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ギャグ/4コマ漫画千冊 177〜196冊目 『ピューと吹く!ジャガー』 全20巻 感想


『ピューと吹く!ジャガー』(集英社)うすた京介

『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』でお馴染みのうすた京介による漫画であり、『週刊少年ジャンプ』(集英社)の巻末にて2000年から2010年まで連載されれいた。十年間もギャグ漫画を続けるのってスゴイYOね、頭がおかしくなりそうなもんです。ギャグ漫画千冊を目指して毎日読んでいると、正直行って、たまにベタなストーリーが恋しくなりますもんね。当時、『週刊少年ジャンプ』を読んだら、必ず最後にジャガーを読むのが一週間の習慣となっていた。だが、私は途中でジャンプを読むのを止めてしまったので、ジャガーがどう終わりを迎えたのか知らなかった。それで、今回ジャガーを再び読んでみることにした。

音楽専門学校のふえ科になぜか集ってしまった"どうかしている人たち"がハイテンションナンセンスドタバタギャグを吹き鳴らす、といった内容のギャグ漫画だ。ナンセンスでシュールとよく言われるが、かなりハイテンションであると思う。なので、読者もそのハイテンションなノリについていけないと、何が起こっているのか飲み込めないまま話が終わる。ピューと吹かれている奇抜なメロディに乗れるかどうかだ。私の場合、五話中に一話は声を出して笑いそうになり、二話はニヤニヤしながら読み、残り二話は無表情で読んで読後感も無となる、といった工合である。連載当時、今日のジャガーはどんな話かなとワクワクしながら巻末をめくり、なんの感慨も湧かずにページをそっと閉じたことが幾度あったことか。

ジャガーの好きなところは、ギャグ漫画一筋で勝負しているところだ。お涙頂戴の感動編や話を差し挟まないのがいい。よくギャグ漫画の対置である感動回を入れ、コントラストを効かせることによって、ギャグを笑いやすくしようとする演出がなされるが、私はちょっとそれが苦手で、感動回になると急に白けてしまい、その後のギャグ回も笑えなくなってきちゃうんですYO。辛い料理を食べた後に、激甘キャンディを手渡され、「これ舐めると、もう一回辛いのいけるようになるんで、ぜひどうぞ。舐め終わりましたら、料理出しますね」と言われているような感覚に陥るのである。内心は(いや、おれ普通に、辛いの食べに来てるだけなんだけどな。甘い物を挟んで無理に辛いのをたくさん食べたい訳じゃないんだけどな、もし甘い物が欲しくなったらこちらから頼むんだけど)となってしまう。ギャグ漫画ばかりを続けていると苦しくなってくるんでしょうな。冒頭で述べたように、私もギャグ漫画ばっかり読んでいると、ふと王道の物語を欲しくなります。作者も読者も同じものを摂取し続けると息が詰まるんでしょうかね。なので、ジャガーはすごいと思うんですYO。ずっと理由のわからないことをやってますから。ジャガーの場合は、辛いというより酸っぱいですかね。

キャラクターは魅力溢れる駄目人間ばかりで楽しいです。ハマーさん、ビューティ田村、高菜、ポギー、ジョン太夫、父字郎、内海マークシティなどの今で言う社会不適合者たちが七転八倒する様は滑稽です。現実世界で傍にいたら、痛々しく、見苦しく、みっともなくて見ていられないような人々です。現実だと、ドン引きしてしまうでしょう。こんな人たちと出会いたくないです。そんな人たちがこのギャグ漫画を面白くしています。やっぱ現実では笑えないことが、ギャグになるんでしょうか。「うおおーい」とツッコむピヨ彦というメインキャラが良心的存在となっております。もちろん、やはりピヨ彦もどうかしているんですが。

効果音や擬音が独特です。カタカナ英語の使い方も特徴的です。というか、カタカナとアルファベットが出てきたら大体変な感じなので、大丈夫です。うる覚えですが、「スタートゥ ハッ」という掛け声がスタートの合図に使われていたはずです。私もよく使っておりますYO。

アバンギャルドと評されることもあるんでしょうけど、万人受けするギャグ漫画だと思います。ちょっと痛々しい人が見苦しい言い訳を必死にしているのを、苦々しくも笑ったことがおありならこの漫画をたのしめるでしょう。本当のアバンギャルドなギャグ漫画は『おしゃれ手帖』とかになるんじゃないかな。こちらは笑えない人がいますから。

ジャガーは映画実写化もされており、要潤がジャガー役を演じています。私は開始30分ほどで観るのをやめてしまいましたが、この漫画が気に入ったらご覧になるといいでしょう。あと、YouTubeで「なんかのサナギ」と検索してみるといいことがあるかもしれません。

とまあ、『ピューと吹く!ジャガー』について述べてきましたが、本質に迫る鋭い考察で読む人に一泡吹かせることはできず、ただ法螺を吹くことになってしまいました。だけれど、これは個人的な意見であって、誰かを説得することを目的にしているわけではないっていうか、題名にも書いてあるとおり感想なわけだYO。だから、書いた時点で目的は達成されてるっていうか、まあ自明なことだけど、人それぞれに感じ方の違いがあるわけじゃん。そもそも、他人の感想に異論があるのなら、自分の感想を述べればいいだけで、っていうか、言わずもがな、拙者議論する気なんかないんで。全然スルーしちゃってもいい訳だけど、シカトしちゃうのもあれだからね。でも、拙者も忙しいから、ここらへんで終わらせてあげるYO。

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