“出場するための練習”じゃなく、世界で“決勝に残る練習”を/山本有真③
パリでの5000mレース前半は、
自己ベスト目指して集団を抜け出し、
単独トップで3000m過ぎまで走り切った山本有真選手。
しかし、3200m付近で追い付かれると、集団に抜かされ、
以降は苦しい戦いになりました。
きつかったけど、これも大事な一瞬
「3000過ぎぐらいでちょっと厳しいかなと思ったんですけど、先頭で脚を使いすぎたのもあって、ついていけませんでした」
「あの時はけっこう風もあって、追いつかれた時点で多分、向こうの集団は自分がラストで走るぐらいの速さだったので、ついていくには厳しいペースでした。今から思えば、後ろで走っている選手ともっと一緒に粘って走れたら良かったなとは思います」
終わってから振り返ると反省は尽きません。
それでも、キツい終盤で考えていたのは、
この貴重な瞬間を無駄にしないことでした。
「きつかったけど、これも大事な一瞬だなって思いながら、走っていました。でも、気持ちはだけ前に行って、足だけついてこないみたいな感覚でしたね。やっぱり“強さ”を感じたし、予選通過だけ狙っているのと、それより上を狙っている選手との差なんだなとは感じました」
何かを残したい気持ちがすごく強くなった
フィニッシュした後、考えたのは、
ちゃんと大会を楽しめたこと。
そして、自分の力不足です。
「1番は楽しかったのが大きかったですけど、『終わっちゃった』ってなったし、思っちゃいけないけど『もう1回やり直させて』とも思いました。世界陸上の時も今回も、充実した練習を積んで、スタートラインには立てた。自己ベストが出せると思って狙いにいったけど、どっちも全然、程遠い結果でした。やっぱり大舞台で記録を出す難しさを実感しましたね」
少し時間をおいて、その時間を振り返ると、
やっぱりアスリートとしては悔しさが残ります。
「結果は予選敗退という、なんでもない結果だったので、とにかくそこで結果を残して、決勝進出だったり、自己ベストだったり、何かを残したいなという気持ちがすごく強くなりました」
「悔しいですけど、世界陸上の時より一歩成長したなと思えるレースだったので、多少の満足感はあります。ただ、選手が求めてる結果と周りが求めてる結果はやっぱり全然違う。その期待に自分も応えたいし、出るからにはしっかり結果や形として、皆さんに返せたらいいなって、すごく思っています」
応援してくれる人々のために走りたい
人生の中でもハイライトのひとつになるであろう経験を経て、
また、新しい一歩を、踏み出さなければいけません。
「今はクイーンズ駅伝が目標ですけど、個人でいえば来年の世界陸上の代表選考が、まず目標としている場所です」
そして、世界で戦える自分になるために、
変えなければいけないこともあります。
「パリに“出場するための練習”はしてきたけど、世界で“決勝に残る練習”をしていかないといけないね、とは言われています。その練習にシフトしないと、いつまでたっても世界との差は縮まらない。例えば、海外選手と走る経験をもっと積んで、それが非日常じゃなく日常的な光景になれば、世界大会でも緊張することなく、いつも通りの自分の力が出せるかなと思っています」
そのためにはまた、大きな応援の声を
自分の力に変えていかなければいけません。
「積水化学の皆さんからも、すごく応援していただきました。壮行会も急な募集だったのに就業後に100人以上集まってくれたり、横断幕も大きな日本国旗にメッセージが敷き詰められたものを3枚ぐらい現地に持ってきてくれたり、本当に嬉しかったです。純粋に応援してくれている人が多くて、それも会社のいいところだなと思います。自分が部署に挨拶しに行った時も、皆さん仕事を中断して立ち上がって拍手してくださったり、本当にこんなに応援されて、なんか申し訳ないなって思っちゃうぐらい」
「それが自分には、堂々と積水化学を背負って走る理由だし、積水のために走りたいって思うすごく大きな理由なので、感謝しています。すごく」
自分に期待してくれる人への感謝の気持ちを
表すために、目の前の誰か一人に喜んでもらうために。
山本選手は世界を意識しながら、
また強くなるために戦い続けます。
文・写真:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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