菅田世代の躍進、留まらず。

昨今の若手俳優のカリスマ的存在となった俳優であり、ミュージシャンでもある菅田将暉氏。
憧れや目標の存在として名を挙げる若手俳優も多い彼は、何が凄いのか!?
それは、演技力だけではない。
これまでにも俳優でありながら歌手としてCDを出した芸能人も多い。
だから決して、彼が作った道ではない。
彼が作ったのは、若手俳優の道筋だ。
彼が初めてドラマに出演したのが『仮面ライダーW』である。
今や若手俳優の登竜門と呼ばれている番組の一つだ。
しかし、その登竜門を築いたのは、彼の前に『仮面ライダー電王』で主演を務めた俳優・佐藤健氏であろう。
どちらもイケメン俳優として活躍の場を広めていく。
しかし、佐藤は、電王の放送が終了後、大ヒットドラマ『ROOKIES』への出演で一躍する事になる。
一方、菅田は、Wの放送終了後、学園ドラマや映画への出演が相次ぐも、代表作には恵まれず。
当時、共演も多かった同じ事務所の松坂桃李、山崎賢人も決して、代表作には恵まれず。
因みに、菅田将暉、松坂桃李、山崎賢人のお三方は、阿部寛主演『麒麟の翼~劇場版・新参者~』で、同級生の役で共演している。

そして、彼にとって最大の分岐点となるのが、『麒麟の翼』の公開の翌年、2013年『共食い』に主演として抜擢され、演技力を買われることになる。
そこから『共食い』で演技力を評価された菅田は、『そこのみにて光輝く』や『海月姫』への出演で、さらに演技の幅を広めて評価されることに。
そんな中、山崎は朝ドラ『まれ』への出演や中高生に人気の少女漫画原作を題材にしたキラキラ青春映画への主演作が次々と公開され、映画のワンシーンともなる「壁ドン」が流行するも現在ほどの演技力は評価されず。
菅田と同じ事務所の松坂は朝ドラ『梅ちゃん先生』への出演、主演作となる『ツナグ』で大女優の故・樹木希林との共演を果たし、主演作の映画が次々と公開されるも、それほど代表作と呼べる作品には恵まれて来なかった。
二人は、朝ドラへの出演で知名度はさらに上がっていく。
菅田もまた、作家性のある優れた作品への出演が絶えず、さらにauのCMへ鬼役で出演し、話題沸騰。
全世代に知名度を上げ、CMソング『見たこともない景色』で単独CDデビューを果たし、映画『あゝ、荒野』でさらに演技力を評価される。
その年、松坂は、後に『孤狼の血』でタッグを組むことになる白石和彌監督作品『彼女がその名を知らない鳥たち』へ出演を果たす。
一方、山崎はやはり漫画原作ではあるが、三池崇史監督作品『ジョジョの奇妙な冒険』への出演で、またも話題となる。だが、演技力への評価はそれほどではなかった。
しかし、この頃から段々と“イケメン俳優”と呼ばれる事も少なくなってくる。
来るや2018年。
菅田は、山崎主演ドラマ『トドメの接吻』の主題歌『さよならエレジー』を歌い、歌手としても評価されていく。
一方、松坂は『娼年』、山崎は『羊と鋼の森』へ出演。
これまで出演してきた映画作品とは異なる大衆向けではない映画への出演が公開される。
その翌年、これまで漫画原作のキャラクターを演じてきた山崎だったが、彼の演技力を再評価されたのは、これもまた漫画原作の『キングダム』。
松坂は、『娼年』を仕切に『孤狼の血』『新聞記者』『あの頃。』など作家性のある作品へ次々と出演し、演技力も高く評価されていく。

現在も『仮面ライダー』などの特撮番組や朝ドラは若手俳優の登竜門と呼ばれている。
そんな中、特撮出身や朝ドラ出身の俳優は“イケメン俳優”として、紹介され、演技力より見た目を重視され、国内外から高く評価される作品にも恵まれることなく、流行のドラマや映画へ出演して成長していくしかなかった。
だが、菅田のように特撮番組への出演後に演技力を高く評価され、作家性のある優れた映画への出演を果たし、これまで呼ばれてきた“イケメン俳優”という形を崩していった。
それは、菅田だけに限らない。
菅田を筆頭に、特撮出身の松坂、佐藤健、山田裕貴、志尊淳、横浜流星、竹内涼真 など。
ただの“イケメン俳優”では終わらず、演技力の評価が今、また試されているように作家性のある優れた映画への出演が相次いでいる。

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