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ギャグ・4コマ漫画千冊 157〜169冊目 『川柳少女』 全13巻 感想


『川柳少女』講談社 五十嵐正邦

『週刊少年マガジン』にて、2016年10月から2020年4月まで連載された4コマ漫画である。最近、川柳に興味が湧いていたし、しかも4コマ漫画も読みたいと思っていたところ、ちょうどぴったしの漫画を見つけたと手に取り、読んでみた。

恥ずかしがりやな元ヤン・毒島エイジと、短冊に川柳を書いてコミュニケーションを図る少女・雪代七々子の相思相愛である二人が、いつ、どっちから告白するのかをドキドキして眺めるラブコメ漫画となっている。序盤からもう二人はイチャイチャしているので、私は、もう二人付き合っちゃえよいとずっと思ってしまっていたが、はっきりと恋人同士になるのは最終巻で、焦らしに焦らされた。付き合っちゃったら話が終わるから、当然といえば当然ですが。二人は高校で文芸部に入り、そこでアマネ部長、キノッティ、タオ、琴姉などと出会い、イチャイチャ高校生活を送っていく。アマネ部長は内緒で小説家として活動している。キノッティは七々子と似ていて、直接しゃべらず、スケッチブックに描いたイラストでコミュニケーションを図る、秋葉カンペーさんみたいに。タオは天才JK占い師である。琴姉はエイジのニ個上の幼馴染で、アメリカ式軍隊格闘部に入っており、くびれ巨乳の美女。過激な下ネタをしれっと放つ。あとは、エイジを好きな五町(こまち)という文学少女も登場する。七々子の恋敵である。とにかく、いろんなタイプのカワイイ女の子がキャピキャピしていて、際どいポージングを取ってくれたり、コスプレしてくれたり、おっぱいの形がしっかり描かれていたりと、サービス精神が感じられる絵面になっていますね。作者もカワイイ女の子を描きたいという思いを隠しておりません。自称・硬派なおじさんである私は、女の子キャラが過度にエッチに描かれていて、男性読者に媚びた感じの漫画が苦手なんですが、この漫画は素直にカワイイ少女を描こうとしているんだなと思えたので、なんだか嫌な感じはしませんでした。なんででしょう。

正直、短冊に五七五を書くことでしか会話できない七々子、元ヤンで口下手なので肉体言語でしか語れないエイジ、スケッチブックにイラストを描いて会話するキノッティ、小説で用いられるレトリックでしか会話できないアマネ部長、下ネタでしか会話できない琴姉、占い結果を伝えることでしか返答できないタオ、文学の引用でしか会話できない五町みたいなキャラ設定になって、若者がうまく他者とコミュニケーションを取れないことをテーマにしたギャグ漫画になるのかなと思ったんですが、そうだと面白いと思ったんですが、違ったようです。キャピキャピのラブコメでした。『川柳少女』というタイトルを見て、川柳についていろいろ知ることができるのかなと期待して買って読んだのですが、まったく異なる内容なのでビックリしました。よく調べない私が悪かったですね。

ただ、とても感心した箇所がありまして、最終句、最後の最後、七々子とエイジが桜の木の下にいる場面で、七々子は、エイジに対する想いを二人の名前を入れた川柳で表しました。その直後にENDとなり漫画が終わるんですが、『川柳少女』というタイトルにふさわしいですし、ちゃんと川柳で締めたのは、とても潔いなと感じました。私には句の良し悪しはわかりません。しかし、終わりよければ全てよし、なんでしょうか、きれいな形で落着したなと思います。句を引用しないので、気になる人は漫画を読んでみて下さい。苦手なイチャイチャラブコメなのに、嫌悪感を抱かなかったのは、こういうところに表れている作者の潔さ、素直さのおかげなのかもしれませんね。

とまあ、『川柳少女』を読んできましたが、自分の守備範囲外の漫画を読んでみると、発見が意外とあるもんですな。引き続き、千冊に向けて読んでいきたいと思います。それでは、また次回。え、お前は最後に川柳で締めないのかって?私にそんな潔さなんてないのでありまして、今まで姑息に生きて参りました。またお目にかかります。

おじさんが
ラブコメ読んで
退散だ

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