フジテレビがあざとくて何が悪いの?
突然なんですけど、最近のフジテレビってどう思います?
僕は"""あざといな"""と思います。勿論凄く良い意味で。こう思うようになったのは僕の友達の相互フォロワーが「フジテレビって結局恋するヒロインなんじゃないんですか?」って言ったことがきっかけでこういう思考に至り・・・
最近僕はテレビを観ていないことが多いですが、フジテレビの動向だけはしっかり追いかけてます。ではどの辺があざといんでしょうか?
①配信への誘導があざとすぎる
フジテレビは2022年のTVer配信再生回数が民放トップに立ちました。これは紛れもなくドラマのおかげです。2022年は『ミステリと言う勿れ』『ナンバMG5』『silent』が主に爆発的な再生回数を記録しました。特に『silent』は皆さんご存知の通り社会現象に。今や『silent』は他局でも積極的に映像借用が行われ、半フリー素材と化しています。では何故ここまでフリー素材化しているのか?理由はただ一つ。FODへの誘導です。フジテレビドラマの凄いところは無料配信のTVerを除くとFODでしか配信してないところです。なので「silent?観たい!ネトフリにもアマプラ手段がない!FOD入るか~!あれ?フジテレビのドラマがいっぱい!」これを狙ってるんです。あざとすぎる!
また最近1話~3話はTVerでいつでも観られます。これ多くないですか?これは1話だけ観て脱落しちゃうライトな層への訴求より、本当にコンテンツを楽しんでいるコアな人へ狙っているのではないかと考えます。ドラマすきのフォロワーさんが多いからわかると思うんですが、3話くらいまで様子見することありますよね?それを狙ってるんです。3話くらいまで様子見して、「え!面白いやん!今からでも見たい!でももう7話やんどうしよ!FODしかないんか~しょうがない入ろう。あれ?これも観たかった~!あるじゃん!FOD最高★」これを狙ってるんです。あざといな。
②最近のドラマがあざとすぎる
最近のフジテレビを支えているのは間違いなくドラマです。特に"配信ガチ勢"のフジテレビは特にガチ。昨年4月改編で水10ドラマ枠を復活。フジテレビの制作枠が3枠体制に。また"ドラマガチ勢"でお馴染みカンテレが今年4月改編で火曜23時台にドラマ枠「火ドラ★イレブン」を新設。数打ちゃ当たる理論で再生回数を伸ばすという戦略で突っ走っています。
ただ数打ちゃ当たる理論だけではない。昨年のフジテレビは『ミステリと言う勿れ』『ナンバMG5』『silent』が大ヒット。今年に入っても『風間公親』『あなたがしてくれなくても』が今期のTVer登録者数トップ2を独占。そしてこれらに共通するのは"ながら見"させないこと。リアルタイムの視聴者間での盛り上がりと、配信でじっくり観ることの両輪に耐えられるコンテンツだということです。実際今挙げた作品は世界トレンド1位に入るほどの盛り上がりを見せています。
これに付随するように、フジテレビのドラマに対する再評価の流れも高まっていると感じています。昨年『ミステリと言う勿れ』を筆頭に『ナンバMG5』『PICU 小児集中治療室』『silent』『あなたがしてくれなくても』は特に我がTLで高評価されている気がします。最近のフジテレビドラマの傾向としてはチャレンジ精神……特に若い制作チームで作られた作品がとても多いのが特徴。『元彼の遺言状』や『ナンバMG5』『PICU 小児集中治療室』のような若い制作陣が集まって作られるケースや、『silent』、そして7月スタートの『真夏のシンデレラ』といったフジテレビヤングシナリオ大賞出身者をいきなり大きな作品に起用するといった姿勢、『競争の番人』『女神(テミス)の教室』『スタンドUPスタート』など他局とは一線を画したテーマにチャレンジする姿勢が、今のフジテレビドラマを躍進させていると感じています。
作品のクオリティがめちゃくちゃ上がったのも大きな要因だと思います。『silent』のように恋愛ドラマから真正面に向き合い、手話を用いたり、無音の時間を敢えて作ることで、配信でもじっくり観て耐えられるコンテンツを作る。この拘りは今期の『風間公親』や『あなたがしてくれなくても』でも中江監督や西谷監督といったフジテレビのドラマ界の重鎮によるこたわりが垣間見られます。「ながら見させない、じっくり観させる工夫」がフジテレビドラマにハマる視聴者の増加に一役担っているのではと考えられます。
