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訪問医療マッサージ集客の極意ー施設の種類と役割を知ろう!

施設の種類と役割を理解する

訪問医療マッサージ事業が、地域連携を推進し自ずと集客できる仕組みを構築するには、連携先である施設の種類と役割を理解しなければなりません。しかし実際には介護施設の種類が多すぎて理解が追いつかないことも多いと思います。施設が飽和状態なのです。
 そこで、ここでは大まかに施設の種類を六つに分類して説明していきます。まず介護施設の主な役割や立ち位置についてです。介護業界や医療業界ではよく「在宅」という言葉が使われます。自宅ではなくなぜ在宅なのかと疑問に感じたことはありませんか。在宅とは、長期間その場所に住んでいることを指す言葉です。したがって、その中に自宅も含まれます。自宅以外にはやはり介護施設となりますが、「ろうけん」と呼ばれる「介護老人保健施設」を在宅と呼ばないのは家庭への復帰をめざすための一時的な滞在施設だからです。ですから老健施設は在宅とはいわないのです。国の方針としては、「住みなれた地域」でこれまでと同じように生活できるよう地域包括ケアシステムを構築しようとしています。今まさに、この在宅で必要とされているのが医療保険を活用した訪問医療マッサージなのです。

1. 介護付有料老人ホーム

一般的に有料老人ホームといえばこの「介護付有料老人ホーム」を指すことが多いと思います。施設の中で、24時間体制で必要なときに必要な介護をしてくれるお金のかかる老人ホームのことです。この「介護付」というのは有料老人ホームを運営するために必要な人員基準、看護配置基準、入浴回数、医療体制、機能訓練指導員、生活相談員、ケアマネジャーの配置など、運営基準をクリアした施設に与えられる称号や免許のようなものと考えればわかりやすいと思います。

介護付有料老人ホームは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのことですが、有料老人ホームにはこの指定を受けない「住宅型有料老人ホーム」もあります。「住宅型有料老人ホーム」については、後述します。

「特定施設入居者生活介護」の指定は、厳しい運営基準をクリアすることで得られます。だからこそ「要支援1」から「要介護5」までの入居者を、24時間介護ができる安心安全の体制が整っているのです。料金は他の老人ホームと比較すると高めの設定で、最低でも18万円以上の費用がかかります。家賃と食事、水道光熱費で18万円ですから、その他に介護保険負担分(「要支援1」から「要介護5」まで)の1割負担から3割負担、そしておむつ代や医療費、レクリエーション費用などが入るとさらに増え、3万円から7万円が上乗せになります。以前は入居金という入居前に支払う一時金があり、数百万円から数千万円を払ったら90日ですべて償却するという悪魔のような制度が存在しましたが、問題もあったことで、今では90日で完全償却はなくなりました。

その代わり入居金0円プランが新しく設定され、私が入居相談員だったころは、この入居金0円プランを一時的に数カ月だけ利用するなど有効的に多くの方に活用しました。また入居できる年齢は原則65歳以上となっていますが、介護認定のある40代50代の方や介護認定はないけど自費で入居したい方などは、施設や運営会社の判断で入居できる仕組みとなっています。有料老人ホームといえば一生涯そこに住み続けるというイメージがあると思いますが、決してそうではないのです。老人ホームとは、「ぬまで住み続けることができる制度が整っている」といい換えるとわかりやすいかもしれません。死ぬまでそこに居続けるかどうかは、選択できるのです。

有料老人ホームを選ぶ際は、個人的には介護付有料老人ホームがお勧めです。もちろん建物が新しいとか古いとかそういった不動産を選ぶようなハード面も気になるとは思いますが、他の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅よりも「人員」がそろっているのが特徴だからです。すべての介護付有料老人ホームがお勧めというわけではありませんが、運営体制や人員基準だけみれば24時間介護職員がおり、2時間~3時間に一回は見守りに来てくれて、困ったときには看護師に相談ができる体制があり、生活相談員が日常生活における心配事などの相談にも乗ってくれるので、安心だということです。

