映画や絵本で泣くこと
この話を以前どこかでしたことがあるかもしれないが、映画を観ながら涙を流してしまうことが多いです。自宅にいると問題ないのですが、映画館にいると困る時もあります。まあ、エンドロールが終わって周りが明るくなるまで気持ちを落ち着かせるようにしています。
ずっとそうだったわけではありません。ここ数年のことです。
子供の頃、母親が映画で涙を流しているのを見かけると、「どうして泣くの? ただの映画だよ、お母さん」と笑いながら言っていたのを覚えています。それで母は「そうだね」と言って涙を拭いていました。子供は知らないうちに心ないことをよく言うのだと、今振り返れば分かります。あの頃、人は悲しみだけではなく、感動や幸せで泣くこともあるとは知りませんでした。場合によっては、むしろ涙が出るのが人間として自然な反応だったりします。
ちょっと前までは映画だけだったのですが、最近は絵本に感動して泣くことも多くなっています。
小説に対して感情的な反応がもちろんよくあります。喜び、違和感、怒り、絶望、悲しみなど、色々な感情が生まれるのですが、涙が出るのは珍しいです。(※例外もあります。この間読んだ『クララとお日さま』がその一つです...)
しかし絵本で涙まで感動するのは驚くほどよくあります。絵本の内容が短いからか、詩に近いような気がします。
ちなみに、どのような場面で感動するかというと、優しさがあるはずがないところに優しさがあると、涙が出てしまいます。瓶入りの手紙のように、絵本は優しい思いを運んで「世界」という海に流されています。その瓶に閉じた手紙を見つけた人は本当に幸運な者です。
このようなことを考えさせてくれた絵本を一冊紹介させてください。
数ヶ月前にふらっと立ち寄った古本屋で見つけた『Life (ライフ)』(作:くすのき しげのり、絵:松本春野)です。
この物語では、『ライフ』は小さな町のはずれにあるお店の名前です。
「お客は、『ライフ』をのぞいて、必要なものや、気にいったものがあれば、持ってかえります。
その代りに、自分が使わなくなったものや、だれかに使ってもらいたいものをおいていくのです。」
冒頭で『ライフ』はこのように紹介されています。このお店を訪れる人たちを描く物語ですが、人生に寄り添う言葉で大事なものに気づかせてくれます。
昔は感動で泣くことはなかった自分は今、涙まで感動できるのはとても嬉しいことだと思うようになりました。優しさから生まれたものはやはり無敵です。
(※メイン画像:Photo AC )
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