDスピードクラス一覧

各スピードクラスの詳細

ここでは、4種類のスピードクラスについて詳しく説明します。

1.スピードクラス

各スピードクラスの表記(一番左が標準的なスピードクラス)

スピードクラスは、1秒あたりの最低保証書き込み速度を示すもので、以下のように分類されます:

  • Class 2: 最低2MB/秒の書き込み速度

  • Class 4: 最低4MB/秒の書き込み速度

  • Class 6: 最低6MB/秒の書き込み速度

  • Class 10: 最低10MB/秒の書き込み速度

これらのクラスは、標準的なビデオ録画や写真撮影に適しています。例えば、フルHD動画を撮影する場合、Class 10のカードが推奨されます。

2.UHSスピードクラス

各スピードクラスの表記(左から2番目がUHSスピードクラス)

UHS(Ultra High Speed)は、標準的なスピードクラスより高い書き込み速度を提供する規格で、以下の2つのクラスがあります:

  • U1: 最低10MB/秒の書き込み速度

  • U3: 最低30MB/秒の書き込み速度

UHSスピードクラスは、4K動画の録画や高速連写が必要な場合に適しています。なお、保証速度を発揮するには、SDカードと使用機器の両方がUHSスピードクラスに対応している必要があります。

3.ビデオスピードクラス

各スピードクラスの表記(左から3番目がビデオスピードクラス)

スピードクラスやUHSスピードクラスと同様に最低速度を保証する規格です。4K、8Kなどの高画質・高品質映像記録の要求に応える規格として策定され、3D NANDなどの次世代フラッシュメモリーにも対応しています。2024年6月現在、以下の5つのクラスがあります:

  • V6: 最低6MB/秒の書き込み速度

  • V10: 最低10MB/秒の書き込み速度

  • V30: 最低30MB/秒の書き込み速度

  • V60: 最低60MB/秒の書き込み速度

  • V90: 最低90MB/秒の書き込み速度

これらのクラスは、4Kや8Kの超高解像度ビデオ録画に適しています。

4.SD Expressスピードクラス

各スピードクラスの表記(一番右がSD Expressスピードクラス)

SD Expressスピードクラスは、SDカードの最も新しい規格で、2023年10月に発表されました。このクラスは、特に高速なデータ転送を必要とするアプリケーションに対応するために開発されました。

SD Expressは、SDカードにPCIe(PCI Express)とNVMe(Non-Volatile Memory Express)インターフェースを追加することで、従来のSDカードに比べて大幅なスピードアップを実現しています。
2024年6月現在、以下の4つのクラスがあります:

  • E150: 最低150MB/秒の読み込み/書き込み速度

  • E300: 最低300MB/秒の読み込み/書き込み速度

  • E450: 最低450MB/秒の読み込み/書き込み速度

  • E600: 最低600MB/秒の読み込み/書き込み速度

単に速度以外にも、電力や温度管理に関しても規定されているので、興味ある方はこちらのホワイトペーパーを読んでみて下さい。

各スピードクラスと対応する画素数

各スピードクラスと対応する画素数の範囲は以下のようにまとめられます。

標準スピードクラス、UHSスピードクラス、ビデオスピードクラスと対応する画素数
SD Expressスピードクラスに対応するビデオ録画形式

ホストデバイスとカードの組み合わせ

メモリカードのスピードクラスは、ホストデバイス(PCやゲーム本体など)のパッケージやマニュアルに表示されています。これにより、最高画質や選択可能な画質で記録するためには、同等かそれ以上のパフォーマンスを持つカードを使用する必要があります。

例えば、ホストデバイスがスピードクラス4のSDメモリカードを要件としている場合、スピードクラス4、6、または10のSDメモリカードを使用することができます。

しかし、異なるマークの組み合わせでは、期待する書き込みスピードが得られない場合があるので注意が必要です。例えばClass10、U1およびV10では、同じ10MB/secの書き込みスピードを示していても、実際には速度が異なる可能性があります。

このため、ユーザーはホストデバイスの要件に合わせて最適なスピードクラスのメモリカードを選ぶことが重要です。これにより、デバイスの性能を最大限に引き出し、最高画質での記録が可能となります。

Nintendo Switchの使用において最適なSDカードは?

Nintendo Switchの公式サポートには、UHS-I、読み込み速度60~95MB/sのマイクロSDの使用が推奨されています。

ちょっと紛らわしいのですが、UHスピードクラスU1とU3のいずれでもUHS-Iに該当します。以下にSDアソシエーションの原文を記載します。

バスモードに関しては、メモリライト性能に影響しないレベルの高速なバスモードが使用される必要があり、C10はハイスピードモード以上、U1, U3は、UHS-Iモード(SDR50/DDR50)以上、V60/V90はUHS-IIモード、そしてE150/E300/E450/E600はSD Expressのバスモードで使用されます。

映像記録用のSD規格 ーSDアソシエーション

つまり、Nintendo Switchの使用には、最低でもU1以上のスピードクラスが望ましいことが分かります。

ただし、UHS-IIにはNintendo Switch側が対応していないので、V60、V90のSDカードの使用は意味がありません。

※UHS-II(Ultra High Speed Phase II)規格には対応しておりません。microSDカード自体は使用できますが、UHS-II規格の読み込み速度でご使用いただくことはできません。

Nintendo Switch公式サポート

このことから、以下の結論が導かれます。

Nintendo Switchの使用には、U1~U3のUHSスピードクラスあるいはV10~V30のビデオスピードクラスに対応するマイクロSDカードが最適である。

まとめ

スピードクラスは、SDカードの性能を示す重要な指標です。用途に応じた適切なスピードクラスを選ぶことで、動画撮影やアプリケーションのパフォーマンスを最適化できます。

また、ユーザーはホストデバイスの要件に合わせて最適なスピードクラスのメモリカードを選ぶことが重要です。

みなさんも、SDカードを使う際には、デバイス側が対応している要件に合わせて、適切なSDカードを選んでみて下さい。

参考文献

https://www.sdcard.org/pdf/SDExpressSpeedClassSD9_1Specification.pdf


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