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私的推薦盤~本田雅人『Cross Hearts』

コロナのせいで、自粛、自粛、自粛……。まぁしょうがない。私はもともとインドア派なもんで、この自粛はそんなに苦ではない。だがライブには以前は結構行っていたわけで、それがまったく行けなくなったのはちょっと寂しい。まぁ親の介護もあったんでライブどころではなかったのだが、一段落ついた今はコロナがなければライブにでも行きたいところだ。だが自分が行きたいと思うようなライブはなかなかやっていない。仕方ないな、これは。

そんな私が以前よく足を運んでいたライブというと、ジャズ・フュージョン系のミュージシャンたちがやっているセッションを中心としたものが多かった。なんといってもアドリブ(インプロヴィゼーション、というべきなのかな?)が楽しいわけで、CDとは違った趣があっていいものだ。だが自分の好みでライブを選んでいると、出演するミュージシャンもだんだん偏ってくる。その一人が、本田雅人なわけである。

本田雅人というと、T-SQUAREの2代目フロントマンで覚えている人も多いかもしれないが、それもずいぶんと過去のこと。なにせ、私がまだ独身のころだ。とはいえ、T-SQUAREのフロントマンだった時から私は度肝を抜かれた。有名な「Truth」を聴いてみてほしい。伊東たけしとは全然違う。本田雅人がEWI(Electric Wind Instrument)でやることもあったみたいだが、ソプラノサックスでやっているのがなんともすごい。

T-SQUAREを離れてからはずっとソロとしてやっているわけで、その腕前からレコーディングやらバックバンドにも引っ張りだこである。角松敏生のバックとしてはもうずいぶん長いことやっている。

まぁとにかく多彩だこと。アルトサックス以外にもソプラノ、テナー、バリトン、トランペット、フリューゲルホーン、クラリネット、フルートといった「吹きもの」はなんでもござれ。かなり前になるが、彼のDVDを見ると、次々と楽器を持ち換えて吹く、「持ち替え究極メドレー」なるものがある。

まぁとにかく楽しい。リコーダーまでいろんなリコーダーでやっちゃうわけだから、「吹きもの」の天才なのね、と思ってしまう。

そんな彼もたくさんソロアルバムを出しているわけで、私が一番好きなのが、『Cross Hearts』(2001)である。

とにかく曲調は「ド」がつくくらいのフュージョンなので、私の大好物である。一曲目の「Parallelogram」からイキがいい。3曲目の「K2」も私好みのキレキレのフュージョンで、当時の盟友青木智仁師匠のベースと相まってホントかっこいい。8曲目の「アマヌサの海」は角松敏生の曲をインストバージョンとしてカバーしたもので、これもいい。とにかく無駄がない。ホント、このアルバムは何回聴いたかわからないくらい大好きなのである。

いままでずいぶんとソロアルバムを出してきているわけだが、最近ちょっとご無沙汰なのが残念なところ。もっともっと出してほしい気もするのだが、とにかくマイペースな人のようだし、気長に待つしかないのだろう。彼のトークもちょっと、というかかなり独特で面白いので、ライブに行ってあの「本田節」を聞きながら彼の奏でる旋律に酔いしれたいものだ。

ところで、T-SQUAREのファンから本田雅人ってどう評価されているのか、実は私はあまりよく知らない。安藤まさひろが「これ以上T-SQUAREを壊さないでほしい」と言ったことに愕然として脱退を決めたという噂もあるわけだが、まぁそんなことは私にはどうでもいいわけで、実をいうと私はT-SQUAREは本田雅人在籍時が一番好きだったりする。知人のT-SQUAREファンは、「本田雅人はフュージョンっていうよりブラス・ロックっぽかったからね」と言っていたけど、どうなんだろ。まぁ、「MEGALITH」を聴いたらそれもうなづけちゃうかな。

最近はYouTubeとかでも発信しているみたいだけど、彼のトークはライブでも長いことで有名で、YouTubeでも一本の動画がやたら長くて私はほとんど見ていない。そろそろ見てみようかな。


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