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50の手習い(EWI奮闘記)~Ⅵ.練習につぐ練習

1.      50を過ぎたオッさんにできること

①     寝る前の30分~45分

 新しいものにチャレンジするには、とにかく根気が必要です。オッさんになってくるとなかなかその根気っていうやつが続かないものでして、私としてもそれが一番心配なことではありました。とは言え、長年あこがれ続けてきた笛ものをとうとうやれるという喜びは自分でもびっくりするほど大きかったようです。

 私は仕事から帰ると、食事をしてその後寝る前にとにかく30分から1時間くらい(でも45分がいいところかな)は毎日練習しています。私が練習している時は、妻はソファーで寝てしまいます。だいたいそういうパターンです。とにかくEWIは、私の荒い息遣い以外は何も聞こえませんので、家族の迷惑にならないのはありがたいことです。たまにヘッドフォンから漏れてくる音を妻が聞いて、「いいんじゃない?」って言ってくれることもあるわけなんですが、それもまたうれしいものです

②     やりたい曲を探す
 やりたい曲をいろいろ探すのもまた楽しいものです。ただとにかく初心者なので、♭や#がたくさんあるとお手上げです。現在のところ♭も#も三つまでならなんとかなるなぁという感じです。♭だと「Bisキー」というものがあるので、一つでも♭がついていればBisキーに触っているだけでBはB♭になります。サックスをやられている方には当たり前なことなんですが、私は初めて知りました。でもこれは楽ですね。つまり、♭が一つならばほとんど気にすることなく吹けるわけです。

 ですので、やってみたいなぁと思った曲は、前述の「ぷりんと楽譜」や「@Elise」で探し、そこにあればサンプルを見て♭や#の数を確認。3つ以内ならばMIDIデータを探してみます。MIDIデータもあれば、楽譜とデータで500円でお釣りがきますので、お小遣いで手に入れることができます。洋楽だったら運が良ければ無料のデータも見つかるので、そうすれば譜面代だけで何とかなるわけです(その譜面すら無料で出ている場合があります)。そうやって曲を探すのもまた楽しいものです。私の場合、家にCDがめちゃくちゃあって、スマホにも7000曲ほど入っていますが、演奏するとなるとまた別ですね。音源が無くともなぜだかやりたくなる曲っていうのが出てきたりして、本当に不思議なものです。次はどんな曲が見つかるかなぁなんて考えながらやるのも、この歳になって始めるには良いことだと思います。最終目標はJazz Fusionなんですけど、まずは基礎が身につかないといけませんので、レパートリーを増やしつつ基礎力を身につけようと考えているオッさんでした。

③     ネットを見ながら音の編集にも徐々にチャレンジ

 Cubaseの方はというと、正直あまりレベルは上がっていません。音色を変えるところまでは少しできるようになったかなぁとは思うのですが、楽典の知識がとにかく乏しいので、そういった勉強も今後は必要になるなぁと感じています。フェードアウトで終わってしまうような曲をきちんと終わらせるには自分で最後の部分を書き換えていかないといけなくなります。音楽をきちんとやっている人からすれば「なんだそんなこと」って笑われるかもしれないんですが、ずぶの素人からすればそれだって結構未知の世界なわけですよ。

 幸い中学の時にフォークギターをやっていたせいかコードの知識は多少ありますし、ペンタトニックスケールに毛の生えたようなものくらいは知っていましたから、DTMはこれからの楽しみということになりそうです。しがないサラリーマンからすると、まずはEWIの方の技量をなんとか高めるのに必死で、時間がそんなにとれないわけです。体力も低下している以上、夜寝る時間を削ってまでやるのは正直しんどいのです。でも今は本当にネットでいろんな情報が入手できますので、いろいろ勉強しながらDTMの方もやっていきたいと考えています。

2.      初めてのアドリブ

①     竹内まりやの「Plastic Love」

 本当に偶然なんですが、動画サイトを見ていたら竹内まりやの「Plastic Love」を英語でカバーしている人がいることがわかりました。聴いてみたら結構いいんですよね。そしてこの曲がいろんな人にカバーされていることがわかりました。どうやらFuture Funkというムーブメントがあるらしく、80年代のJ-Popが再評価されているんだそうです。私はまだ手を出していないサブスクの影響もあるらしく、いろんな人がカバーしています。だったらインストでカバーするのもいいのではないかと思い、またいろいろ探してみたら、MIDIデータまで発見。いいのかなぁ、と思いつつ入手してみると、これが結構出来がいいのです。譜面もMusescore.comにありました。ということでやってみることにしたのですが、最後のところでちょっとアドリブやってみようかなぁという軽い気持ちでやってみたら、これがまた気持ちがいいんです。単純で適当なんですが、楽しい。毎回違って毎回いい、ってなんか相田みつおの詩みたいですが、これもまた楽器のだいご味ですね。ただなんの根拠もないフレーズの作り方なんで、人が聴いたら失笑されるようなアドリブですけどね。

