私の根っこの物語が始まる

1、私が本気で小説を書く理由

 2020年1月私は、バルセロナのホテルで一人、小説を書き始めた。私は、医師であるが、本気で小説書きに取り組んでいる。なぜならば、物語は未来の世界を確実に創っていくからだ。
 なぜ、物語が世界を創るのだろうか。その理由は、脳の機能による。我々人間の脳の旧皮質(本能を司る部分)は、自分が想像した事と現実に起こっていることを区別する事が出来ない。
 例えば、梅干しのことを考えただけで、食べたときと同じように唾液が出てくる。仮想と現実とを旧皮質の大脳辺縁系は区別できないため、想像だけで、唾液が出るのだ。無論、新皮質では、これは、梅を実際に食べたわけではないと分かっている。
 では、旧皮質が勘違いするなら、新皮質も勘違いを起こさないだろうか。私は、夢で見た事が、実際に起こった事なのか、時々分からなくなることがある。
 リアルに想像したことが、幻覚幻聴となって現れて、あたかも現実に起こったことと区別がつかなくなってしまう。ここまで来ると、統合失調症などの精神病と診断される。もしかしたら、私も統合失調症の傾向が少なからずあるのかもしれない。まあ、通常は、病気でない限り、新皮質は勘違いを起こさないはずだ。
 しかし、本当に病気でなければ、新皮質は勘違いを起こさないだろうか。答えはNOであると思う。脳が、物語を読んで、その世界をわくわくとリアルに想像でき、それを多くの人が共有したならば、旧皮質も新皮質もそれを現実と感じ始め、いつの間にか行動し、その物語が現実化するのではないかと思う。


2、現代社会は物語を失っている

 実は、この物語が世の中を創るという世界観は、古くからあった。古くは、神話や古事記、聖書という物語が世の中を創って来たのだと思う。
このように、物語は、人間の脳にとって空気のような存在である。なければ死んでしまうのだ。
 戦後の日本は、どうだったか。高度経済成長を遂げた日本には、「欧米に負けない強い日本を作ろう。」という物語が存在していた。誰も、生きる目的が見つからないと虚ろになることはなかった。少なくともバブルが崩壊するまでは、やればやっただけ、成果が上がり、自他ともに成長に繋がっていると実感できたのだ。
 現代の日本は、物語を失っている。今の日本には、物語がどこにも存在しないのだ。神話や古事記を読むこともない。宗教観も薄い。目が虚ろな若者にしばしば会う。良い学校を卒業し、良い会社に就職し、そして、一体どこに向かっていけば良いのか、分からないのだ。

3、物語の持つ力


 人が容易に想像できない世界観を持っている物語は、人を魅了する。物語に渇望していた人間が、その飢えを満たしてくれる物語に出会った時、大きな共感が生まれ、人の人生を変えて行く力になるのだ。しかし、間違えた物語は、人を不幸にする。極端な例でいえば、オウム真理教の麻原彰晃も同様だ。彼は、突出した世界観を持って、若きエリート達を魅了した。そして、甚大な被害を作り出した。
 だからこそ、物語を紡ぐ人の責任は大きい。
 別の視点で言えば、アイドルに熱中することも物語への共感そのものである。例えば、あなたがあるアイドルに夢中で、コンサートに行くのを楽しみにしているとする。あなたは、そのアイドルが歌う歌、世界観を含めて、共感し、まるで恋愛しているかのようにときめくだろう。これも、物語への共感そのものだ。

4、物語を書くことはビジネスを創り出すこと


 目が虚ろな若者たちは、宗教にもアイドルにも興味はない。もっと心から人生に夢中になれる物語を探している。誰かが、来るべき未来を物語にして語る必要があるのだ。誰にでも語れるわけではない。
 その物語とは何か。こうなったら良いなという未来である。私達には、そんな形にしたい未来が明確にある。だから、それを皆と共有していきたいと思う。そして、その未来の形は、読者であるあなたの物語が加わることで、形を変えていく。そしてどんどん面白いものになって行く。
 実は、ビジネスとは、ビジョン(物語)を形にしていくこと。こうあったら良いなあという物語を形にして社会に新しい価値観を創造して行くことである。最初に物語が世の中に出た時には、誰もそのことを知らないので、机上の空論として誰にも理解されない。しかし、その物語を語り続け、多くの人の共感を生み、皆がその物語をリアルに想像できるようになると、いつの間にか現実化し、ビジネスとして成り立っていく。
 東京ディズニーランドがなぜ、世界中の人達を魅了するかといえば、物語があるからだ。
 東京マラソンがなぜ、人気なのかといえば、「東京が一つになる日」という物語が共感されているからだ。
 物語は共感を生み、それが大きなビジネスとなり、世の中を変えていく。

5、私たちが創りたい物語とは


 ここからは、私が仲間と想像し、これから創っていきたい未来の物語である。本気で世の中をこうしたいという強い想いを物語にした。私は、決して教祖様にもアイドルにもなるつもりはない。しかし、本気で私達が紡ぐ物語は、熱狂的な共感を生み、世の中を変えて行くと確信している。
この本を手にしたあなたは、私たちが紡ぐ物語に、共感してくれることを願う。そしてあなたが創りたい物語を教えて欲しい。そして、来るべき未来を一緒に創って行こう。

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