見出し画像

私と本と遍歴

多すぎて困っちゃう。というのが本音ではあります。
漫画も読むけど、今回は文字版で。

親が本好きだったのもあって、絵本に始まりこどものとも・かがくのともシリーズ・世界文学全集・その他小説が家には溢れていた。きょうだいの本もあったし、近くに住む祖父もいろいろな本を勧めてくるのが通常だったので、本がある風景、というのが日常だったように思う。絵本で好きだったのはだるまちゃんシリーズ。それからムッシュムニエル。親にはなぜか分からないと言われたが、とても好きだった。

本当の『本との出会い』というのは、9歳の頃。
八つの犯罪 モーリス・ルブラン著
言わずと知れた怪盗ルパンシリーズのひとつ。瞬きも忘れ、日暮れにも気付かずに、一気に読んだ記憶。そこからは、早かった。図書室に入り浸り、ルビも振られていない文字の小さいハードカバーのルパン全集(偕成社のものだったと思う)を読み漁り、ドキドキワクワクしながら、本ってすげえ!と思ったのでした。読めない漢字も多かったけど、先に進みたくて調べもせずにどんどん読んで、文字を知っているということがこんなに楽しいのかと。順調に視力は落ちていった(暗くなっても読んでいたので)けど、まさに文字の海原に飛び出した興奮で、正直言ってそれどころじゃなかった。

この後、文字を餓鬼のように求めた結果 広辞苑 を読むことになるのだけど、あれは面白かった。自分の世界の小ささや狭さがよく分かる、知力というのをなんとなく意識し始めた頃と思う。

日本文学凄い!と思ったのは 檸檬 (梶井基次郎。主人公が魅了された檸檬、書棚の情景が押し寄せてきて立っているのが大変だった(座っていたけど笑)。これは中学時代だったように思う。古典の面白さが分かってきたのも中学時代。かの有名な とりかへばや物語 なんかは、800年も前の作品などとは思えない、新鮮な思いで読んだ。

そうして高校時代。 震えるほど惚れ込んだ 燃えよ剣 (司馬遼太郎) 。惚れ込んだ、というのは無論主人公 土方歳三。かっこよくてかっこよくて、腰を落とし気味のすり足の無骨な男は歩いていないかと思っていた。一番最初のページから、目が乾いてコンタクトが外れてしまうまで、本の間に顔をのめり込ませるようにしていた。

同じく高校時代。ちょっと奇妙で賢い親友ができ、本の幅がぐっと広がった。ファンタジー界のエース 茅田砂胡著 デルフィニア戦記。こんな世界が並行宇宙のどこかに存在しないかと願っていた。最初に読んだのは 桐原家の人々 ではあったけど、他の著作に手が伸びるまではとても早かった。

同時期に読んでいたのは 有栖川有栖の特に 国名シリーズ 。もちろん火村英生シリーズも好きだった(ドラマは好みではなかった。残念)。それから模倣犯(宮部みゆき)、浅田次郎は蒼穹の昴一路、壬生義士伝、プリズンホテル、天切り松。灰谷健次郎の太陽の子は、主人公と名前が同じだから、という理由で読んで、後悔はしなかったが泣いて恐怖した。あとで親から、私の名前の由来のひとつ、と聞く。(ちなみに『ふう』は本名である)
それからゾクゾクと青ざめたのは屍鬼(小野不由美)。ホラーは2度と読まないと思ったが、派生して読みはじめた十二国記シリーズは未完なのでまだ読み続けている・・・終わって欲しいような終わって欲しくないような。
京極夏彦に手を出したのもこの頃。魍魎の匣、分厚くてなかなか進まなかったけど、民族学についてちょっと興味を持った作品。

高校時代というは、私が世界史というものにとてもハマった時期でもあるけれど、そんな私を更にのめり込ませたのが 太陽の王 (クリスチャン・ジャック)。ラムセス2世が素敵すぎる・・・!史家によれば、作者はラムセス2世が好きすぎる、とのことだったけど、そのせいかとても魅力的だった。歴史系といえば、チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷(塩野七生)も何だか耽美な雰囲気がとても気に入っていた。

この頃から縛られるのが大嫌いだった私に母は 新川和江の わたしを束ねないで を送ってくれた。さすが、よく分かっている。

その後、カフカの変身で奇妙な世界に触れ、まだまだ自分の世界は狭かったのだなと思い、探偵ガリレオ特に容疑者Xの献身で感涙、映画でも大泣きした。堤真一さんがとても素敵だった)・加賀恭一郎シリーズでミステリーの面白さを再認識し、水滸伝(北方謙三)で中国史も面白いな・・と思い、ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン)で西洋美術の面白さに瞳孔が開き、中野京子氏の著作でそれがさらに高まり、西洋美術と宗教・歴史の混合の魅力に目が輝いた頃・・・何度も読むことになるアルケミスト 夢を旅した少年(パウロ・コエーリョ) に出会う。青い鳥のような物語ではある。けど、壮大な宇宙と偉大な愛の物語。これは凄かった。目の前がパッと開けたような感覚を味わった、私にとってはある意味救世主的本だった。有名な本なので知っている人も多いが、お勧め、と言われたらまずこれをお勧めしている。

熱が入りすぎた。笑
有名どころばかり、ミステリー多めではあるものの、それぞれと、良いタイミングでの出会いを果たしていると思う。この遍歴に漫画が加わり、無事雑食化した今に繋がっている。
無論まだまだあるけれど、そしてまだまだ読みたいものもたくさんあるのだけど、ひとまずこれまで。

読んだことのないものがあれば、是非読んで欲しいな、と思います。

おしまい。


よろしければ、サポートをお願いいたします。頂戴したサポートは、今後の活動に活かします!