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終わりを決める

 ゴールテープがどこにあるか分からないマラソンは苦手です。

 どこで張り切ったらいいのか、どこでちょっとリラックスしていいのか。それがうまく調整できない私は、エネルギーの使い方を間違えて途中でしんどくなってしまいます。

 私は過去に、ビジョンなく生きていた期間があります。正確には、ビジョンなく生きざるを得なかった期間。

 当時の私は、上の人のいうことを完璧にやって遂げるだけの、ただの「優秀な家来」にすぎませんでした。
 朝起きて、通勤、目の前の“作業”をただ黙々とこなす。アッという間に太陽は沈み、日付の変わるギリギリに(時には超えてから)家に帰り、シャワーを浴びて、寝る。

 今振り返ればあのときの私は、プログラミング通りに動く、ロボット「pepper」のような生き方をしていたのかも。
たしかに、当時の自分の写真を見ると、顔、pepperみたいやし(元々?)

 教師という仕事は、目の前の中学生たちのおかげで楽しかったのですが、日々、忙殺されていました。忙殺。人間の、心・うしなって・殺される。容疑者は「仕事」です。力の抜きどころが分からない私だからかも知れませんが、やることが多すぎました。

 夢と希望で全身がパチパチだったおかっぱ頭の少女Sが、社会に出た数年後、無機質なpepperになるだなんて、誰が予想できたでしょうか。
社会人としての経験を積むにつれて萎れていった、体内に残された夢と希望をエネルギーに変え、やりたいことを形にしていきました。しかし、終わりが見えないことでやっぱり私は息切れしてしまったのです。

 2020年8月上旬、ペッパー警部に逮捕された容疑者は裁判にかけられ(ややこしいな)、無期懲役を言い渡されました。裁判官から原告側には転職をアドバイスされました(なにそれ?)

 そもそも、南米に戻りたいと思っていたので、よい機会だったのだと思います。2021年3月、中3を卒業させてから転職に挑戦、1か月後には新しい土地で暮らし始めていました。

 真っ白だったpepperも、沖縄のギラギラと元気な太陽により、少しずつ人間色を取り戻しました。
 自分の時間ができ、野生生物や景色、地元の人々や千石先生級の生き物マニアたちとの出会いを通して、大切にしたかったことが、またハッキリとしてきました。

1つ1つのビジョンをクリアにするためにも、目標の「始まり」と「終わり」を明確にしながら一歩ずつ前進していこう。
『夢見た未来を手に入れる』、そんな一年にしたい。
具体的な「終わり」のライン、そして、「夢見た未来」に向かって実行していきたい

そんな想いを胸に、2022年は大学院という新たな道へ一歩を踏み出した私。
あの時、ペッパー警部から提示されたスローガンは
『私たち これから いいところ』。

そして間も無く、そんな大学院を修了し、次のステージに進み出そうとしているわけです。
それはpepperの卒業も意味するはずです。


さて。
安定した公務員ライフを投げ打って彷徨い始めた人生のジャングル。

今の私には、どんな一歩が踏み出せるでしょうか?

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