東京都の行政ですら… 日本のデジタル化遅れ
少し前に「Microsoft(以下、MS)によるIEのサポートが終わりますよ」という記事を書きました。Webデザイナーだった身としてはこんな喜ぶべきニュースは書かざるを得なかったので。
しかしながらこのとき、「現実問題としてまだIEを使っているような人もしくは会社もあるかもしれない。まだ手放しでは安心していいかどうか分からない」といったニュアンスのことも書きました。
そして、どうやらその懸念は実際にあることのようです。
それが以下で紹介する記事。
「ITmediaビジネスオンライン」様のところの記事なのですが、今回のIEサポート終了の報を受けて、行政などの対応を取材したもののようです。
これによると、東京都調布市のデジタル行政推進課が未だに勤怠管理や会計業務にIEを使用しており、今回の報を受けて慌てて対応している、とのことでした。
「日本社会のデジタル化は遅れている」
とは、よく言われていることですがまさかここまでとは……。東京都の行政ですらこんな感じなのです。しかも「デジタル行政推進課」で。何を推進してるんでしょうね。
こちらの職員によると
「何で急にサポート終了なんて言い出すのか分からない。いろいろと困る」
ということらしいのですが、そもそも“急”であるはずがない。旧OSのサポート終了なども含め、こういったことはMS社は事前に必ず告知するようにしているはずです。実際、今回のIEサポート終了にしても1年前には告知がされていました。
デジタル的なことと全く関係のない部署ならまだしも「デジタル行政推進課」と名乗っているようなところの職員なら、こういったことには常日頃からアンテナを張っておくべきだし、そもそも2020年を越えてもまだIEを使っているほうがはるかに問題です。どんなパソコンを使っているのか考えただけでも怖い。
ちなみに日本のデジタル競争力は世界ランキングだと27位だそうです。
「日本は世界的に見ても進んでいる国」アピールをしていますが、ことデジタル化ということに関してはずいぶんと遅れている感じがしますね。
「デジタル化」といっても、僕は別にカード決済やキャッシュレスをもっと進めたほうがいいなんて言うつもりはありません。現金払いのほうがいいという環境はあるし、変なトラブルになることも少ない。
ただ、更新すべきところは更新していったほうがいいのではないでしょうか。「新しいことを覚えるのが面倒だから……」なんていう理由で古いシステムを使い続けていたら、何にも進まない。先送りにしていても、結局今回のように慌てることになります。
名前だけの“デジタル”、名前だけの“IT”では意味がないのです。