空白の傷を聞くとは 宮前良平×浅田政志『そこにすべてがあった』をめぐる対話①
『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』(カイ・T・エリクソン著、宮前良平・大門大朗・高原耕平訳、夕書房)は、1972年2月、アメリカ・ウェストヴァージニア州のバッファロー・クリークで大雨によって鉱山ゴミのダムが決壊し、谷全体が黒い水に飲み込まれた洪水災害の被災者への膨大なインタビューと綿密なフィールドワークから、被災地における「集合的トラウマ」の輪郭を描き出した本として約50年もの間読み継がれています。
今、なぜ50年前のアメリカの洪水