第6回文蔵組落語会をみました

【ネタ】
桃月庵あられ『まんじゅうこわい』
橘家文蔵『時そば』
林家きく麿『スナックヒヤシンス』
桃月庵白酒『お見立て』

2020/05/04 鑑賞

最近ほぼ毎日最新の落語を聴けているという、贅沢な暮らしをしている。しかも第6回文蔵組落語会は、私にとって新鮮な出会いがたくさんあってちょっと特別だった。

文蔵師匠は第5回の配信では『天才』をやって、威勢の良いはっつぁんがカッコ良かった。今回は『時そば』蕎麦の代金をごまかすのを目撃して自分もやってみようとする人の噺。勢いがあるだけに、空回りしていく情けなさが面白かった。「当たり屋」の看板の絵のくすぐりやそば屋が逃げるなど、文蔵師匠らしいなーと感じる小ネタが詰まっていた。

待ってました!桃月庵白酒師匠。しかも『お見立て』は広瀬和生氏の評を読んで私的に待ちわびていた演目だ。吉原、いやな客を追い返すために花魁がでっち上げた嘘に付き合わされる若い衆の噺。花魁は入院したとか死んだとか到底信じられない嘘をつくが、この嘘をつくとき若い衆が笑っているのが面白い。だます気がないというか。客も客で、泣いている若い衆の目頭に茶がらが付いていても「その涙は茶だろ」とはいわない。師匠である五街道雲助師匠も同様にやっていると思うのだが、全体的な噺の雰囲気が何となく違う。うまく言葉にできないけれど、白酒師匠はある意味冷めているような感じがする。登場人物は誰もこのばかばかしい嘘を信じていない。けれどこの噺の世界で遊んでいるような、そんな風に感じた。いやー面白かった。

きく麿師匠の落語を私は今回初めて拝聴した。知らずに死ななくて良かった。寂れたスナックで女性店員たちが常連客の悪口を言うというような新作落語だったが、ポップな調子で「キモいキモいキモーい」と連呼したり「あのババア、俺の死んだジイちゃんにそっくりだぜ」など衝撃的なワードが飛び出すのが面白かった。他にどんなネタがあるのか、これから知れるのが楽しみだ。

前座さんにも驚きがあった。というのは、私はほぼ1年前、あられさんの『道灌』を聴いて正直これを聴くのは苦痛だなーと思っていた。が、今回の『まんじゅうこわい』が面白かった。声の高低が豊かで登場人物に人間味があるように思う部分があった。人って1年でこんなに変わるのか、とびっくりした。

オープニングトークも、最後のお知らせも含め文字通り余すところ無く楽しんだ落語会だった。オンラインでもリアルでも是非に是非にまた聴きたい。

【参考URL】
本落語会公式:https://www.bunzou.com/116612.html
三代目 橘家文蔵 Official Website:https://www.bunzou.com/
つながり寄席 兼 文蔵組公式チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCdSjAT16F1nNecGWpYcD6Cg
桃月庵白酒 公式ウェブサイト:http://hakush.net/
林家きく麿公式HP:http://www.toyota-art.jp/profile/kikumaro.html

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