思いやりのある仕事

2020年1月11日㈯

土曜日に行っている非常勤先の最後の出勤日だった。約2年、週1回だけ行っていた。去年の今頃は分院を開けたのもありスタッフの人数に対してアポがパンパンで、かなりヘトヘトになっていた。そのとき働いていたスタッフさんの中でひとりだけ今も働いている。

その衛生士さんはわたしがいろいろ勤めた中で一番といっていいくらい、素敵な人だった。人伝えにきいたが、社会経験の後に衛生士学校に入って衛生士歴はまだそんなに長くないそうが、てきぱきと仕事をこなして人当りも完璧だった。わたしが入って半年~1年くらいの間は、衛生士さんよりも処置ができないこともたくさんあった。でも彼女やほかのスタッフさんたちも、馬鹿にしたりすることなく本当に優しく教えてくれて、明らかなミスだったとしても大丈夫ですよ、と助けてくれたのには本当に救われた。

去年の今頃、本当に大変だった時期から数か月して、ほかのスタッフさんたちはイライラがマックスに達して辞めていった。怒るのも仕方ないと思う業務量だったのに、彼女だけは少し疲弊している感じはあっても、いらつきを表にだしているところを見たことがなかった。ピークに忙しい時期を過ぎて夏くらいから人が増えて、今ではそんなに残業することも少なくなっている。不平不満を口にせず、感情をむきだしにすることもなく、やるべきことをこなしていく姿は本当に見習いたいと思った。

勤務中にほかの衛生士さんたちの中でわたしが最後の勤務だというのを知らなかった人もいたみたいで、さみしいです、と言ってもらえたのはなんだか心がじんわり温かくなった。長くいる衛生士さんもほかのスタッフさんも、本当にみんな優しくてかわいくて、温かい場所だったことにいまさら気づいた。

勤務がおわって休憩室に戻ると、スタッフの方々にスタバカードのプレゼントをもらった。せっかくなので、お礼の言葉を述べることにした。

『いろいろな場所で働いてきて、ここのスタッフさんたちの素晴らしいと思います。何が素敵かというと、ひとりひとりがお互いに思いやりをもって仕事をしているところです。やりたい仕事以外はやらない自分勝手な働きではなくて、やりましょうか?と声をかえあえる職場はなかなか貴重だと思います。歯科業界は狭いので、またきっとどこかで会うと思うので、そのときはよろしくお願いいたします。』

ふだん考えていたことが、少し言えてよかったと思った。思いやりを持って働く。人にいうことは、そのまま自分に返ってくる言葉だと、つくづく思った。きのう上野駅で買ったお菓子を渡して、職場をあとにした。もっと豪華なやつにしてもよかったかな、と帰りの電車で思った。

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