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【注目ニュース】2023年の半導体製造装置の販売額は1063億ドルで前年比1.3%減

発表日時:2024年4月10日

概要

国際的な半導体装置の業界団体であるSEMIは2024年4月10日(米国時間)、半導体製造装置(新品)の2023年世界総販売額が約1063億米ドルになったと発表しました。この数字は、2022年の約1076億米ドルに比べて1.3%減少したものです。地域別では、中国が首位であり、韓国と台湾とともに世界市場の72%を占めています。

SEMIは、日本半導体製造装置協会(SEAJ)と共同で、両方の会員企業から提出されたデータを基に、月次販売統計レポート「世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)」をまとめています。

地域別の半導体製造装置の販売額を見ると、中国は2022年比29%増の366億米ドルとなり、世界最大市場として維持されています。一方で、2位の韓国は前年比7%減の199億4000万米ドル台湾も27%減の196億2000万米ドルと大きく落ち込んでいます。

北米はCHIPS法による投資が貢献し、前年比15%増の120億5000万米ドル欧州は同3%増の64億6000万米ドルとなりました。しかし、日本は同5%減の79億3000万米ドルと減少しました。

装置分類別の販売額では、ウエハープロセス用処理装置が1%増その他前工程装置が10%増となりました。一方で、組み立ておよびパッケージング装置は30%減テスト装置は17%減と大きく落ち込んでいます。

SEMIのプレジデント兼CEOであるAjit Manocha氏は、「世界の装置販売額は若干の落ち込みとなりましたが、主要地域における戦略的投資に後押しされて半導体産業は依然として力強さがみられます。総合的にみて、2023年は半導体業界の観測者による多くの予測を上回る結果となりました」とコメントしました。

2022-2023年半導体製造装置市場(地域別、単位10億米ドル)(引用元

解説

引き続き中国が半導体製造において米国依存脱却に向けて動いています。あまり知られていないかもしれませんが、CHIPS法が輸出を禁じている最先端半導体の定義はおおよそ以下のようなものです。

  • 最先端半導体は、5ナノメートルプロセス技術以下のプロセス技術を使用して製造されるものである。

  • 最先端半導体には、プロセス技術が製造されるチップまたは回路に直接適用されるシリコンウェーハの厚さが90ナノメートル以下であるものが含まれる。

  • 最先端半導体には、ディスクリートまたは集積回路、およびその他の半導体デバイスが含まれる。

したがって、5 nm以下の半導体製造装置であれば問題なく輸入できるため、現在はこれらの最先端半導体に引っかからないラインで様々な装置を輸入し、中国国内で最先端向けに研究開発を行っている段階と予想されます。

中国は引き続き大きな市場であるため、今後CHIPS法による上記定義が変わって、さらにレガシー装置にまで規制が及ぶと装置の売り上げが下がると市場がシュリンクすることになります。

日本のDRAM全盛期時代に、米国から圧力が掛かった過去もありますし、科学技術の発展が政治的な圧力で妨げられることは避けて欲しいですね。

参考文献

2023年世界半導体製造装置販売額は1,063億ドルに減少 | SEMI

半導体製造装置の販売額、2023年は1063億ドルで前年比1.3%減:台湾も大きく落ち込む - EE Times Japan (itmedia.co.jp)


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