②     椎名林檎の「丸の内サディスティック」

 椎名林檎は家にCDが一枚も無いのにEWIでやってみようとしています。彼女の「丸の内サディスティック」は玄人ウケするみたいでいろんな人がカバーしています。Jacob KollerというピアニストがピアノトリオでJazzアレンジやっていたのを動画サイトで見て、自分もやってみたいなぁと思ったのがきっかけです。MIDIデータもちゃんとお金を払って入手し、やってみたらこれが結構楽しい。アルトサックスにするかソプラノサックスにするか迷いましたけど、これはアルトサックスの音がいいかなぁと思っています。ただ、E♭にはせずにやっています。これが良いか悪いかは判断が分かれるところですが、よしめめ氏いわくちゃんとトランスポーズしてアルトサックスのキーにした方が音がいいということだそうで、そのうちE♭で練習しようかなぁと考えています。でも今のところ楽しく吹けています。そしてエンディングのあたりではやっぱり適当なアドリブを入れてみることに挑戦しています。アドリブを入れやすい曲っていうのがあるんでしょうかね、私の場合はこの曲もアドリブを入れやすい曲のように感じています。

自分で清書した丸の内サディスティック。PDFで譜面を購入すれば別に打ち直す必要はないんですが、Musescoreで書き直すと、難しいフレーズなどは再生して確認できるで都合がいいんです。

③     気づけば女性の曲が多いな


 と言うことで、今私が取り組んでいる曲は、意外にも女性の曲が多くなっています。中島美嘉の「雪の華」、椎名林檎の「丸の内サディスティック」、竹内まりやの「Plastic Love」、柴崎コウの「月のしずく」、Ann Murrayの「Take Good Care of My Heart」(Whitney Houstonのバージョンよりも私はこっちのほうが好きなので)、Sadeの「No Ordinary Love」、Cindy Lauperの「Time After Time」「True Colors」、一青窈の「ハナミズキ」と、いやはや女性の曲が多いですね。

 実は私は女性の曲って一部の人を除いて今まであまり好んで聴いてきませんでした。特に理由はないんですが、歌ものの曲だと男性の曲が多かったんですね。完全な好みの問題なので、女性がどうのこうのっていうわけじゃないんです。

 ただ、思い返してみるとメロディーそのものを聴くと割といい曲っていうのが結構あって、例えばアイドルの曲なんかでも、どんなにそのアイドルがへたくそでも曲は良いってことがありますよね。「あぁ~、曲はいいのに残念だなぁ」という場合って結構あるのではないでしょうか。私の場合だと、「インストにすると結構いいんじゃないか」って思うこともあるわけでして、このあたりはJazz Fusionにハマった人間ならではの感覚でしょうかね。

 そういうわけなので、女性ボーカルにちょっとばかしアレルギーがあっても、「インストにしたらいいのではないか」って思う曲も割とあったわけでして、それがいざEWIをやり始めてみたら表面化したっていう感じなんですね。

 ちなみに男性の曲だと、スターダスト★レビューの「木蓮の涙」を皮切りに、Steve Winwoodの「Valerie」、平井堅の「瞳をとじて」を練習中です。あらま、女性の曲に比べると圧倒的に少ないですね。別に男性がどうの、女性がどうのっていうわけじゃないですが、男性の曲ももう少し増やした方がいいかなぁと思わなくもないです。もっともMIDIデータの入手のしやすさも影響します。これまでやりたいと思ってもMIDIデータが無くて断念したものも結構ありますから、男性の曲にMIDIデータが無いものが多めだったとも言えますが……。

