服飾と建築03 事例集
はじめに
卒業ぶりの投稿となるのだが、一個人として服と建築を作品として消化させるのが難しい。しかし、毎日のデザインリサーチをしていく中でこれはひょっとすると…と思うものをpicupした。しかし、それぞれの大先輩の作家方に声をかけられたわけでもないので、期間限定の公開としたい。
ここ2~3年、自分が300近くの作品をリサーチしたものの中から、選定していった。川久保玲のDover Street MarketやFay toogood、妹島和世のpradaなどファッションデザイナーが家具・建築を、建築家が服やアクセサリーを作ることはよくある。しかしながらデザインとしての要素として服の作りや建築の作り[ディテール]が反映されている作品というのはとてもの少ない。また変わり続けることや変わらないことは時として建築の提案としても服の提案としても成立しづらい。あくまで個人的にリサーチしてきた中の抜粋なのでデザインの読みが甘いかもしれないが、そこは許して欲しい。
選定のルールは以下である。
・服のディテールが建築に落とされているもの
・建築のディテールが服に落とされているもの
・建築や家具の変わらない要素が布や構法によって変化する仕組みを持っているもの
・着る服自体をインフラとして、オプションによって変化させているもの
本当は写真を載せたかったが、許諾をとっているわけでもないので、今回はリンクのみとした。
#01 HOME1 / 津村耕佑 FINAL HOME
コートの収納を最大にして、その中にさまざまなオプション(中綿用のクッション、非常食)を入れることで、ダウンや非常用着になる服。基本カラーの3色は、存在を知らせるためのオレンジ・森に紛れるカーキ・都会に紛れるブラックに設定されている。めちゃくちゃ面白いと思った。
コンセプトに当たるものが以下
『家をなくしてしまったとき、人を最後にプロテクトするのは服になる。』
「もし、災害や戦争、失業などで家をなくしてしまったとき、ファッションデザイナーである私は、どんな服を提案できるか、またその服は平和なときにはどんな姿をしているのか」
平和な時の人の活動の間が服と家の間であると語りつつ、変化によって求められる機能を中身を差し替えることで担保している。色の表現もコンセプトの一部として成立しているのも服飾のブランドとして珍しい。着替えることによって変化するのではなく、服それ自体がハブになってたり、ジップの開くスケールが大きいことで家具っぽい収納としての印象を受ける。
#02 Paulistano/Paulo Mendes da Rocha
パイプのフレームにシートだけのシンプルな構成だが、服のような生地のパターンをすることで容易に着脱できる。どちらか片方がなければ成立しないこともデザインとして美しい。
#03 CORPO /Raf Simons
ファッションデザイナーのラフシモンズの卒制。
全てのプロダクトを内と外という身体として捉え、人体をコンセプトに制作された家具シリーズ。
家具の外側に服を着てるスケール感の逆転みたいなのが面白く、それが結果として戸板の代わりとして機能しているのが面白い。家具の内側と外側の服がうまく構成として感じられる。
#04 [A-025]Heim Jens/domino architects
Background:服飾デザイナーの店舗。服だけでなく、場所も読み解き、展示会を行なっていた。施主の要望は家みたいな店舗。
Design:完全に空間を建築家で作るのではなく、服飾デザイナーが空間をコントロールできるような天井のインフラのレールと布をかけられるカーブしたパイプが用意されている。
Interpretation:服のように着替えられるような空間だなと思った。内装が身体のように使い手が変えられない場だとすると、壁を布で構成し、かけるだけの場とすることで、壁が家具のような振る舞いをし、必要に応じて空間を仕切ったり、...HPにルックも載っていてスタジオとしても使える面白さがあるなと思った。躯体の粗野さと、新規で入ってくるモノがHeim Jensの服のノスタルジックな柄や生地と、抽象化されたボタンやモダンなパターンメイキングとマッチしているような印象を受けた。
https://dominoarchitects.com/works/a-025/
#05 brazza hinge wallet
折り畳みの部分に本来使うはずのないヒンジを用いることで、それまでの見え方を変えつつスッキリとしたプロポーションになっている。
#06 自走する建築 /Schemata architects
建築の様に職人ではないと動かせないモノでも、家具のように誰でも動かせるモノでもない、管理者だけが動かすことができるインターフェイスというツールを使い、使い手によって変化し続けるスキーマ独特のデザイン。本来建築は変わらないものとして、提案されるのに対して使い手によって変わり続ける面白さが服の変化のようで面白い。
#07 atlas46 /EAGLE INDUSTRIES
元々軍服を作っていたブランドが作った工事現場用作業着。腰巻きとは違い、ベストをベースに様々なオプションを付け替えることで、作業者の用途に対して柔軟に対応することができる。
#08 Decompression chairs /MATALI CRASSET
空気を膨らませることによって膨らみ、椅子を包みつつ、クッションとしての役割も果たす。
#09 Haori Hakama and Yukuta / Nora Schmidt Design
#10 Cocoon project /Tanya Shukstelinsky
https://www.dezeen.com/2013/07/03/cocoon-by-tanya-shukstelinsky/
#11 Hussein Chalayan / Afterwords
最後に
今後も見つけたら増やしていきたいと思います。またいい作品があればどなたでも教えてください。
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