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ギャグマンガ・4コママンガ千冊 138〜151冊目 『かってに改蔵』 新装版 全14巻 感想


『かってに改蔵 新装版』小学館 久米田康治

1998年から2004年まで『週間少年サンデー』にて連載されていた作品の新装版を読んだ。高校の同級生が全巻持っていたのを思い出し、今回読んでみようと思った。

身体を改造されたと思い込んでいる男子高校生・勝改蔵のもとに、あることに異常なこだわりを持つ変人たちが訪ねてきて、なんでか改蔵が張り合うという展開のお話になっている。初期は、素っ裸の変人がたくさん登場するが、第一巻に早速、アソコに尿瓶を挿したままの男が登場するが、後期あたりには、真っ裸の変人は同級生の地丹くんぐらいしか出てこなかったはずだ。しかも、地丹は完全な裸ではなく、大体白ブリーフを履いているので安心だ。ただ、大体シミがついている。幼馴染のヒロインポジションの羽美は、はじめはそんなにキャラがはっきりしていなかったが、途中からサイコや心霊を身にまとったホラーを物語に降ろしてくれるようになる。物語のはじめは、改蔵のもとに来る変人たちを笑っていたんだが、中途からは、小者感が際立つ地丹とホラー要素満載の羽美が、訪れる変人たちよりも、さらにおかしい人になっていくので、この二人が面白くなっていく。私は、地丹くんのクソ雑魚臭が好きでした。羽美ちゃんは、ちと怖くなってきてましたね。あと、彩園すずという一つ学年が上のお姉さんキャラも主要メンバーで、なんでも物を知っていて、なんでも説明してくれて、でも、なにか秘密を抱えていて、それは教えてくれないみたいなミステリアスなキャラがいます。この四人と、変人たちのやり取りというか、おかしさをてんこ盛りにしていく様が、愉快でした。

その回にテーマがあって、それに沿ってギャグが展開されていく。そのテーマについて、改蔵が例を挙げていったり、そのテーマを体現した変人が現れたりして、話が始まる。たとえば、最後っ屁というテーマなら、去り際の爆弾発言である最後っ屁にはどんなものがあるか、改蔵が紹介してくれ、それから、地丹や羽美の場合の最後っ屁エピソードはどんなものか描かれる。羽美の場合はホラーになり、地丹の場合は意地の悪い小者の話になる。地丹の場合に面白いのが多く、内弁慶で、学校でパシリにされていて、バイト先の女の子にストーカーをやっている地丹が図に乗って、マウントを取り出したときが一番おもしろくなると思う。言葉遊びからテーマがつくられていることが多く、たとえば、後の祭りという言葉があるが、実際にある人が”後の祭り”という情況になったら、どこからともなく変人が音頭を取りながら現れて、本当に祭りをやろうとする。なんかそういうのって、洒落てていいなと、私は思います。ニヤニヤしながら読んでいく感じ。知的といったら大げさですが、普段使ってない脳みそを刺激してほぐしてもらった気がするんです。『かってに改蔵』のようなギャグマンガって、日常生活で凝り固まった筋肉をほぐしてくれる、整体マッサージのようなもんなんでしょうか。こういうマンガを読んでいくことで、カチコチに固まってしまった脳みそを柔らかくし、いつしかユーモアを詰め込んだ頭で毎日の生活を送れるようになるんでしょうかね。ほんとうに改造されたのは、改蔵ではなく、読者である私たちなのかもしれません。

とまあ、上手くまとまった、というわけでもなく、かってにほざいたところで、おしまいといたします。また、次のギャグマンガに触れてみようと思います。

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