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【基礎用語解説】トランジスタ

トランジスタ(Transistor)は、電気信号の増幅およびスイッチングの機能を持った半導体素子です。

例えばラジオは特定の周波数を合わせると、音が聞こえてきますが、これは空気中を伝わってきた極めて微弱な信号を拡大(増幅)してスピーカーを鳴らしています。

トランジスタの基本機能イメージ(引用元

トランジスタという単語は、「伝達(Transfer)」「抵抗(Resistor)」を組み合わせることで出来た造語であり、電気の流れを制御するという意図で使われ始めたそうです。

集積回路の多くは微細なトランジスタの集合体であり、その基本となっていることから、その構成と原理を理解することはとても重要です。

トランジスタの構成および動作原理

上記の機能を実現するために、トランジスタはどのような構成になっているのか見ていきます。

トランジスタはp型半導体とn型半導体を3層組み合わせた構成になっています。具体的な組合わせとしては、p-n-n形n-p-n形があり、左からコレクタ(C)、ベース(B)、エミッタ(E)と呼ばれます。

トランジスタの基礎構成(引用元

n-p-n形を例に挙げて、その動作原理を説明します。以下の図において縦2本線の記号は電源を意味しています。

n-p-n形トランジスタの構成と動作原理(引用元

右側のベース-エミッタ間に順方向電圧(VBE)を掛けると、エミッタ内において電荷の偏りが発生します。

まずエミッタの右側に注目すると、電源のマイナスにつながっているため、エミッタ内の自由電子が反発して、電子が左側(ベース側)に向かって移動します。これは逆説的にエミッタの右側に正孔が移動したことを意味します。したがって、エミッタにおいては左側に電子、右側に正孔が集まったわけです。

次に、エミッタの左端にたどり着いた自由電子は、ベース側に流出します。その後、電子はベースから抜け出すもの(下側)コレクタ側に流れるもの(左側)という2つの経路に分岐します。

さて、どちらに多く流れるでしょうか?

答えは、多くの電子は素直にコレクタ側に流れ出します。

理由は、ベースが非常に薄い構造を持っているため、ベースの下方向に抜け出す量は少なく、想定的に横方向に流れる量が多くなるためと考えてください。

このように流れ出る電子の量に偏りが生まれました。電子の流れと反対向きに電流が流れるので、図の緑字で書かれているベース電流IBはコレクタ電流ICよりも小さくなります。

n-p-n形トランジスタの構成と動作原理(引用元

さて、これは見方を変えると、「非常に小さなベース電流を流すと、より大きなコレクタ電流を流すことができる」ことを意味します。
これが増幅作用です。

それでは具体的には、どの程度の増幅が可能なのでしょうか?

答えは、「コレクタ電流はベース電流の100倍の電流」を流すことができます(以下の図参照)。

ベース電流とコレクタ電流の関係(引用元

ただし、このベース電流とコレクタ電流の関係は永遠には続きません。
さらにベース電流を増加させると、ある値を超えたところでコレクタ電流は増加しなくなります。この現象を飽和と言います。

ベース電流とコレクタ電流の関係続き(引用元

この飽和現象を利用することで、電流のオンとオフの切り替えを行う、スイッチング作用が生まれるわけですね。

このようにトランジスタはn型とp型を組み合わせた3層構造によって、電気信号の増幅とスイッチングを実現しています。

参考文献

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