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フリーエージェント社会の到来

(文:SELF編集部 かつ しんいちろう)

 鹿児島県の「令和4年度 鹿児島県起業人材フリーランス育成・支援事業」として、SELFは県の新産業創出室と組んで「独立系専門人材の支援・育成」に取り組んでいる。

 今回の事業で『独立系専門人材』という言葉を使ったのは、県庁内だけでなく社会一般的にフリーランスを定職に就かないフリーターと混同している方が多いためだ。このコラムでは分かりやすくフリーエージェントと呼ぶ。

 この取組を我々が今やろうと企画したきっかけは2つある。一つ目は、私の尊敬するダニエル・ピンクが1998年に書いた「Free Agent Nation」(邦題:フリーエージェント社会の到来)にやっと時代が追いついてきたという時代感覚だ。コロナ禍にあってテレワークや兼業・副業の加速など「働き方の多様性容認の流れ」はフリーエージェントとしての生き方に追い風が吹いていると感じたからだ。時代は潮目にあるのではないか?

 もう一つは、フリーエージェントを未だに上手く活用できず、いわゆる「正社員」と「非正規社員」という枠組みの中で最も重要な経営資源である「人」について、自らの打てる駒を自ら制限している企業が多くあるという危機感である。

 今回の事業では、フリーエージェント側に、「スキルをアップデイトし続け、自己ブランディングとマーケットへのアピールをすると活躍の機会が広がり、さらに企業に縛られない自由な暮らしを獲得できる」という側面を強調している。

 今回の事業の対象ではないが、組織側にはビジョン実現に必要なポイントで必要なタレントをメンバーに加えるという人材活用法をどんどん試行することをお願いしたい。自社の席に人が座っていることでなんとなく仕事が進んでいるように感じたいのならば、ぬいぐるみを置くかメタバース上にダミーの社員を1,000人くらい座らせておくと良い。

 これを読んでいる組織の方は、「そうは言っても、何を誰にどう頼んだらよいか分からない。」と思われるかもしれない。その疑問は正解で、外部のフリーエージェントに依頼をするときは、「何のために、何を、いつまでに、いくらで、どの品質で仕上げて欲しい」を明確に出さなくてはならない。明確なリクエストを出し、検収できるのは、そこそこの労力がかかる。「ひとつよろしく。」では済まないのだ。

 では、逆に外部に委託しない場合には、組織内で誰に何を指示していたのか?実は、「ひとつよろしく。」に近い指示であることが多いことに気づく。

 外部のフリーエージェントの能力を効率的に使う時代が既に来ている。是非、組織の方は試しに使って欲しい。

 ティール組織を提唱したラルーによる組織フェーズで言うと、「タスクを明確に指示をして成果を上げるスタイル」なので、上で想定した働き方はオレンジからグリーンの組織にあたる。さらに高度なティール組織になると、ゴールや志さえ共有しておけば、あとは「ひとつよろしく。」でチームが動き出す。それは、まだまだ高度な世界の話で、勘違いして試行しては大けがをする。

 興味がある方は、この事業の取組内容を紹介したり、研修メディアを掲載するサイト「かごせん」を是非ご覧になっていただきたい。


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