キャプテンが示すビジョン/宇田川侑希 Vol.3
◆Vol.1から続く
◆Vol.2から続く
積水化学女子陸上部入社後に痛感した実力差、
長引く怪我の影響。
そんな辛い時期を乗り越えたからこそ今があると、
宇田川侑希選手はいいます。
チームとしては、
クイーンズ駅伝2位と過去最高順位を記録。
個人でも東京五輪出場内定者が出るなど、
良いニュースが続いた2020年。
実際は、全て順風満帆だったわけではありません。
でも、実りの多い一年を終えて、宇田川選手は
「来年も、もう一度キャプテンをやりたい」と語ります。
楽な仕事じゃないのは痛いほどわかった
「キャプテンになる前は、野口監督とあまり深い話をすることもありませんでしたが、去年は話す機会が本当に増えました。こんなにチームについて話したことがなかったので、野口さんのチームにかける想いなどが、すごく分かりました。本当に熱い人だなと思っています」
一昨年の夏にキャプテン就任の話をもらい、
「最初は絶対無理だと思った」宇田川選手は、
もうそこにはいません。
様々な言葉で励ましてくれた仲間やスタッフ、
従業員の方々の協力を得て、
彼女は成長しています。
「駅伝の前やクイーンズ駅伝が終わって、改めて“来年もキャプテンをやりたいな”と思いました。簡単なことじゃないし、楽な仕事じゃないのは、この1年を通して痛いほどわかりました。でも、ベースがある程度築けてきたし、次の目標としてクイーンズ駅伝優勝を狙っていきたい。その優勝チームのキャプテンの立場にいられるとしたら、すごく嬉しいだろうと思う。だから、昨年の結果も受けて、今はすごく前向きに捉えています」
もちろん、その重責を担うには、
自分もさらに、その役割にふさわしい
人間でいなければなりません。
「チーム内でもう少しできることがあったと、去年は感じました。例えば、どこか改善しなければならない点が出た時、見て見ぬふりをしてしまうことが、現実的にはあった。今年はそこを見逃さないで、微調整しながらどう改善したら良いのかやっていきたい。夏から駅伝に向けてチームの結束が固まったので、もっと手前から駅伝優勝を意識した中で、本番を迎えるような体制を取りたいと思います」
「駅伝優勝へのモチベーションも、忘れることは無いですけど、常に持ち続けるのは簡単じゃない。だから、その都度みんなに、何回も聞いていると言われるぐらい、しつこく言い続けていけたらいいのかなと思っています」
愛されるチームへ
そして目指すのは、「実業団の中で一番応援されるチーム」だと、彼女は明確にビジョンを示してくれました。
「去年で注目度が上がり、今年は優勝を目指すものだと、周りの人も思っているはずです。当然、記録会だったり、個人の選手の記録にも目が行くと思う。だから、一人ひとりがレベルアップしないといけないし、全員がちゃんと走れないと、強い選手が頑張っても結局あそこに頼っていると周りから思われてしまう。そう思われたくないのもあるし、みんな頑張っているので、全員の成長が今年は重要になると思います」
「今年はコロナウィルスの影響で、会社の人たちも気持ちが落ちている中で、プリンセス駅伝で優勝して、すごく喜んでくれたのを感じました。やっぱり、自分たちができるのは走ること。シンプルだけど、走ることに全力を注いで、走っているからには結果につなげたい。そして、従業員の人たちはもちろん、暗い感じになっている日本中を元気付ける、勇気をもらえたと言ってくれる人の力に少しでもなりたい。だから、“実業団の中で一番応援されるチームになりたい”と、個人的には勝手に思っています」
考え始めた瞬間から、未来は始まっています。
キャプテンを経験して一回り大きく
成長した宇田川選手の未来に、
さらなる期待がかかります。
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