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【エッセイ】 イヤなこと

 イヤなこと。

 新幹線に乗っていると、靴を履いたまま前の座席の背もたれ(マガジンラックの下のあたり)に足をかけている人がいる。それ、とってもイヤなんですけど!

 これも新幹線に乗っててなんだけど…
 荷物棚で、私が置いていた布製バックに、後から来た人が隣に置いたキャリーケースの車輪がくっついていたの。「えっ、やめて!」って思っちゃった。だって、そのキャリーケース、トイレとかにも持ち込んだんじゃない?
 だったら、その車輪汚いよね!

 私、潔癖症じゃないけど、「汚い」っていうのは子どものころから好きじゃない。
 きっと、上と下とか、中と外とか、分けたいんだと思う。そこがナーナーになっているのは気分が悪いから。
 キャリーケースを愛用している方のどのくらいが、帰宅したときに車輪を拭いて持ち込んでいるんだろうかって考えていた。

 キャリーケースについていえば、そもそもが好きじゃない。
 COVID-19騒ぎで旅行者が少なくなってしばらく見ないでいたけど、日常がもどってきて、列車や駅や空港、そして原宿や渋谷みたいな街中でも何食わぬ顔でキャリーケース族が闊歩している。
 あなた、専有面積広いでしょう… しかも足元にケースがあるから、近くを歩いている私は気づかないし… こっちは何度もそれに躓きそうになっているのよ! と心の中でつぶやいている。あくまでも心の中でだけど。
 新幹線の中の話に戻る。
 網棚に乗せればいいのに、自分の膝の前の、前の座席との狭い空間に置いている人も見かける。膝が窮屈じゃないかしら? 私だったら窮屈すぎて我慢できないと思う。

 エスカレーターで歩く人もイヤ。歩くなら階段を使えばいいじゃない。
 2列で乗れるエスカレーターなのに、右側を開けておとなしく乗っている人たちもどうかしてる。1列になっている分、乗り口は長蛇の列だ。だって、エスカレーターの処理量を半減させてるわけで、非効率この上ない。
 そんなエスカレーターに、私はわざと右側に立って乗ってしまう。歩かないで立って。「乗ってしまう」とは、そうせずにはいられないぞわぞわした気分が湧いてきて、そんな行動をしてしまうのだ。
 “正義感”とかじゃないよ。ちょっとした抵抗。
 私が2列にすることで、効率を2分の1から1に戻したいだけ。
 エスカレーターに歩いて乗ろうとする人を見かけると、隣の階段をその人よりも速く歩き昇ろうとがんばることもしばしばある。これもちょっとした抵抗。
 でも、そんなことをわざわざする私を、きっと家族は好きじゃないと思う。そんな気がする。

(2024年 3月 3日)

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