ただし「要支援1」から「要介護1」程度の比較的自立している高齢者にとっては、認知症状の強い利用者が多く入居している介護付有料老人ホームは、退屈と感じることもあります。しかし施設によっては、入居者の自立度に合わせて階層分けを実施しています。例えば3階建ての施設の場合、1階は医療フロア、2階は重度介護フロア、3階は軽症フロアなどと症状に合わせてフロアを分けているのです。このように、最初は3階フロアに入居したが、年数が経ち認知症が進むと2階へ移動し、医療行為が必要になれば1階へ移動するという先々の状態を見越した体制づくりをしている施設はとてもいいです。施設費用は高いですが、利用する側としたらとても安心です。

介護付き有料老人ホームに入居するということは、その施設で介護保険を利用したすべての介護サービスを受けるということになります。つまりその施設の基準に従って、施設の中で働いている介護スタッフの介護サービスを利用しなければならないので、自宅でさまざまな介護サービスを利用していたように外部のサービスを利用できなくなるのです。
 デメリット挙げると、強制的に「入居した施設に勤務するケアマネジャー」が自身の担当に選らばれるので、相性がよくても悪くてもそのケアマネジャーにケアプランを作成してもらわなければならない、ということです。施設に入居する前に自宅に来てもらっていた訪問介護や訪問看護のスタッフを入居後に施設に呼ぶことは可能ですが、介護保険を利用できないので自費扱いとなってしまいます。介護も看護も機能訓練も、原則として施設内で納めなければいけない設定になっているのです。

しかし医療保険を利用するサービスは、外部のサービスを自由に取り入れることができます。ですから訪問医療マッサージや訪問診療は比較的自由に選択することができるのです。ただし運営会社によっては、往診体制(クリニック)を指定しているところもありますので、そこは注意が必要です。介護付有料老人ホームは基本的に看取りができるという前提ではありますが、重要なのは「看取りまでの行為(清拭や水分補給など)」ができるかどうかは、施設によって異なるということです。往診のクリニックは24時間体制であることが多いですが、危篤状態だからといって30分以内に訪問できるとは限りませんし、死亡した数時間後に来て死亡診断を書く程度しか対応してもらえない場合もあります。施設によって運営体制にばらつきがあるので、本当に難しいところです。介護付有料老人ホームに訪問医療マッサージの営業を行う場合、多くは施設長やケアマネジャー、生活相談員に権限があるので各施設ごとの決裁者を見極める必要があります。

2. 住宅型有料老人ホーム

「住宅型有料老人ホーム」は、運営会社の運営方法により、介護付き有料老人ホームと同程度のサービスを提供するところもあれば、それ以下のサービスしか提供できないところがあるのも覚えておきたいものです。介護付き有料老人ホームと大きく異なるところは、施設内に「介護職員やケアマネジャーを配置する」という規定がないので、24時間介護が必要な高齢者や常に見守りが必要な認知症高齢者には不向きであるということです。
 とはいっても、皆さんが知っている住宅型有料老人ホームの中には認知症高齢者や介護が常時必要な高齢者が入居しているのを見たことがあると思います。実は住宅型有料老人ホームは、施設内に職員配置の規定がない代わりに、外部の介護サービスを利用者が直接契約することで必要に応じて介護サービスを利用できるのです。もっというと好きなサービスと好きな事業所を自分で選択して、自分に合った介護サービスを利用できるのです。ケアマネジャーが施設内に配置されているわけではないので、外部の居宅介護支援事業所と契約して担当にケアマネジャーにケアプラン作成を依頼できるのです。結果的には、内部と外部の違いだけで介護付有料老人ホームと同程度のサービスから安心と安全を確保することができます。

ここでいう外部の介護サービスとは、訪問介護サービスや訪問看護サービス、訪問リハビリサービス、デイサービスを指します。建物内には食堂、浴室、洗濯場、個室、共有スペースなどがあり、介護付有料老人ホームと同じような造りになっています。ですので介護サービスが必要ない比較的自立している高齢者は、洗濯や料理を含めてすべて自分で行うことができるのも特徴です。

