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某地下アイドルとの出会い⑥

推しのグループはなぜここまでファンが増えないのでしょうか。前の章で「本人たちの努力不足」が原因ではないかと述べていますし、それが要因の一つになっていることは否定できません。ですが、もう一つ重要な要因を見逃していました。それは「参加するライブ」です。

地下アイドルがライブに参加するには、事務所やメンバーがライブの主催者とのコネクションがなければなりません。推しのグループはリーダーの赤がとある主催者と繋がりがありました。しかしその主催者くらいしか繋がりがある人がいなかったため、その人が主催するライブに出演することがほとんどでした。主催者自身も出演を依頼できるグループは限られるため、出演者が毎回同じになってしまうことも多々あります。

推しのグループのライブに行くと、出順が変わっただけで先週のライブと出演者が同じじゃないかと思うことはよくありました。いつも同じグループが出ていれば、「いつも見てるよー」とファンが増えるはずと思いがちですが、そのようになりませんでした。いつも出演しているグループも推しのグループと同様にファンが少ない、いても固定のオタク「おまいつ」が数十人いるだけ。しかもそのオタクたちは自分の推しにしか興味がなく、他のグループで盛り上がることはありませんでした。


アイドルはSNSの更新、ライブ配信を行い地道に努力することも大切ですが、リアルな場であるライブでのアピールが一番重要です。パフォーマンスを見た人が「いいね!」「かわいい!」と思い、物販に行ってファンになって通ってくれる、これが一番手っ取り早いファン獲得の方法です。推しのグループはいつも同じファンの前でパフォーマンスをせざるを得ないため一番の集客が出来なかった環境には同情します。


3人体制が続く中、私自身にも災難が続き、彼女たちのライブに通うことが出来なくなりました。通えなくなって1年後くらいに苦悩の日々を送る推しのグループにも決断のタイミングが訪れます。青も緑も共に学生ということもあり、翌年には進学・就職活動が控えていました。アイドル活動をする上で土日はライブ、平日も数回はレッスンは欠かせません。そのスケジュールの合間を縫って受験勉強や就職活動をすることは大変です。苦渋の決断ですが青と緑の卒業と現体制の終了を発表します。

卒業だから行かなければと思った私はすぐさま予定をあけてチケットを取りました。卒業ライブ当日、今はなき渋谷のライブハウスへ向かいます。相変わらずいつもと同じグループ、ファンしかいない会場でしたが、卒業ということもあり少し温かい雰囲気に包まれていました。パフォーマンスが始まるとファンがステージを見て、彼女たちの最後の勇姿を見届けていました。パフォーマンスが終了し、物販に移ると、多くのファンがチェキを撮るために列を作っており、初めて「物販最後尾」というプラカードが出ました。この後残されたリーダーの赤はどうするのでしょうか?

続く・・・


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