見出し画像

ブックレビュー【マーケティングZEN | 宍戸幹央, 田中森士 (著)】

ZENとは禅のこと。マーケティングZENという全く新しい切り口のタイトルに、書店で二度見しました。とはいえ、どこかスピリチュアルな匂いをほのかに感じたのも否めません。

しかし読み進めると、そんな浮ついた言説は露ほどもなく、むしろスティーブ・ジョブズが起想していたような禅の本質の部分をマーケティングに織り交ぜた古いけど新しい、不思議な魅力を持った内容になっています。
(Sジョブズ氏が若い頃に禅に傾倒していた話は有名)

昨今のSNSの驚異的な影響力の目の当たりにして、もはやマスマーケティングが終焉を迎えていることは誰もが周知のところだと思います。そして近年さまざまな企業で「利他の精神」で行う経営が言われていますが、それは一見利他にみえるだけで利己主義の隠れ蓑にしていないか、特にこの嗅覚にはZ世代は敏感で、パフォーマンスは通じないとしています。

本当の意味で「全体の幸福を願う」利他の精神を、マーケティングZENという新たな枠組みから、循環型社会の実現とビジネスの成功は共存しうることをさまざまな具体的事例を取り上げながら、解き明かしていきます。

紹介されている企業やショップはいずれも、その精神ばかりかビジュアル的にも洗練された鋭いセンスを感じさせるものばかり。
国内だけでなく世界各地に訪れている著者の田中さんのように、本書片手にお店巡りの旅に出たくなりましたw

本書の出版記念のセミナーにて質疑応答の際に、僕の質問にとても丁寧に答えていただいた田中さんのお人柄に禅僧のような佇まいを感じました。

マーケティングZEN | 宍戸幹央, 田中森士 (著)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?