しかし入居してから数年経ち、認知症を発症し介護が必要になったときに、注意するポイントが二つあります。一つは住宅型有料老人ホームを運営する法人の方針です。同じ法人が運営する居宅介護支援事業所や訪問介護サービス、訪問看護サービス、訪問リハビリサービスを利用しなくてはならないというルールがあった場合、外部のサービスを自由に選択することができなくなってしまうのです。もう一つは、介護付有料老人ホームと同程度のサービスを求めた場合、住宅型有料老人ホームでは介護付有料老人ホームよりも高額になるということです。基本的な費用は介護付有料老人ホームの方が高額でも、24時間365日介護を必要とする方が住宅型有料老人ホームを利用した場合は、サービス限度額+自費サービスの利用となるため、大変高額になってしまうのです。私の知っている事例でいうと、都内の超高級住宅型有料老人ホームに入居して24時間介護サービスを利用している方は、120万円/月を支払っています。

介護サービスを利用する高齢者は無限に介護サービスを受けられるわけではなく、限度額が決まっています。その限度額の中で可能な限りプランを作成するのがケアマネジャーの仕事です。元気なときは住宅型有料老人ホームに入居し、介護が必要になったら介護付有料老人ホームに入居するという発想はもちろん重要なのですが、介護になってしまってから住む環境を変えるということは、高齢者にとって大変な不安とストレスです。場合によっては認知症状や不安神経症が進行することもあるので、老人ホーム選びは慎重になる必要があります。

3. サービス付き高齢者向け住宅

次に、特に住宅型有料老人ホームと区別がつきにくい「サービス付き高齢者向け住宅」です。介護サービスの考え方などに大きな違いはありませんが、起源などを見るとわかりやすいと思いますので説明していきます。まずサービス付き高齢者向け住宅制度ができる以前は、高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)・高齢者専用賃貸住宅(高専賃)・高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)といわれおり、これらは高齢者が入居する住居という位置付けでバリアフリーという特徴はあるけれど、介護部分については曖昧でした。しかし2011年の「高齢者住まい法改正」に伴い、サービス付き高齢者向け住宅または住宅型有料老人ホームへ変更となりました。特に高専賃(こうせんちん)は、よくケアマネジャーとの会話に出てくるので、話に出たらこの制度変更を伝えると感心されるかもしれません。私が「木下の介護」に入社したのが2013年でしたが、確かそのころは、よく高専賃のことが話題に出ていたのを覚えています。今振り返れば、その当時は制度改正からまだ2年しか経っていなかったことになります。

サービス付き高齢者向け住宅は「国土交通省」と「厚生労働省」の両管轄であり、住宅型有料老人ホームの管轄は「厚生労働省」のみとなります。似たような建物なのになぜ管轄が異なるのか。私の個人的な見解ですが、国土交通省の役割は国土(つまり国の土地)を有効活用し、かつ整備することで安心安全な暮らしができるようにする目的があります。その中で土地を有効活用しサービス付き高齢者向け住宅を建設することは、道路設備や建設または不動産業の指導監督することと同じとする概念ではないでしょうか。結果的に区別が難しくなっても管轄だけは政治的な理由から変えることはできず、「「国土交通省」と「厚生労働省」の両管轄となったのではないのかなと思っています。

広さにも規定があります。サービス付き高齢者向け住宅は個室と共有スペースを合わせて25㎡以上必要で、住宅型有料老人ホームは13㎡以上なくてはなりません。訪問医療マッサージとしては細かすぎる知識は必要ありませんが、頭の片隅に置いておくとよいと思います。介護に関しては、介護付有料老人ホームと異なり食事・入浴・排泄・ナースコール等は、介護保険料の範囲内で賄うものではなく一つひとつのサービスを行うたびに料金が加算する方式となっていて、そこは住宅型有料老人ホームと同じ仕組みと考えるとよいでしょう。身体介護や見守りが必要な入居者には、より多くのサービスが必要なため高額となり、サービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームは軽度な入居者は介護サービスが最低限で行われるため、費用が安くなります。「自立されている高齢者、もしくは軽度の介護で十分な高齢者が向いている」といわれるのは、このためです。

サービス付き高齢者向け住宅の中には、前述の介護付有料老人ホームの説明に出てきた「特定介護入居者生活介護」の人員配置や設備、運営体制の基準を満たした施設もあります。その場合は、サービス付高齢者住宅でありながらも介護付有料老人ホームと同程度のサービスを提供しているという証拠になりますので、通常配置されていない看護師や機能訓練士、ケアマネジャー、24時間介護体制、生活相談員などがいる、より安心できる体制であるということがわかります。費用においては、身体介護が積極的に必要な中重度の入居者では、必要な分だけ介護サービスを実施すれば費用負担が増えるという仕組みではなく、介護付有料老人ホームと同じように一定の介護保険料の中ですべてのサービス費用が含まれる支払い形態となりますので、サービス付き高齢者向け住宅だからといって、やみくもに高額になることはないというのも大きな特徴です。

