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今季のドラマは私的にはなかなかほっこりできるものが多かったと思います。
視聴率とかは全く気にしない方なので、世間ではやっているもの=私自身に響くとは限らないですしね。

月9「君が心をくれたから」は暗いとか重たいとかで敬遠した人も多いようですが、私的には良質なファンタジーだったと思っています。
何より、主人公二人の演技力があったので感情移入しやすかったです。

愛する人の命を助けるために、五感を失うという試練を背負うという「奇跡」がテーマになっていましたが、最初はなぜこれを奇跡というのかとは気にはなりましたが、実際に五感を失った人間というのは、ただ生きているだけ(話すことだけはできるのでしょうけど)で、暗闇で何も聞こえないし自分が何をしているのかすらわからない生活になるのですから、想像を絶するとは思います。
もちろん実際にはこんなことはありませんが(あるとすれば植物状態の人が近いでしょうけどこちらは意識もないわけですから)その、リアリティのなさすぎる主人公の恋愛関係を、永野芽郁さんと山田裕貴さんが本当にピュアに演じていて、クライマックスで毎回流れた宇多田ヒカルさんの「何色でもない花」という曲がなんとも物悲しさの中にも美しいメロディでドラマにフィットしていたのもあって、毎回自然に涙が流れるという「浄化」に繋がりました。

最終回でタイトルの意味がわかりましたが、私自身がもし愛する人が事故で瀕死の状態で命を助ける代わりに自分の五感をささげるというように言われたらやはりそのようにしたはずです。
そしてもし最後に太陽君(山田裕貴さん)が雨ちゃん(永野芽郁さん)の五感と引き換えに自分の命を差し出すように言われても絶対にそうしただろうと思います。

どちらもが助かるというハッピーエンドを望む人が多かったようですが、そうならないところにこのドラマの意味があったと思うし、雨ちゃんはきっと、太陽君にもらった「心」を宝物としてずっと持ちつつ、パティシエとして誰とも結婚せずに生きていくに違いないと思います。
そういう幸せもあると思ったファンタジーだったので、私は好きなお話でした。

もう一つ、現在放送中の大河ドラマ「光る君へ」もまたファンタジーです。
何ともタイトルの壮大な音楽とともに出てくる映像がエロチックなこと。私はこういう、指と指が絡まるというような映像こそ最も「エロティシズム」を感じるのです。最後の吉高由里子さんの顔もまた何とも色気があってそそられます。
内容も、まひろ(吉高さん)と道長(柄本佑さん)の身分違いの哀しい愛を描いてはいるものの、史実があまりない紫式部の生き方を、有名な脚本家である大石静さんがファンタジーとして描いていると思います。これも、主人公二人の演技力が高いから成り立つと思います。今後の展開が楽しみなドラマです。

こういったゆったりした流れのドラマが私はやはり好きだなと感じます。
ドタバタと、やたらセリフの多い昨今のドラマと違って、見ている方も穏やかな気持ちになれるからです。

流れの早いドラマは比較的演技力がなくても何とかなる(ごまかしがきく)ものですが、セリフやしぐさが重要になってくる重厚さを要求されるドラマの場合、演技力がモノを言いますから、かえって演じるのは難しいと思います。音楽でもそうですが「行間」を歌ったような楽曲はやはり歌唱力がないと響かない単なる単調でつまらない曲になります。先に書いた宇多田ヒカルさんの「何色でもない花」も非常に曲調そのものは単調ですが、宇多田さんだからこそ魅せられるのであって、さすがだなと思いましたし、「間」の取り方がとても大事になるドラマはやはり感動できる部分が多いと思います。

ファンタジーと言えるかはわからないですが、ファンタジーとSFを混ぜたような「不適切にもほどがある」は人気がありますが、確かにクドカンワールド全開で、笑いあり、涙ありで毎回感心しますが、これもまた、流れが速いようで「間」の取り方が難しいドラマですから、阿部サダヲさんの演技力ならではだと思うのと、毎回出てくるミュージカルもどきのシーンで、役者さんたちが皆さん歌唱力も高いんだとビックリしました。
このドラマで初めて知ったのですが、河合優実さんという方、昭和顔なのにものすごく存在感もあってうまいですね。このドラマも演技力がなければただのどんちゃん騒ぎになりがちですから、毎回感動できるのはやはり役者さんたちによるところが大きいですね。

このドラマで出てくるのは1986年ですが、既に27歳で結婚もしていた私には見覚えのあることや知っていることがたくさん出てきて、やっぱり今よりもいい時代だったなと思えます。

年を取ると過去回帰をする傾向があるのですが、その意味でもファンタジーは大切だと思います。

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