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私的推薦盤~角松敏生『SEA IS A LADY』

最近サボり気味……。仕事が忙しかったこともあったけど、体調もイマイチ、気持ちも下がり気味、こういう時って、音楽を聴くことからも遠ざかるというもので、二週間ほど音楽を何も聴かないまま過ぎてましたね。たまぁにそういうことがあります。梅雨のせい? う~ん、たぶん違う。なんだろな、年に何回かあるんですよ。まぁだからといって仕事休んだりイライラして家族に当たり散らしたりってことはないわけで、なんかこう静かに過ごしちゃうわけですよ。

とはいえ、いつまでもそうだとなかなか気持ちも上がってこないわけでして、そういう時って何かきっかけを使って気持ちを盛り上げようとするわけです。そんな時には音楽も重要なツールだったりします。というわけで、私が気分を上げるときによく聴く音楽がこれ。

角松敏生の『SEA IS A LADY』(1987)にはよくお世話になってます。

角松を初めて聴いたのは高校三年生の時だったかな。『GOLD DIGGER』(1985)を何気なく借りてきて聴いたのが始まりでしたね。角松っていうと「シティー・ポップス」の代名詞みたいな人だと思い込んでいたわけですけど、まぁそれはある程度当たっているとして、クオリティーが高ければそれが何であろうと良いものは良いと感じるわけですよ。バブリーなイメージで食わず嫌いを決め込んでいる人がいたら、それはちょっと改めていただきたいかなぁと思うわけです。何を隠そう私もそんなイメージが先にあって、オリジナルアルバムを聴いてみるまではちょっと偏見があったことは正直に告白しておかんといかんでしょうな。

とはいえ、1985年というと、私はどっぷり洋楽やらフュージョンやらに浸かっていたころでして、J-POPから一気に距離を置き始めた時でもありました。だから、なんで角松に手が伸びたのか、まったく記憶にないわけです。非科学的ですけど、「縁」なんですかねぇ。

とにかく『GOLD DIGGER』の「Tokyo Tower」のベースソロがめっちゃかっこよくて、それでドはまりしたというのがあります。他にも女性の「あの」声がサンプリングされているものもあって、青い高校生の私にはちょっと刺激的だったりして(今の高校生ならなんてことないんだろうけど……)。

あ、『SEA IS A LADY』だった。実はこれを聴いたのはかなり後になってから。いつだったかなぁ、もう忘れちゃったんですけど、1987年といえば私が大学1年生の時で、人生で一番お金が無い時期でもありました。だから到底買えるわけもなく、存在すら知らんかったわけです。おそらく25歳ごろになってようやく知ったんですけど、実はこれよりも先に『LEGACY OF YOU』(1990)を中古で手に入れてます。これで初めて角松がギターインストのアルバムを作っていたことを知ったわけです。角松ファンには怒られそうですな。

で、例によってクレジットをやたらと見てしまう私でして、当時は本田雅人を聴き始めていて、徐々にフュージョンに回帰し始めていたわけです。本田雅人もしっかりクレジットされていて、ベースも青木智仁師匠だということがわかり、さらに情報をたどっていくと青木師匠が角松の盟友だということもわかってきて、なんだか自分がものすごく損してきたなぁという印象がありました。当然「Tokyo Tower」のベースは青木師匠だったわけでして、そうなると『SEA IS A LADY』を聴かずにはいられなくなるんですね。

まぁとにかく「SEA LINE」がかっこいいのなんのって。もうため息しか出ませんよ。そりゃぁ海なんてそうおいそれといけない私ですし、かわいい女の子と海に行った経験など無い私ですから、曲が醸し出すイメージとは対極的なところで若さを無駄に消費していたわけですが、それはあくまでもイメージ的なもの。曲としてのクオリティーは実に高いと私個人は思っておるわけです。「OSHI-TAO-SHITAI」なんて、櫻井哲夫と高水健司という二大ベーシストを惜しげもなくフィーチャーしてたりするわけなんですが、私からすると「青木師匠一人で十分やんか」という感じでもありますが、そのあたりはライブ映像なんかを見ると満たされるわけです。

「歌ってない角松なんて……」というファンはいないんでしょうが、ボーカリストとして歌っている角松がインストものを出すというその心意気が素晴らしいと思うし、そしてクオリティーも高いなんてきた日にやぁ、もう脱帽しかしませんね。ただ、『LEGACY OF YOU』は私的にはイマイチなところもあって、その次がどうなるんだろうと思っていたら青木師匠が急逝。角松は「青木さんなしのギターインストアルバムは考えられないんで」といって結局構想はあったもののそのままになっちゃいましたね。実に残念。

とはいえ、2017年に『SEA IS A LADY 2017』というリメイクを出しています。お気に入りの「SEA LINE」もややテンポが緩い感じがして、私としては最初のバージョンの方がいいかなぁと思いつつ、老練さが加わった方も捨てがたいという感じですね。

そんなわけで、私は角松の熱心なファンではないけれども、インストものに関してはホント好きなわけです。あ、角松に関してはもう一つ触れたいことがあるんですが、それはまた別の機会にしておきましょう。

……というわけで、少し気分がアゲアゲになってきた私でした。

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