4. 認知症グループホーム

「認知症グループホーム」は、医師から認知症という診断を受けた利用者が、5人から9人の少人数を単位として介護スタッフと共同生活を送る形でケアを行う小規模施設です。認知症の診断が必要という点と、1ユニット9人までという人数制限があるのが大きな特徴です。高齢者であっても、医師からの認知症であるという診断がなければ入居の許可はおりません。また地域によっては、その地域に住民票があり、3カ月以上住んでいる必要があるという条件を課している場合もあります。介護付有料老人ホームのように何十人と一緒に生活するということが苦手な方には、小規模施設が合っているかもしれません。1ユニットは9人以下ですが、施設によっては2ユニット以上の場合もあります。介護付有料老人ホームや住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅と異なるのは、“共同生活で自立をめざす”という点にあります。食事を一緒に作り畑を耕し、洗濯ものをたたむ等の家事を分担し、可能な限り自立した生活をめざすのです。キッチンを利用し包丁を使って料理をするなども可能なため、施設に入ってもある程度の家事をしたい高齢者には、ただ毎日の施設生活をすべてにおいて手伝ってもらう施設よりも充実した毎日を過ごせるかもしれません。

ケアマネジャーは常駐していますし、24時間介護職員もいますが、施設によって異なる人員配置もあります。看護師が常駐し機能訓練士などが配置されている施設とそうでない施設があるので運営方針により異なる点を、しっかり確認する必要があります。基本的には「自立した生活を送る」ということがコンセプトではあるものの、現実には寝たきりや共同生活が困難な重度認知症、また医療行為が必要な入居者もおり、理想とする自立支援施設とは大きくかけ離れた実態もあります。

以前は看取りもできない体制でしたが、近年では差別化を図るために看取りを取り入れている施設もあります。また費用も安価なため生活保護受給者も入居しやすく、最近では新しい建物も多くなっていますが、注意する点としては、知識や経験のない他業種の参入も多く、介護体制が整っていないなどの問題があります。グループホームでは入居者3人に対して介護職員が1人となっていますが、ギリギリの人数で運営している施設では、欠勤や退職者が出た場合、人員基準を下回ることはよくあります。費用の安さと建物の新しさだけで飛びつくと、痛い目を見ることもあるので注意が必要です。

5. 特別養護老人ホーム

「特別養護老人ホーム」は、皆さんが聞きなれている最もポピュラーな施設ではないでしょうか。ニュースでも大きく取り上げられることもあり、2015年には「要介護3」以上でなければ入居ができなくなり、かつ入居するには数年待たなければいけないという話も耳にするかと思いますが、現実は少し異なるようです。

まず特別養護老人ホームは、民間会社が運営する介護施設とは異なり“公的な立場”にあります。公的な立場であるからこそ、社会的弱者でも利用できる制度のある施設なのです。民間の介護付有料老人ホーム等では、必要な費用が支払えない人は入居することができず、また身元保証人がいなければ入居条件をクリアすることができません。その点、特別養護老人ホームは公的な立場にあるからこそ、そういった高い条件をクリアできない社会的弱者でも利用できる施設となっています。そのため収入に応じた費用負担になっており、身元保証人がいなくても入居相談が可能な施設が多くなっています。これこそが、“公的な立場”のメリットです。特別養護老人ホームには、「広域特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」の2種類あるので簡単に説明していきます。

①広域特別養護老人ホーム

“広域”というネーミング通りですが、居住区にかかわらず申し込むことができる比較的大規模な特別養護老人ホームのことで、定員は30人以上となります。場所にこだわらず申し込む事ができる点では入居希望者にとっては有難い制度です。特に都市部における特別養護老人ホームは希望者が多く待機していることもあるのですが、地方はどちらかというと空室が多いようです。特別養護老人ホームの相談員が都市部の居宅介護支援事業者、地域包括支援センターに営業しているのは珍しいことではありません。

