【クソキャラ誕生秘話】こうして壊れキャラが作られました。

こんにちは、元ゲーム会社でプログラマをしていて、
今は個人でゲーム開発をしている、せっき~と申します。

最近、【どぐらのクソキャラ列伝】という動画シリーズを楽しんで見ていまして

ジョジョ格ゲーの”鳥”は、やはりカリスマ性あるなぁ~ とか

その後、その開発者さんによるアンサー動画なんかもあり
その開発裏話なんかも 「わかる、わかるー」と見ていました。

「わかる、わかるー」と言うとおり
そんな私も、過去10年ほど ゲーム会社で対戦アクションゲームを作ってきた事もあり 数々のやらかし(壊れキャラ)が生まれるのを真横で見たり、自分で生み出してきたりした経験があります。

せっかくなので、その経験から どんな感じで壊れキャラがこの世に生まれてきたのか?紹介してみようと思います。

注意点1:
バグにより壊れたキャラは今回含みません。
あくまで調整の結果、壊れたキャラを取り上げます。

注意点2:
一般論的な書き方をするので、私が過去にどんな仕事をしてたのか?とかは探らないでください。
(先方のゲーム会社に気を使っているので)

注意点3:
当時、私と一緒に仕事していた方へ
→ なんと言うか、ごめんなさい。

パっと思いつく限り、3(+1)パターンかな と思い
その紹介をします。

パターン1.強いキャラが順当に壊れた

これは一番わかりやすいパターン。

コンセプトで「強いキャラ」が、そのまま強すぎた
って感じです。

対戦ゲームなのに、コンセプトで「強いキャラ」って何なん?
って思うかも知れませんが、あるんです。

・このキャラを人気させたいから、ちょっと強めの調整を入れよう とか
・キャラのイメージ的に「強いキャラ」だから、性能的にも「強いキャラ」にしよう・・・ とか
・前作は不遇だったから、今作はこいつを強くしよう とか

その代わりに「防御力が低い」やら「一定距離まで近づいたり、特定条件を満たさない限り本領が発揮できない」
みたいな欠点を用意するのですが
その欠点を補って余りあるくらい、強い部分が強すぎた みたいな。

強くしようとして強く作ったキャラが、順当に強すぎて壊れた。
あるあるです。

パターン2.開発者があまり興味のないキャラだった

パターン1と比べると、あまり良くない壊れキャラです。

まぁ、やはりゲームは人が作る物なので 熱量の大小はあります。
その結果、実際 どんなことがあったか?例を紹介すると・・・

開発初期に作られたキャラクターA
そして、そのまま次のキャラクターに開発は移り、キャラクターAは数か月放置。
対戦チェックでも「まぁ、普通のキャラでしょ」と、開発者内で そんなに使われる事がないまま キャラクターAは世に放たれる。

けど、実際にちゃんと使ってみると「とある技がめちゃ強かった」「とある行動がめちゃ強かった」というのが判明し、なんと壊れキャラに

正直、良い流れはありませんが 不幸にもこんな生まれ方をするキャラクターが居たりもするんです。
(キャラクターをたくさん作らないといけないゲームの場合、全てのキャラクターを等しく愛を注いでいる余裕もない なんて事情もあったりします)


ちなみに他社の作品を遊んでいて、たまに「このキャラって、パターン2じゃないかな?」
ってこっそり思ってるキャラが居たりします。

3.ちょっとずつ強くしていった結果、気づいたら壊れてた

これも実際起きた例を紹介します。

なんかパッとしないキャラクターBが居ました。
ただ、このキャラを人気にしたいな というオーダーがあり、テコ入れすることにしました。

そこで、私とプランナーとで ”毎日ちょっとずつキャラクターBを強くする会”を開くことになり

毎日、お互い本来の業務をやりつつ
「今日は、この技の隙を少なくしてみよう」
→ 次の日のお昼休みとかに対戦チェックをし
「まだ足りないなぁ、この技の性能を上げてみる?」

のような事を少しずつ繰り返し・・・
気づいたら、キャラクターBは壊れキャラにまで成長し、世に出してしまいました。

敗因は、「ちょっとずつ強くしていったこと」と「このキャラクターはイマイチだという思い込み」です。

その結果、毎日の変化がちょっとずつなので 「このキャラクターはイマイチだ」という印象がずっと変わらず 判断を誤らせてしまいました。

こういう事って、意外とあるんだな という例があり
それが、カードゲームなのですが Magic: the Gathering のコラム

禁止にもなった凶悪カード「頭蓋骨絞め
なぜこんなカードが作られてしまったのか?についての過程と反省が説明されています。
ここでも「最初 頭蓋骨絞めはパッとしないカードだった」
「調整で、弱かったカードを少しずつ強くしていった」「このカードは弱いという第一印象から判断を誤らせた」とあり

なんかジャンル問わず、どこでも一緒なんだな となりました。

番外.スタッフが入れ替わった

プレイヤーさんからすると、「そんなん知らんわ」
って感じだと思いますが、こういう例もあります。

それまで調整を担当していたスタッフが、他の部署に異動したり 会社を辞めたり なんてことになり

そんな際、「こんな性能の技を作ってはいけない」とか「この行動の後には必ず隙を作っておかないといけない」なんて それまで調整していた人だからこそ知っている秘伝のタレ的なノウハウ
それが不幸にも、うまく引き継がれないまま 失われてしまい・・・

その結果、新しい担当となった人が壊れキャラを作ってしまった
なんてことも、実際にありました。

ベストメンバーのまま、ずっとゲームを作り続けることができるのが理想ですが
そうもいかず、ここは大人の事情 というしかありませんね。


終わりに

あーーー
書きながら、いろんな事を思い出しました・・・

まぁ、こんな記事を書きつつも、今までで一番やらかしたのは バグによって壊れたキャラなんですけどね・・・ (前科〇犯)

最近は、アップデートにより 不具合修正や、バランス再調整が行えるので
やらかしてもリカバリーできるのが救いです。

それ以前のゲームだった場合、各ゲームセンターで「このキャラ使用禁止」みたいなルールをするしかなく
今よりシビアな開発だったんだろうなぁ と想像しています。



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今は17年ほど居たゲーム業界から離れ
個人でゲームを作る日々を送っています。

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それではっ!

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