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もっと知りたい『そこにすべてがあった』

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『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』(カイ・T・エリクソン著)の刊行記念イベントやフェアのレポートです。
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空白の傷を聞くとは 宮前良平×浅田政志『そこにすべてがあった』をめぐる対話②

『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』(カイ・T・エリクソン著、宮前良平・大門大朗・高原耕平訳、夕書房)をめぐる災害研究者と写真家の対話。 後半は、パンデミック直前、実際に現地に赴いた宮前さんの体験談から。48年後のバッファロー・クリークで見たものとは。 48年後のバッファロー・クリーク 宮前良平(以下、宮前) カイ・T・エリクソンの『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』は、野田村と同様、人口5

空白の傷を聞くとは 宮前良平×浅田政志『そこにすべてがあった』をめぐる対話①

『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』(カイ・T・エリクソン著、宮前良平・大門大朗・高原耕平訳、夕書房)は、1972年2月、アメリカ・ウェストヴァージニア州のバッファロー・クリークで大雨によって鉱山ゴミのダムが決壊し、谷全体が黒い水に飲み込まれた洪水災害の被災者への膨大なインタビューと綿密なフィールドワークから、被災地における「集合的トラウマ」の輪郭を描き出した本として約50年もの間読み継がれています。 今、なぜ50年前のアメリカの洪水

災害と人々のその後を考えるブックガイド

世界各地で災害が頻発する昨今。 50年前、アメリカのある炭鉱町を襲った洪水による被災者の心の変化に、社会学の視点から迫った、夕書房8冊目の単行本『そこにすべてがあった——バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』(カイ・T・エリクソン著)には、現代日本に暮らす私たちにもつながるテーマが散りばめられています。 刊行を記念し、本書が描き出すテーマを、訳者で災害研究者の宮前良平さん(大阪大学大学院人間科学研究科)、大門大朗さん(京都大学防災研究所特別研究員)、高原耕平