【マッチレビュー】2024J1第7節　コンサドーレ札幌vsガンバ大阪

〈システム〉
　ガンバ大阪のフォーメーションは4-2-3-1。中2日ということもあり、前節とは大幅にスタメンを入れ替えた。フィールドプレーヤーの中で続いて先発したのは三浦・中谷・鈴木の3人で他は全て変更しターンオーバーを駆使しつつ勝利を狙う。一方のコンサドーレ札幌は3-4-2-1のシステムで試合に臨んだ。

〈前半の展望〉
　ガンバは守備では前線からプレスをかけに行き高い位置でボールを奪って速攻に繋げて行こうとする狙いを見せた。相手のセンターバック3枚に対してプレスに出てロングボールを蹴らせず、前の選手がプレスに行って出来る後方のスペースにサポートに降りてくる中盤の選手に対してはダワンか鈴木のどちらかが前に出て縦パスを潰しにかかり札幌のビルドアップを封じにかかった。上手く制限はかけられており、札幌陣内でボールを奪い取ってシュートに持ち込む機会を作ることは出来ていた。
　攻撃に関してはこの試合ではジェバリがワントップの位置に入っているためジェバリを狙ったロングボールを多く使い攻撃の起点を作ろうとした。しかし、ジェバリに入ったときのサポートが遅れていたり、そもそもジェバリに対して札幌のディフェンスがタイトに付いて簡単にボールを収めさせなかったりと、思うようにジェバリのポストプレーを活かした組み立てを展開する場面は少なかった。
　ただ、ジェバリがいることで頂点に留まっているときは相手の最終ラインを下げさせ中盤でスペースが空いてそのスペースでボールを受けて押し上げる形を作れた。食野やダワンがジェバリのおかげで空いてくる中盤のスペースにフリーでパスを貰える回数が多く28分には左サイドバックの中野がビルドアップの流れから中に入ってきて食野やジェバリと連携して札幌の守備を崩しにかかった。空いたスペースを効果的に使った攻撃でファールを誘い、このフリーキックをジェバリが直接狙ったが、ここはポストに弾かれた。一つ理想とする攻撃を見せジェバリがロングボールを収める形も出てくるようにもなった。良いリズムでチャンスに繋げられるようにもなってきたものの、ゴールにまでは結びつけることは出来ずに前半はスコアレスでハーフタイムを迎える。

〈後半の展望〉
　後半も立ち上がりからジェバリを起点とした攻撃が機能していた。48分には中谷のロングフィードをジェバリがワンタッチで福岡に落として、福岡もワンタッチで中のスペースにポジションを取っていた食野へ。食野は上手くターンして相手と入れ替わりドリブルでボールを運び、ディフェンスの背後に抜け出した坂本へラストパス。ここは僅かに合わずゴールキーパーに阻まれた。前半と同様に中盤のスペースを突いた攻撃でアタッキングサードにまでボールを運ぶ機会は増えているものの、そこからの精度が足りず得点には繋がらない。
　もう一押しというところで攻撃が停滞する中で時間が経過していくうちにガンバの守備が綻びを見せ始めるようになる。前からのプレスに連動性が出てこなくなり後方の押し上げが足りず陣形が間延びしスペースを与えてしまい押し込まれる状況を作られる回数が増えてきた。寄せが甘くなってプレスを剥がされ、サイドに深く入られたときも制限がかかっていないので簡単にクロスを上げられ危ない場面が出てきた。
　段々と攻め込まれる時間が多くなってきた中で73分、ガンバの左サイドでマークが外れエリア内にフリーの選手ができたところを使われ、そこからのクロスに頭で合わせられガンバは先制点を許してしまった。耐え凌ぐ状況が続いていたが守り切れずに相手にリードを奪われる結果となった。
　追いつきたいガンバは81分、セカンドボールを拾った石毛が左サイドをオーバーラップしてきた黒川に渡し、黒川は一度ウェルトンに預けサイドから抜け出しもう一度パスを受け折り返したところが相手に当たってゴールに入り、試合を振り出しに戻したかと思われたが、黒川が抜け出したところがオフサイドとなりノーゴールとなった。
　終盤でのゴールが幻となりガンバはプレーの質が落ちてくる。後方から繋ごうという場面で中盤の動きがなくなってきてしまいパスコースがなく時間がないにも関わらず後ろで組み立てなおすことが多かった。繋げられないので前方に長いボールを送っても競り合える選手がおらずセカンドボールも相手に回収された。同点に向けて押し込みたかったところであったが、何もできずに試合は終了。0-1と今シーズン初黒星を喫した。

〈まとめ〉
　この試合ではジェバリが攻撃の起点となり良い連携を見せるシーンもあったが、フィニッシュまたフィニッシュに至る前の段階での精度が低くチャンスをモノにすることが出来なかった。次の試合の日もすぐであり連戦が続くが、切り替えて反省点を踏まえ勝ちを手に入れて欲しい。