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波多野と安部、チームスタッフの思い

J1第6節のベガルタ仙台戦が終了した後、次の記事が公開された。

波多野と安部が、第5節の湘南戦後にチーム外部者と会食を行っていた。
コロナ禍におけるチームの規約違反であり、PCR検査実施等を含めた5日間のチーム離脱と自宅謹慎。

非常に残念であり、怒り以前に落胆している。



●他チームの事例

浦和では柏木がキャンプ中の外食を行い、それ以前の度重なる規約違反を問題視した新監督によって戦力外の意思表示を受け岐阜に移籍した。

また、G大阪ではチーム内に多くの感染者が発生し試合の延期を余儀なくされた。ACLを鑑みると、今シーズンより導入された「みなし開催」の適用によって延期試合の中には「0−3」扱いとなる可能性もある。

こうした前例を認識していなかった筈はない。もし知らなかったのであればそれはそれで問題だ。

選手個人としても立場が大きく変わる可能性があり、チーム全体としても大きな影響を受ける。
その前例がいくつも発生している。コロナ感染者が出た場合にどんな事態になるのか、ルヴァン杯決勝が延期されたことによって身を以て経験したのではなかったのか。

「想像力を欠いた」や「軽率な行動だった」という紋切り型の反省文がそもそも通用しない出来事である。



●とあるチームスタッフのツイート

東京のチームスタッフの方がツイートしているが、これがサポーターである自分の思いにも重なる。

「同じ目標に向けてともに戦えると信頼できるメンバー・チームといっしょに前に進む」


今回の件に関わった二人はアカデミーの出身である。
東京の目標とは何か。このチームの悲願とは何か。
周りの選手と比べ、何年分か多くその思いに触れているはずだ。

チームから離脱している期間、試合に出られない期間でよく考えてほしい。



●長谷川健太監督と彼らの今後

長谷川健太が就任してから、真っ先に行った「甘さ」の払拭。
ソックスをしっかりと履く、ガムを噛まないなど選手として以前に、サッカーを生業とする社会人としての当たり前の心構えを正していくことにまず腐心した監督だ。

そんな人物が、自宅謹慎後の彼らをすぐ試合で起用するだろうか。

もちろん、報道ベースでしか情報を仕入れることのできない我々には伺いしれない情報がたくさんある。
長谷川監督と安部、波多野の間だけで交わされた会話がきっとあり、彼ら二人がどんな反省の姿勢を見せたかは知り得ない。
それでも、一丸となって上を目指すチームへの大きな裏切り行為を行った二人を、そう簡単に試合へ復帰させるとはどうしても思えない。

ましてや、二人がベンチ外となった試合で東京は勝利している。
同じポジションに入ったGKの児玉は抜群の安定感と最高のコーチングで守備陣をまとめ、中盤の三田は森重や東、田川との好連携で存在感を示した。
どうしても二人に出てもらわないと厳しいという台所事情でもない。

しかし、こればかりは監督が決めることだ。
どんなやり取りがあり、どんな事情が今後あるか分からない。
サポーターとしては、長谷川健太を信じるのみだ。

そして、出場した際には二人へ大きな拍手を送る。
声援が出せる状況になっていれば、名前を叫び鼓舞する。

起こした出来事を忘れることはないが、その今後を見限ることはない。



●U24日本代表でのチャンスを失った

東京五輪出場を控えたU24の活動において、3月下旬のAマッチデーに開催される試合へ向けた強化合宿は非常に重要な位置づけだった。
久保建英ら海外組の招集が可能で、チームの基礎や戦術を固める機会だからだ。選手選考の大きな材料になることは間違いなかった。

2019年にチームで大きく飛躍し、出場機会を重ねたこの二人はそのU24日本代表の有力候補であったことは間違いない。

特に波多野に関しては、第5節において同世代のライバルである湘南の谷を相手にしている。その中で終盤にビッグセーブを見せ、東京を勝利に導いた。
その試合は日本代表GKコーチの川口能活が視察に訪れていたのだ。
GKとしての活躍を間近に見せつけた直後、不必要な会食に赴いていた。

きっとこの件がなければ、2人とも順当に選出されていた可能性が高かった。
本人たちも、その日本代表のスケジュールは頭に入れていたはずだ。
そこの取捨選択において会食を選んだのであれば、それはもう仕方ない。
そんな判断をする選手が、ピッチで最高の判断をできるはずがない。


●最後に

あまり過去をほじくり返すことはしたくない。
したくないが、波多野が起こした不祥事と聞いて彼のユース時代の出来事が頭に浮かんでしまった。

2016年のJユースカップで、当時高校3年生だった波多野はゴールマウスを守った。
そこで、相手選手ともつれて倒れた際に拳で頭を殴ったのであった。

中継映像にも映されており、ベンチからも見えたことだろう。
結果としてイエローカードを受けるにとどまったが、間違いなくレッドカードに相当する行為だった。

京都の監督だった元日本代表のDF森岡隆三は激怒し、試合後も非常に険しい表情で波多野に詰め寄っていた。しかし怒鳴り散らすのではなく、波多野の目をしっかりと見て対話をしていた。

その後、波多野は頭を丸め坊主となる。

2018年のJ3ガイナーレ鳥取戦では、ベンチに入っていた波多野が試合後に森岡監督へ挨拶に行く様子が中継に映されていた。

今回の件とは全く関係ないが、波多野のそういった「甘さ」は森岡隆三の厳しくも誠実な指導で払拭されたのだと思っていた。


長年クラブを見続けていると、嬉しいことも悔しいことも、残念なこともたくさんある。

それでも応援し続けるしかない。
そういった業を背負った存在がサポーターである。



先日は、日本代表に選出された小川諒也について記事を書いた。
もし良ければ読んでいただければ嬉しい。


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