②地域密着型特別養護老人ホーム

広域特別養護老人ホームと異なり、地域密着型でその地域に住んでいる人が入居できる施設です。定員は29名以下で小規模です。地域密着型特別養護老人ホームにも介護付有料老人ホームと同じように、人員基準や設備基準があります。人員基準では、入居者の健康管理と定期巡回、処方箋の発行、看取り対応等を行うために医務室と医師の配置が必要になります。また看護師(3:1)、介護職員(3:1)、機能訓練指導員1人以上、栄養士1人以上、ケアマネジャー1人以上、生活相談員においては入居者100人に対して1人の割合の配置も必要です。
 このように介護付有料老人ホームと同じくらい手厚い介護体制のため、どちらがよいのかと聞かれると悩むところです。個人的な見解としては特別養護老人ホームは、最もポピュラーでかつ誰でも入居を規模している施設であるとことから”がんばらなくても希望者が多い”という点で、民間企業が経営する介護施設の方が競争原理が働きサービスの質が高いという印象があります。しかしそれは運営会社や施設で働く人による、といえるかもしれません。また、どこまでの介護サービスを提供してほしいのか、最低限度の生活が担保されればよいのか等は、予算と希望により異なりもするでしょう。

訪問医療マッサージにおける特別養護老人ホームへの営業は、必須です。機能訓練士が1名以上配置されていますが、1名の機能訓練士がすべての入居者の機能訓練やマッサージに対応するというのは現実ではありません。この人員配置基準から考えれば、人手不足は明らかなので、機能訓練士と一緒に支援に入れるように「提案」してもよいかもしれません。特別養護老人ホームには施設長、ケアマネジャー、生活相談員がいますが、誰が権限を持っているのか、まずは訪問してから聞き取り調査することをお勧めします。各施設で運営方法やシステムが異なることは、前述から何度もお伝えしていることですが、地域連携を成功させるために必要なのは”情報”です。

6. 介護老人保健施設

一般的に”ろうけん”と呼ばれる施設は、この「介護老人保健施設」のことです。有料老人ホームや特別養護老人ホーム、認知対応型グループホームは”生活の場”といわれていますが、それとは異なり”医療施設”という枠組みになります。治療がメインの老人施設なのです。病気やケガで総合病院に入院した高齢者の治療が終わり退院するとなったとき、すぐに自宅に帰るのはハードルが高い場合利用されます。例えば、手術は成功したけれども入院が長期間にわたったときなどは、筋力が衰え一人で生活するにはさまざまなリスクが生じます。入院する前と同じように自宅で生活するためには、リハビリテーションが必要です。後に回復期リハビリ―テーションでもお話をしますが、介護老人保健施設とは、そういった病院と自宅の中間地点の介護と医療がミックスされた医療施設なのです。

医療施設という表現に疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、老人保健施設は、施設長は医師でなくてはなりません。そして人員配置や運営体制にもしっかりとルールがあり、介護保険と医療保険の両方が適用できるのです。介護老人保健施設は、「要介護1」から「要介護5」の利用者が対象です。自宅に戻るまでの利用期間は、原則として3カ月となっていますが、実際には数年以上入居していることもあります。平成30年の介護医療院や有料老人ホームの多機能化による差別ができずに入居率が低迷しているというのも現実としてあります。

医師や看護師が配置されており、医療施設というだけあって、特別養護老人ホームや有料老人ホームよりも看護職の人員配置も手厚いのが特徴です。インスリンや胃ろう、頻回な痰吸引、褥瘡にもしっかりと対応してもらえます。

リハビリテーションについては、3カ月以内に週3日以上かつ1回20分以上行うことで、短期集中リハビリテーション加算が取得できるようになっています。これは介護保険適用の内容と医療保険適用の内容でそれぞれ算定できるルールになっています。ベースは入居者それぞれの介護負担割合となり、それ以外の医療分野における検査料(内視鏡や超音波)、処置料(胃ろうやバルーン交換)、リハビリテーション料、内服薬料、注射料は医療保険が適用されます。訪問医療マッサージ事業として連携が可能かどうかは、ほとんど施設内でカバーできる体制のため、営業してもチャンスは少ないかもしれません。しかし、日々の活動の中で連携できるポイントを見つけることができれば、大きなチャンスに化けるかもしれません。

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