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ギャグ/4コマ漫画千冊 212〜228冊目 『魁!!クロマティ高校』 全17巻 感想


『魁!!クロマティ高校』(講談社)野中英次

『週刊少年マガジン』にて2000年から2006年にかけて連載された『魁!!クロマティ高校』(野中英次)を読んだ。ちょうど、私が中高生の頃に連載されていた漫画で、読んでもいたので懐かしさも感じつつ、今改めて読んでも面白かった。正直、内容はすっかり忘れていたが、キャラクターは覚えていた。この濃いキャラクターたちがクロマティ高校の魅力だと思う。

底抜けのバカの不良高校に集う愉快な仲間たちが営む学校生活ギャグ漫画となっている。なぜかクラスに、ゴリラ、円柱形のメカ、フレディ・マーキュリー瓜二つの外国人、可愛いクマの着ぐるみ、アザラシなどが在席しているのだが、バカなワルたちはすんなりと彼らを受け入れており、同級生として普通に接している。薄々、違和感を覚えるのだが、その違和感を覚えておくだけの記憶力がないようです。異常さを何事もなかったように受け入れている様子がおかしくて、ニヤニヤしてしまう。池上遼一の絵柄で描かれた登場人物たちが凛々しい表情で、その滑稽さを眺めている様は笑けてくる。話の最後には、オチがあるので、そして担当編集者からのツッコミもあるので、毎話区切りよく読んでいける。どの話も面白くて、飽きずに十七巻読み通せた。全巻通して、ゴリラが活躍する漫画である。一応主人公には神山というのがいるんだが、徐々に影が薄くなっていく。神山よりゴリラのほうが登場回数多いんじゃないかってくらいだ。

強烈なキャラクターたちそれぞれに焦点が当たっていて、それぞれの話が飽きのこない定番になっている。それがすごい。藤本貴一はワルの番長なんだが、掲示板を立ち上げ、荒らしと戦う正真正銘のネット番長である。メカ沢新一は自分のことをロボットと思っていないローテクロボだ。クロマティ高校四天王(五人)はロックバンドKISSのメイクを顔に施して、いつも会議している。財閥御曹司の北斗武士は、大衆を豚と呼び見下す尊大な性格をしており、クロマティ高校を支配しようと目論んでいるのだが、一向に計画が進まない。ゴリラはクロマティ高校生よりも知能が高い。フレディは一言はしゃべらないが、どうやら良いやつ。モヒカン頭(カツラ)の林田はすげえバカ。しかし、後に地下帝国を救うことに。おかしな奴らが淡々と学校生活を送っている。不思議な面白さがある。他に似たギャグ漫画は今のところ思い当たらない。

この絵のタッチで異常なことをしれっと描かれると、じわじわとおかしみが湧いてくるのかもしれない。大仰なギャグではなく、強烈なキャラクターで面白さを生み出しているんですかね。やっぱ池上遼一の絵柄で描かれたキャラクターが茫然自失している表情は笑えてきますね。

クロマティ高校は時代に左右されるギャグ漫画ではなく、いつ誰が読んでも面白い漫画だと思いました。二巻の帯に「何で売れたのかボクたちにもわかりません」と書かれているが、この漫画の面白さは何なのか言い表すのが難しかったです。ンゴ

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