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[ユダヤ文化と聖書 2]イースターと過越の祭り

イースター(復活祭)は教会にとって、もっとも重要なお祝いの一つです。

十字架の上で殺されたイエス・キリストが3日目に復活したことを祝うこの祭り。日本でも、イースターのキャンペーンを実施する企業も増え、その名前が知られるようになってきました。

なぜ、キリスト教は「キリストが復活した」ことを、盛大に祝うのでしょうか。これを理解する上で、イエスの時代のユダヤ文化、特に「過越(すぎこし)の祭」を知っておくことが、助けになります。


最後の晩餐2

1.最後の晩餐は、「過越の祭」の食事

あなたは、最後の晩餐が、ユダヤの「過越の祭り」の食事であることを知ってましたか。イースター事件(キリストの十字架と復活)は、過越の祭りの文脈で起きたものです。

イエスの時代、エルサレムのユダヤ人は、過越の祭の初日の夜に「セデル」と呼ばれる食事会を行いました。

ユダヤ人は、かつてエジプトの奴隷状態からモーセによって解放されました。その時、ユダヤ民族が神の裁きから守られ、一切の必要が満たされたことを忘れないようにするための食事です。イエスが、十字架にかかる前の夜、弟子たちと共にした食事は、まさにセデルでした。イエスの時代、過越の祭りで、汚れや傷のない完全な小羊が、生け贄として捧げられたのです。

イースター事件では、完全な小羊イエスが、「贖い(あがない)」のために十字架に捧げられました。

イエス・キリストこそ、歴史上ただ一人、罪のない人間として私たちの罪のために生け贄として捧げられた「過ぎ越しの小羊」です。

エジプト脱出の前、神の使いがエジプト中の長男を殺す災いがおきました。

その時、ユダヤ民族は、家の門に子羊の血を塗ることにより、神の裁きがユダヤの民を過ぎ越していきました。

同じように、子羊キリストの犠牲のゆえに、神の裁きはキリストの血で覆われている私たちを、過ぎ越してくださいます。

長男皆殺し

2.パン種をとり除く

過越の祭までの数日間は、ユダヤの家庭では、非常にユニークな「春の大掃除」があります。なぜなら、この時期、パン種のくずを一つ残さず、家の中から取り除かなければならないからです。

過越の祭の間は、種なしパン(イーストを使わないパン)を食べなければなりません。

8日間は、パン種を使ったものは、何であれ口にすることはできません。そのため、祭りの前に、徹底的に家の中からパン種を取り除く大掃除をするわけです。

聖書において、パン種は「罪の象徴」です。

新しい粉のかたまりのままでいるために、古いパン種を取り除きなさい。あなたがたはパン種のないものだからです。私たちの過越の小羊キリストが、すでにほふられたからです。(新約聖書Ⅰコリント5:7)

ユダヤ人は家の中から、全てのパン種を取り除こうとします。同じように、私たちも生活の中から悪意、邪悪などあらゆる罪を取り除くようにします。

イエス・キリストが、いのちのパン、新しいパンです。この「パン種の入っていない純粋で真実なパン」であるキリストによる祭りがイースターです。

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3.初穂の祭りとキリストの復活

過越の祭りが終わった最初の安息日の翌日(日曜日)に、「初穂の祭り」があります。初穂の祭りにおいて、祭司が収穫の初穂の束を揺り動かす時、主への全焼の生け贄として、一歳の傷のない子羊がささげられます。(羊の丸焼き!)

イエス・キリストは初穂の祭の日に復活されました。これは、イエスが「死者の復活の初穂」となったことを象徴しています。「初穂」ということは、終末時に「キリストにある人々」が復活する前の最初の収穫としてイエスの復活があった、ということです。

イースターの希望は、私たちも将来、朽ちないからだで復活する。いや、今、既に復活の命をいただいているところにあります。



神がエジプトで奴隷生活からユダヤ民族を救って、自由にしてくださった恵みを思い返し、感謝を捧げるのが「過越の祭」でした。

一方、イエス・キリストが、罪の奴隷状態である私たちのために十字架に架かり、罪から自由にしてくださったことを感謝すると同時に、キリストが死を打ち破って3日目に復活してくださり、私たちに永遠の命を与えてくださったことを祝うのが、イースターです。

私たちは、死を打ち破り復活したキリストに参与し、新しい命(ブランドニューライフ)の中で生かされていく。これこそが、イースターを祝う理由なのです。

2016年イースターの日に 関 智征

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