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関根裕治
2019年7月20日 21:14
出口のない祠をさまよっていた地図は破れ 磁針は狂い 分かれ道にさしかかるたびより闇の深い方へ迷いこんだとうに火種は尽きわたしは触覚の折れた虫のように両壁にぶつかりながら進んでいたやがて水も尽きもはやここまでと諦めかけたときふいに遠くからひとすじの光が射したともし火に手を伸ばしながら祠を抜けるとそこにあなたが立っていたあなたはわたしの手をとって
2019年7月7日 13:48
むつみ橋のかげに腰かけて川面にひとつ石を投げた西から吹きよせる風はそっとえりあしを撫ぜ荷台を揺らすトラックの音が頭上を通りすぎるゆたかな水をたたえる多摩川はあなたの住む街をかすめやがて羽田のあたりで海へとそそぎこむだろう河原に咲くオニユリたちがいっせいに首を垂れているあなたは今もあの街でよどみに耐えているだろうかそれとも別の土地へ発ち新た