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進路指導について

私は進路指導部長ですが、進路についての指導はする必要ないと考えています。

私の広尾高校内での役職は進路指導部長です。
この役職を務めて丸3年が経ち、この春から4年目に突入しました。
3年前まで進路という分掌には無縁だった私なりに勉強してきたつもりで、3年間の気付きと学びの結果、現時点でたどり着いている見解について書かせていただきます。


新しい格差「熱量格差」

私が部長を務める進路指導部は、高校の出口にあたる指導にスポットをあて、生徒が漠然と持っている高校卒業後のビジョンを具体的にしていくことが役割です。

最近は社会の変化が早く、また働き方の多様化もあって、若者たちにとって将来のビジョンが見えずらくなっています。または、見えている若者も社会の変化によって自己のキャリアを柔軟に変化し対応しなければならないことを理解しています。

なので価値観も変わってきています。
いい大学いい会社一生安定!という考え方の大人はヤバイ人認定されます。
最強のゲームハックはゲームに参加しないことである!という事実を象徴するかのように、無気力な若者も増えています。
若者たちは今まさに、正解のないキャリア形成に向き合う勇気が試されていると思います。

たった1つ最適解があるとしたら今だったら、、、
さっさと挑戦してさっさと失敗して、さっさともう一度挑戦すること
が世の最適解の風潮として定着しつつあるかな?と肌感覚で感じている私です。

経済格差の問題が注目される中、日本の若者たちに特に顕著に表れているように感じる別の格差を私は危惧しています。
まだ誰も言語化していないんじゃないか?と思いますので私が最初に言語化させていただきます。いたらゴメンナサイ(・д・)/

それは熱量格差です。

熱量はお金で買えないしトレーニングで身につけることができないと思っています。情報の格差や人脈の格差は一定量までであればお金で解決できます。お金がなくても行動力次第でどうにかできます。
熱量リソースがなければ行動力も作れませんので、やはり熱量は重要です。
熱量は、内発的動機付けといって、他人から促されることはあまり無いかあっても弱いです。自己の内面から沸騰するように沸き上がってくるものが強くて良いとされていて、量という名がつく通り、上限が決まっていて個人が自由に使えるリソースとして機能させることができます。

熱量リソースは若いほど豊富というのが今までは常識だったかもしれません。でも若者たちの間で熱量格差が広がってしまう現状が、これからどんどん顕在化してくる予想を私はしています。
これは経済格差よりも社会に与える影響は大きいのではないか?と私は考えていて、高校教員という立場として、中長期的に課題意識を持たなければならない重大案件と捉えている訳です。


進路指導ではなく進路手続きである件

高校生の進路は大きな枠で2つのカテゴリーがあります。
進学と就職です。

進学に関しては、入学するために競争が必要な学校が少なくなっていて、入学するために競争を必要としない学校が増えています。
就職に関しては、人手不足から超売り手市場であり、賃金の引き上げができる余力のある企業や、一部のネームバリューのある企業で内定のための競争が起きてはいるものの、競争の激しさはほとんど感じません。

進学・就職と並ぶ新たな進路カテゴリーは必要です。
でもその話書いたら長くなるのでまた今度。

高校生は進路先を選ぶために多くの情報を集め、自分にあった進路先を選択します。情報を集める過程では一定の難しさがありますが、今はどこの進路先も高校生でも辿り着きやすいよう情報発信に工夫をしています。
なんなら、高校生達のスマホに勝手に情報が出てくるような企業努力をされているところもあります。

高校生の進路には保護者の意向も影響します。これは単純に保護者の考え方だけではなく、生徒にとっては思想や環境などによる影響ですので、顕在意識というよりも潜在的な意識の方が影響を受けています。

以上のことから、高校生たちの進路決定に高校の教員はあまり影響しません。情報が限られていた昔とは違います。
そもそも高校の教員に、生徒が希望する進路先がOKかダメかを決定する権利なんてありません。
推薦だってそうです。推薦基準を満たしていれば推薦せざるを得ないのです。そして推薦で出願さえしてしまえば、ほぼ確実に合格できる学校も増えていきます。総合型選抜という新しい制度もできたので、推薦という制度が形骸化していく未来も見えてきたかと思います。

