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関友美の連載コラム「色とりどりの魅力的な青森の地酒」(リカーズ8月号)

リカーズ連載日本酒コラム
「そうだ。日本酒を飲もう。」8月号です☺

「色とりどりの魅力的な青森の地酒」
よろしければ、ご高覧ください。

そうだ。日本酒を飲もう。四杯目
色とりどりの魅力的な青森の地酒

ここのところ、青森県に縁が深い。記憶の中の青森といえば、中学校の修学旅行で十和田湖にいって遊覧船に乗って、乙女の像を見た・・・気がする、というくらい曖昧なもの。しかしあれから20数年。近ごろでは、多いときで月2回青森に出張することもあります。大人になって訪れる青森は、春夏秋冬すべての景色が美しく心癒されます。

青森と大きく近づいたキッカケは、「北洋硝子」さんからの依頼でした。彼らがつくる伝統工芸「津軽びいどろ」のおちょこや片口と、地元・青森の日本酒をタイアップさせた記事をホームページに掲載したい、という内容です。青森を西へ東へ、6つの酒蔵を取材させてもらった頃から青森との深いお付き合いがはじまりました。

はじめて取材で訪れる青森の酒蔵は、とても印象的でした。なかでも、憧れの「田酒」を醸す西田酒造店の西田司社長との出会いは忘れられません。義父である先代が立ち上げた「田酒」を明確にブランディングして「入手困難な幻の酒」として揺るぎない人気を維持し続けてきた立役者です。ストレートにズバッと発言する性格の西田社長を前に最初はおっかなびっくりでしたが、内容は納得できるもの。たくさん勉強させていただきました。伝統産業ゆえに、昔ながらの先入観や慣習がべっとりと定着しているのが酒造業界の常です。しかし西田家の娘婿であり、かつて異業種で働いていた西田社長は、既存のやり方に次々疑問がわいてきたそう。製造工程や流通の見直しといった業界のタブーにも手を入れました。すべては、「透明感があっておいしい日本酒を造り、劣化させることなくお客様の手元まで届ける」という最終目的のために。青森県を想い、業界全体を広く見据える西田さんの人柄にも触れ、さらに憧れが増しました。

この春には、さらに6蔵を取材しました。「田酒」「豊盃」といった往年の有名銘柄だけでなく、青森にはいくつもの銘酒があります。駒井兄弟を中心に若い蔵人が団結して海外でも評価される「陸奥八仙」。杜氏が米作りから手掛ける「鳩正宗」。歴史に翻弄され、生家でなく別の場所で再始動した五戸の「菊駒」。創業から211年目の挑戦「稲村屋」。大規模施設を工夫して小仕込みに対応する「じょっぱり」・・・など薦めればココでは書ききれません。蔵ごとに規模も事情も違います。辿った文化も異なりますが、現在では青森県一丸となってPRに励まれています。魅力的な青森の地酒を、ひとりでも多くの方に知ってもらいたいです。

2021.08_関氏-改 (1)


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