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窓辺のクモ

クモ、スパイダーのクモが、うちのトイレの窓辺に住み着いている。
いつ頃からだろう?おそらく、夏くらいからは居る。大きさは、私の小指の爪ほど。何を食べて生きているのかは、不明。窓の隙間から入ってくる、小さな虫を捕らえているのだろうか?といつも不思議に思いながら眺めている。
そう、私はこのクモを窓辺に居させている。一時期はお暇して貰おうかとも考えたのだけど、この夏に西加奈子さんの「くもをさがす」を読んで以来、その考えは一旦棚上げしている。

毎日トイレに入るたびに、窓辺に行ってクモを見る。いつからか、もう習慣になっている。
クモは私が近づくと、壁紙が少し剥がれかかっている所まで逃げて私から身を隠す。その行動が、なんだか面白い。こちらからは丸見えなのになとクスッと笑えてくる。

最近になってクモが成長していることに気がついた。それと、驚くことにさらに小さなクモが1匹、窓のすぐ近くの壁に居着いているのを発見した。
窓辺にいるクモが2匹になった。

最近、自分の身の回りで、私の力ではどうにも出来ないことが起きている。日々感情がアップダウンを繰り返し、落ち着けない。そんな中で、あのクモたちを眺めると不思議と気持ちが少しスーっと落ち着く。「あ、今日もいたんだね」と、ちょっと安心する。まさか、クモを見て安心する日が来るとは。あのとき、お暇して貰わなくて良かったのかも。でも、これ以上増えられたら逆にちょっとドキドキしそう。

どうなるか分からないこれからを、彼らを眺めながら過ごしていこう…そんな風に思うと少しだけ前向きになれそうな気がする。


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