④     妻からのリクエスト、ToToの「Georgy Porgy」と、Ann Murrayの「Take Goog Care of My Heart」

 夜な夜な荒い息遣いをさせながら練習する横でソファーに寝転がる妻から「Totoの曲やってみたら?」というオファーをいただきました。「Georgy Porgy」という曲は、FusionバンドのDimensionもカバーしていましたし、天野清嗣もカバーしてました。玄人ウケする曲なんでしょうね。MIDIデータもちゃんとネットに転がってました。洋楽はフリーのデータが多いですね。これならやれるかなぁと思って「ぷりんと楽譜」でキーを確かめたら「やれそう!」となり、新たなレパートリーに。同じようなメロディーが続くため、わざわざ楽譜を買うまでもないかなぁと思って耳コピしてみたら、これが結構イケます。ただ、同じようなメロディーが続くと言うことは、解釈が難しい曲だということも言えます。単調になってしまわないようにベンドをうまく使ったり、装飾音符を入れたりする必要もありますし、終わりの方はアドリブを入れていかないと盛り上がりません。まぁこれもチャレンジですね。またタンギングが結構しんどい曲でもあるので、練習にはちょうど良かったです。加えて、ほとんど使えないなぁと思っていた00番のアルトサックスを一オクターブ下でやってみるとこれがぴったり。なるほど、こういう曲に合う音色なのね、と一つおりこうさんになったわけです。

 もう一曲、Ann Murrayの「Take Good Care of My Heart」も耳コピした曲です。初めて聴いたのが中学生の時ですから、いやはや30年ぶりにこの曲のことを思い出してやってみようかと思ったわけです。さがしてみればMIDIデータはフリーのものが結構ネットにあって、しかもよくできていたものですからメロディーは耳コピでチャレンジ。譜面はWhitney Houston版の方しかなかったので耳コピするしかなかったわけですが、それでもまぁ結構イケます。ちなみにC#の指使いはこの曲で慣れました。これもエンディングのあたりでアドリブを入れてやると結構いい感じになりました。まぁ単純なスケールでやっているアドリブですからたいしたことはないんですけどね。音色はソプラノサックスを使っています。でも07番のソプラノサックスは、C#やDのあたりは結構いい感じの音になるんですが、それより上の音になるとどうもエッジが丸すぎる音になってしまって今一つ気に入りません。そのうちシンセっぽい音でやってみようかなぁと考えています。

3.      気づけば腱鞘炎に


 とにかくこんな感じで毎日30分~45分間練習してますので、いくらセンスに乏しい私でも少しずつ技術は上がってきているのかなぁと思っています。新しい曲にチャレンジして、伴奏つきで最後まで吹ききれるようになるまでの時間が短くなってきましたから。

 それにしても私の目標ってどこにあるんだ? って思います。バンドをやっているわけでもないからライブでやるっていうのもちょっと今のところ難しい。じゃぁストリートライブ? 笑われるのが関の山。う~ん、何がいいのだろう……と考えていたら、動画サイトへの投稿になるんですかね。「〇〇をやってみた」的な動画を撮れたらどうなんだろうと思うわけで、あれだと顔出さなくていいし(堂々とお顔を出されている方もいらっしゃって尊敬します)、悪い評価がついたらすぐ消せばいいし……。著作権の問題をちょっと勉強しないといけないですが、でもなんかできそうな気がします。目標が定まらないとモチベーションも上がらないですからね。まぁいつになることやら、っていう感じですが、当面はそれが目標になります。

 でもそんなある日、右手の親指の付け根が妙に痛いことに気づきました。なんだろ、内側に曲げようとすると、突き指デモした時のような痛みが走ります。字を書く時にちょっとしんどい感じです(と言っても筆記具を持てないほどではないです)。

 「なんかしたっけかな」と思いましたが思い当たることはなく……いや、あるんですよ、一つだけ。EWIのベンドです。EWI Soloからはアップ・ベンドは廃止されたようで、だいたいの人がダウン・ベンドの方を使っているようなのですが、私もその例にもれずダウン・ベンドしか使いません。その指の使い方がまんま親指の痛みに合致するわけです。病院へ行ったわけではありませんが、これはもう間違いなく腱鞘炎の初期症状です。やればやるほど痛いわけで、困ったなぁと思っていたのですが、ふと立ち寄った薬店で良い感じのサポーターが売っていました。そういえば同僚が一人そのサポーターをしていたことがあって、あんまり仲のいい同僚ではなかったものですから自分の症状を自慢げに語る彼のことを結構冷めた目で見ていたわけなんですが、まさか同じものをする羽目になるとは思ってもみませんでした。

親指の曲がりすぎを防ぐみたいな感じです。完全な固定ではありません。


 とは言え、これをはめると、痛みが全然なくなるわけではないのですが、かなり軽減されます。今ではもう痛みもあんまりなくなってきたので使っていませんが、またそのうちやらないといけないことになるかもしれないですね。

