アートシンキング

難しく考えないで、アート・シンキング

美術館でもビジネスパーソン向けのセミナーが開かれる時代です。アート・シンキングが注目されています。でもあまり難しく考える必要はありません。学校の美術の授業を思い出してみましょう。

写実画の場合、描く対象をじっと観察します。そのうち、気づかなかった微細な部分が見えてくる。影の存在が大切なことも分かってくる。対象の構造が透けてきて絵の構図を決めるのに役立ちます。

抽象画の場合だと何を描くのかをイメージします。何だか分からないけれど大きな円が2つ重なり合う感じとか…絵を描くなかでのそうした思考プロセスを「自覚」することが大切です。

観察、イメージの創出、構成…これって、商品開発などでも同じ手順を踏むわけです。アートの面白さは縛るものが一切ない中で前へ進むことです。

模写の場合はどうかという疑問を抱く方もあるかも知れません。対象をそっくりまねる。でも、うまくいかない。「あっ、この画家はこんなテクニックを使っているのか」とやがて見えてくる。これも、ビジネスで使えますね。他社の商品開発の過程をていねいに頭のなかでシミュレーションするのです。「A社の場合、既存商品のあの弱さを補おうとしたのだな」「でも、A社にはそれを補う技術がない。そこで、方向転換してこの商品へと飛躍したのか」など。

写実画を描く。抽象画に挑む。模写に努める。いずれもアートを生み出す過程にヒントが詰まっています。手を動かすことが新しい思考スタイルを教えてくれるのです。

ヤフーニュース個人 2019.12.1

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