見出し画像

マイ・フェイバリット・ソングス 第39回~アイナ・ジ・エンド

画像1

『THE END』(2021年)

ファースト・ソロ・アルバム。全曲作詞・作曲アイナ・ジ・エンドさんで、プロデュースとアレンジを亀田誠治さんが手がけています。アイナさんといえばまずは唯一無二の歌声ですが、ソングライターとしても尋常じゃない才能の持ち主であることを証明したアルバムですね。僕は2021年このアルバムを最もよく聴いていました。全曲好きですが、特に惹かれるのは冒頭に置かれた三拍子のバラード「金木犀」、女優小松菜奈さんに寄せる思いを妄想チックに描いた「NaNa」、ビルから飛び降りた友人に捧げたという「粧し込んだ日にかぎって」、男性目線の歌詞で歌う「日々」、広い音域で歌い上げる名曲「死にたい夜にかぎって」(同名ドラマの主題歌)。ただこれはアルバムとしての構成が素晴らしいので、最初から通して聴くことをオススメします。全体的に自虐的なダークさが漂っているところもこのアルバムの魅力ですね。サブスクでも気軽に聴くことができますが、BOXセットには「AiNA WORKS」というfeat.などで参加した楽曲を集めたCDと、ライヴ・MV・インタビューが収録されたブルーレイが付属しているのでより深堀りすることができます。映像だとダンスの素晴らしさも味わえていいですね。(BiSHでも彼女が全て振り付けを担当をしているそう) 天性のハスキーボイス・表現力豊かな歌唱力・個性的な深いブレス・幅広いソングライティング・独創性の高いダンスなど彼女の才能が詰まった傑作です。


画像2

『THE ZOMBIE』(2021年)

なんとファーストから9カ月後にリリースされたセカンドアルバム。その間にリリースされた3枚のEP『内緒』『BORN SICK』『DEAD HAPPY』の12曲と、先行配信曲「残して」「残って」、先行MV曲「神様」を含む全17曲。そのため先行曲を聴いていた僕にとって新しい曲は2曲(しかも1曲はインスト)しかないというのがちょっと残念ではありましたが・・・・。それにしてもちょっと飛ばしすぎじゃないかと心配になるほどのスピードで楽曲制作をしていますよね。このアルバムは全体的にポップで明るいです。個人的にはファーストの憂いを帯びた雰囲気の方が好きですが、こちらも充実した楽曲群。まず短いインストの後オープニングを飾る「ZOKINGDOG」に痺れます。(東京スカパラダイスオーケストラの加藤隆志さんがサウンドプロデュース)カッコいいですよね。歌詞もすごく好きだし、MVもオススメ。他にも「Sweet Boogie」「神様」「彼と私の本棚」も好き。ROTH BART BARONとのユニットA_oとしてリリースした「ワタシハココニイマス for 雨」もいいですね。BOXセットには『THE END』ツアー(東京国際フォーラム)のブルーレイも付属してます。


『DEBUT』Kyrie(2023年)

主演映画「キリエのうた」(岩井俊二監督)の主題歌や挿入歌を収録し、Kyrie名義でリリースしたアルバム。プロデュ―スは小林武史さん。(岩井監督と小林さんのコンビは過去にもYEN TOWN BANDやLiLy Chou-Chouなど、映画のキャラクター名義のアルバムをリリースしています) BiSHの解散ツアーだった時期に主演映画の撮影とこれらの楽曲制作やレコーディングを行っていたわけですから、尋常じゃないバイタリティですね。12曲中アイナさん作曲が7曲、小林さん作曲が5曲。映画の中でアコギの弾き語りやアカペラで歌われていた曲も小林さんのアレンジが施されて収録されています。主題歌の「キリエ・憐みの讃歌」いい曲ですね。アイナさんのファンであれば映画も必見だと思います。


僕がアイナ・ジ・エンドさんにハマったのは『THE FIRST TAKE』の「オーケストラ」を観たのがきっかけでした。これで一気に心を持っていかれてしまった。素晴らしいのでぜひ。


マイ・フェイバリット・ソングス一覧へ