4.      なんだかんだ言ってもオーボエの音が好き


 ところで、宮本文昭にあこがれていたというのは前に書いた通りですけど、EWI5000のオーボエの音は、私的には結構気に入っていて、練習にもモチベーションが上がるきっかけとなりました。柴崎コウの「月のしずく」や平井堅の「瞳をとじて」はオーボエの音色でやっています。前に書いたソプラノサックスの音が音域によっては今ひとつかなぁと感じるのに比べ、オーボエは私の耳にはどの音域でもそれほど変には聞こえません。

 じゃぁ宮本文昭の曲を! となるかと思いきや、まず譜面がありません。それに彼はクラシックの人ですから、本気でオーボエの譜面を探そうとすればクラシックになってしまいます。吹奏楽の譜面ではオーボエ用なんていうのもあるんですが、合奏するわけじゃないのでこれも無理。

 じゃぁ宮本文昭の曲は無いのかと言うと、あると言えばあります。「風笛」というドラマのテーマ曲にもなった大島ミチルの作曲したものがあります。宮本文昭はポピュラーな曲もやっていましたが、その方面では彼の代表曲といってもいいかもしれないですね。じゃぁやってみるかと思ったのですが、耳コピだとなんかうまくいきません。こりゃぁ譜面探すしかねぇなと思って探してみて、これはサンプルも見ずにピアノ伴奏つきの譜面を買ってみたんですが、なんと#が5個もついているじゃないですか……。もう絶句です。トランスポーズするしかないくらいの技量ですが、トランスポーズはできればやりたくない……。となると自分の技術を上げるしかないわけですね。当分はお蔵入り状態ですが、いつかはやってみたいと思っています。

5.      EWIの音作り


 EWIは当然のことながらPCで音作りが可能です。4000sと5000ではソフトが違うようで(音源方式が違うんだから当然か)、付属のCD-ROMかもしくはメーカーサイトからのダウンロードになります。私は最新バージョンになってるといけないと思ってメーカーサイトからダウンロードしましたが、変わってはいないみたいですね。

つまみ類がとにかく使いづらい。

 で、このソフトEWI 5000 Editorですけど、使いやすいのか使いにくいのか、結構微妙です。音楽系のソフトではわりとあるあるなんですが、画面上のツマミをマウスでいじるようにして調整するのです。これが私はどうも好きではありません。微妙な調整にはすごく向かないような気がしますね。これだったらいっそのこと数値入力の方がいいのではと思ってしまいます。

 加えて、私が使っているPCはノートなんですが、解像度が良すぎるせいか、一つ一つのツマミがすごく小さくなってしまうわけです。そのたびに解像度を変えるのも面倒くさいし、だけど老眼にはこの大きさはきついなぁというわけで、ちょっと困っています。

 そういう操作性の中で、音作りはなかなかはかどりません。と言うのも、一つ一つの用語の意味がよくわからないんです。音楽系の機材って、ホントよくわからない用語が多すぎます。ある程度やっていればわかってくるのかもしれないのですが、このあたりを丁寧に解説してくれているサイトってないのでしょうかね。いきなり「エンベロープ・フィルタ」なんて言われたって、「何それ?」なんですよ。「LFO 1 モジュレーション」……はぁ?って感じ。エフェクトの方だとリバーブとかコーラスは、ギターとかベースをやった経験があれば多少はわかりますが……。

 そういうのをあれこれいじって自分の音作りをしていくっていうことなんでしょうが、やり始めると泥沼にはまりそうで怖いです。とりあえずシンセっぽい音ってことで49番の「Reece」とか67番の「Mono Edge」あたりのリバーブやコーラスを少しいじってみるのが今の私の限界です。始めると我を忘れて時間ばかりが経過してしまい、日々の練習時間が削られてしまうからです。このあたりは休日にでも一度腰を据えてやる必要がありますかね。

 あと、意外だったのがセンサー?の感度が「ハイレゾ」と「ローレゾ」っていうのがあることがわかって、デフォルトは「ローレゾ」でした。でも実際は「ハイレゾ」の方が当然いいわけですが、「ハイレゾ」にしたらちょっと抵抗感が強いですね。その分だけ苦しく感じるわけで、せっかく鬼のような肺活量もあまり有効ではありません。

 こういうセッティングの出し方もいろいろ時間をかけて詰めていく必要がありそうです。買ったときのままの設定で満足しているうちはダメということですかね。そろそろプリセットの音にも不満が出てきつつありますので……。





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