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この瞬間、私だけが見た景色/森智香子②


アジア選手権女子3000mSCで、
一時は先頭に立つなど、
大健闘の5位(9分56秒67)で
終えた森智香子選手。

5年半ぶりの日本代表復帰。
昨シーズンでの現役引退も考えた中での
見事なレースは、感動的でもありました。
ただ、振り返って思い出すのは、
やはり悔しさです。

また世界を目指すところまで帰って来れた

「目標は3番以内のメダルだったし、調子自体は良かったので、自己ベストに近い日本選手権ぐらいのタイム(9分48秒70)で走れたら、世界陸上出場のチャンスもあると考えていました。そこを目標に練習も順調に取り組めていたので、ちょっと悔しい部分はあります」

ただ、2000m付近で先頭に立つなど試合展開を含め、
人々の印象に残るレースができた。
それは間違いありません。

「でも、何もできずに後ろの方で走って終わる、というレースじゃなかった。キツいところも離れないように粘って、攻めるレースができた中での結果です。日本代表からも遠ざかっていた中、また国際舞台で世界を目指すところまで帰って来れたんだって、実感した大会にもなりました

「だから、これを無駄にしないように、ひとつの経験として、しっかり次に繋げられるように頑張っていきたいと思います」

続けてなかったら日本代表として走ることもなかった

3000mSCの日本代表は、今回が初めてだった森選手
(今までは1500mやインドア3000mで代表選出)。
海外レースの参加経験はありますが、
最も注力する3000mSCで、世界と真剣勝負に挑み、
身をもって感じたのは切り替えの大切さ、でした。

「”これが今、自分に足りないものだな”と気付けたし、それが明確になった分、改善できたら、またレベルアップできると思っています」

そのきっかけとしても貴重な経験となった、
今回のバンコク2023アジア陸上競技選手権。

彼女もまた、キャリアのこのタイミングで、
アジアの先頭に立って走れたことの意味を、
大切にしています。

「最近つくづく思うんですけど、日本選手権もそうだし、今シーズン様々な大会でセカンドベストを出したり入賞できたり、毎回『続けて良かったな』って感じています。続けてなかったら、今回みたいにアジアの日本代表として走ることもなかった」

「それを後押ししてくれた人たちにも感謝ですし、自分が頑張ってる姿を見て『元気もらってます』と声をかけていただくことが、最近すごく多いので嬉しいなと感じています。悔いのない終わり方を探っていきたいですし、若い選手たちにも、私だから伝えられることもあるはずなので、うまく表現していけたらと思います」

彼女だけに見えた光景

競技人生後半になって、
さらに成長する森選手。
彼女を後押しする応援の声は、
より大きくなっていきます。

「日本選手団の他種目の選手たちも、『今日は頑張ってください』とか声をかけてくれたり、普段から関わりがなかった選手も今回初めて会話して、本当に日本っていいチームだなと感じました。それに現地の積水化学の従業員の方たちも応援に来てくださって、挨拶に行ったり、一緒に食事もさせていただきました。本当にいい会社に入ったなって、9年目ですけど改めて思ってます(笑)」

アジアの先頭に出た瞬間の景色。
その喜びや、周りの声援。
アジアのトップを走った選手は数多くいても、
同じ道を通って来た人は、誰一人いません。

彼女なりに悩み、考え、そして掴んだチャンスで、
その瞬間、彼女だけに見えた光景。
それを胸に刻み、また森選手は
新しい可能性を探しに次へと進んでいきます。

文:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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