つまり高校の進路指導という業務については、昔ながらの指導といわれてきた部分が崩壊している真っ最中な訳です。
逆に、出願のときには学校内で手続きが必要ですので、手続きという業務は今後も変わらずミスの無いような形で必要とされています。

なので進路指導部という名前は進路手続き部に変えた方がいいんです。
進路についての指導は、以上の理由から必要性が無くなっていき、無価値になるのも時間の問題かと思います。



指導から接点作り活動へ

とはいえ進路に求められるものは昔から変わらず2つあります。

1つは結果です。
子供が減っているのに大学や専門学校が減らない状態が今後も続くのであれば、結果だけなら今後は易化することが想定できます。

もう1つは、進路活動を通しての生徒の成長です。
こっちは正直難しいです。勉強あんまできなくても合格できる学校が増え、企業も人手不足です。逆に難関大学などは競争が激化し、人気企業は書類選考すら狭き門となっていますが、それらを目指す高校生は全国的にも限られてきています。

進路指導部長として、この2つの要求を両立する形で応えていくにはどうするべきか、、、?この3年間で最も悩んだことです。

難しいんですこれが

ということで、昨年から少しずつ試験的に行動していることがあります。
それは高校生と社会の接点作りです。
この点で広尾町は恵まれた町で、高校生と地域の方々との繋がりを作るために協力的な大人の方々に恵まれています。
これは本心で、お世辞抜きに毎日ものすごい感謝しています。

昨年からやっていると書きましたが、少しずつやってみている途中、と言った方が自然で、まだまだ手探り状態です。
ですが広尾町の地域の方々の協力が力強く、この1年でたくさんアイデアが湧き出てきて止まりません。出てきたアイデア多すぎてたぶん全部できないんじゃないかと思います。

また、素直で正直な生徒が多い広尾高校では、教員側がタッグを組んで手をかければ、生徒もその気になって乗ってきてくれると信じています。

高校生と社会との接点作り活動は、進路指導部の仕事じゃないよね!と思われるかもしれませんが、このまま機能のほとんどが形骸化し、進路手続き部となってしまうよりよっぽど価値提供できると思っています。

4月になり新たな年度が始まりました。
進路指導部長4年目の私ですが、できることをやるだけという事実は変わりません。昔ながらの古き良き進路指導の中でも、特に指導的は要素のある業務はどんどん捨て、このバッファを使って高校生と社会との接点作りに力を入れていくつもりです。これを読んでいる方で共感していただける方であれば、是非ともご協力いただきたいと思います。



進路指導についてまとめ

進路指導部長としての3年間を振り返り、特に近年の高校生たちが進路選択に際して直面する複雑な挑戦を理解することと、それに対応する新たなアプローチとして高校生と社会との接点作りの必要性について書かせていただきました。

特に「熱量格差」という概念を通じて、若者の内発的動機付けを支援することの重要性を指摘しましたが、立場上とても深刻な格差に発展する可能性を問題視しています。

広尾高校の例は、地域社会との協力を通じて学生たちの成長と進路探求を促す実践的なアプローチを示しています。コレに関して広尾高校は地域の方々に本当に恵まれた、高い優位性を持っています。でもこれ詳しく書くと、めちゃ長くなるので書けないのが残念です。

進路指導は形式的なプロセスを超え、学生が自信を持って自分の道を選び、挑戦する勇気を持つための重要なステップが求められますが、指導的な要素はニーズが減り、手続き的な要素のニーズだけが残っていく傾向があります。

進路指導部としましては、指導的な業務を減らし、高校生と社会との接点作りという新たな形を取り入れ、広尾の地域性によるスーパー強力な力も借りて、高校生の将来を形作るサポートを積極的に行いたいと考えています。



言葉足らずでつたない文章お許しください。貴重なお時間を消費し読んでいただいたことに感謝します。





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