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私は女になりたい 窪美澄

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帯には、妻でもなく 母でもなく 娘でもなく。
これは最後の恋、なのだろうか。とある。
裏帯にはもう一度軽やかな私へ 美しい人生讃歌小説 ともある。

いつもなら、一見陳腐に思えるこれらの言葉で本を買うことは無いが、カバー絵が印象的だったのと、主人公の年齢が47歳であることに興味を持ち、購入した。

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やはりこの手のありがちな恋の話か、と義務的に読み進めていたが、主人公が年下の恋人との別れを心に秘めて神戸を旅行するあたりから、次第に引き込まれていった。
若い男と恋をして、自分の老いを自覚し、傷つき別れる。それでも自分の人生を過ごしてきたプライドを持って主人公は53歳となる。
53歳。ああ素敵な年齢だ。

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261頁
子育てのゴールはいつなのか、わからないまま無我夢中で育ててきたけれど、それは子どもの結婚なのかもしれない、と思った。

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そうなのか。だと良いけれど。

主人公は別れた恋人と再び出会い、その彼の、男として彼女を決して離さないという力を、自分の人生の中に勢いを持って取り込み、古い枷も消化して、見えない未来に向かって進んでいく。二人の本当の結末はわからないが、若さに似た眩しいラストシーンで物語は終わった。

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帯にあったように、軽やかとは思わなかったが、そうだなあ、たしかに「人生讃歌」なのかな。

カバーをめくった表紙の色が、ラベンダーっぽいピンク色だった。安っぽい様でもあり、柔らかさを持った色の様でもあり。

心を惹かれて、嵐のように男に奪われるタイミングも人生にはあるかもしれない。巻き込まれたらきっと抜けられないだろう。
安いピンクか、美しいラベンダーグラデーションか。それとも地獄に落ちるのか。

いや、物語は物語。架空の主人公の物語。
私は、ふわふわと今の私を過ごしましょう。
そんな風に少しだけ、突き放した気持ちになりました。