そして7月期のフジテレビは月9で恋愛ドラマが復活します。僕は過去に何度も月9のあり方について触れてきました。この5年間、月9は一貫して1話完結の刑事もの、医療もの、弁護士ものを扱ってきました。なんと月9で恋愛をやらないからとフジテレビを辞めた局員もいたほど(『恋仲』『好きな人がいること』の藤野良太Pと金井鉱D)。ただ最近、『silent』や『忍者に結婚は難しい』、今期の『わたしのお嫁くん』『あなたがしてくれなくても』など最近のフジテレビはめちゃくちゃ恋愛ドラマに積極的だった。特に最近の木10は、TBSの火10に対抗するかのようにめちゃくちゃ積極的に恋愛ドラマをやり続け、『silent』はその結果の賜物だと思います。そしてその『silent』の成功が、月9で恋愛をやっても良いんだ!という風に空気が変わったと思うし、社会現象になるほどTVerが回ったことで、ちゃんと面白い恋愛ドラマを作れば届くんだという希望が、もはや月9だろうが、木10だろうが、関係ない。だったら月9でも恋愛をやろう。恋愛ドラマを本気で獲りに行こうという姿勢を感じました。
またこれもフジテレビが始めたことですが、解説放送版ってご存知ですか?ドラマを邪魔せずト書きを読んでくれるので、今何が起きているが聴覚情報だけで分かる。それだけではなく、そのト書きから脚本家の意図も読み取れることができる。そしてこれはFODにも全話対応されております。ドラマガチ勢のコアな層への訴求としても使える素晴らしい機能です。これに加えて、1話~3話は無料配信されている。
良い作品をいかにして生み出すか、いかに手を伸ばしてもらえるドラマを作るか、そしてその作品を一時で終わらせない努力を惜しみなくしている、まさにあざといを日々研究努力している女子と同じであると考えます。
そしてこのドラマのあざとさが必然的にカンテレも動かしているのが強いところだと思います。フジテレビとカンテレ、もしかしたら今が1番仲良いかもしれない。カンテレはこの春のドラマ枠新設について「ドラマのカンテレとして位置づけてほしい意図がある」と明かしました。まさにカンテレもフジテレビの姿勢にノリノリというわけです。最近でも『エルピス』『罠の戦争』でそのポテンシャルをいかんなく発揮してきました。やはり在阪で唯一、全国ネットで30年以上もドラマをやっている局は違うなと印象づけられたと思います。かわいい!
③最近のバラエティは揺れている
最近のフジテレビのバラエティはとにかく何事にも積極的です。ただ「新規開拓」と「伝統芸能の継承」の間で揺れている気がします。めちゃくちゃヒロイン。もう火10のヒロイン(他局)。新しいことをしたい現場の熱がすごいあって、でも港社長という「憧れの先輩」がいて、その間でバラエティは揺れているなという感じがしてなりません。
その象徴が「ぽかぽか」です。「笑っていいとも的なノリをもう一度」を求められて作られたと思うし、公開生放送とか、ゲストとのトーク企画とか、ゲーム性のある企画とか、節々にいいとも臭は感じますが、その一方で「牛肉ぴったんこチャレンジ」という肉を切るだけの企画や「お母さん大好き党」、そしてハライチの起用など、新しい何かを模索しているのもすごく感じます。「ぽかぽか」こそが揺れているのです。その「ぽかぽか」のヒロイン像が今のフジテレビのバラエティ像だと思っています。
新しい何かを模索している象徴として挙げられるのがコムドットの起用です。テレビにほとんど出たことなかったYouTuber・コムドットに冠番組を与え、フジテレビのGWアンバサダーまで任せたことは、数年前に『めざましテレビ』が一時期YouTuberにコーナーを与えていた頃とは違う。YouTuberを一時の人気でちょっくら呼んでみる?のノリじゃない。フジテレビはガチでコムドットを囲ってスターにしたいんだなと。『コムドットって何?』自体はまだまだ方向性が定まっていない印象ですが、『トークィーンズ』や『ぽかぽか』に出演しているのを観る限り、「革命キャラ」がフジテレビのノリにめちゃくちゃハマっているんだなというのは感じるし、コムドットが積極的に番組制作に絡んでいる(本人のインスタにて)となるとガチで新しい何かを求めているんだなという印象を感じました。コムドットに対するパブリックイメージがあまりにもマイナスすぎるのもあって嫌煙されがちですが、個人的にはそういった苦手意識は払拭されたところはあります。結局どんな形であれ面白ければなんでもいいので。コムドットのファンからしても「コムドットテレビ出るじゃん?え?フジテレビ!?」という第一印象から入って、『コムドットって何?』の特徴として他のフジテレビの番組とのコラボが積極的なので、あれよあれよと結局は他のフジテレビのコンテンツも観るようになって、FODに入る仕組みになっているし、自然と8を付ける流れになっているんです。あざとすぎるだろ!
また新しい何かを模索している流れであり、今のフジテレビのフラックシップ的存在として松本人志さんはいると思います。現在放送中の松本さんのレギュラー番組『人志松本の酒のツマミになる話』『まつもtoなかい』に共通することは「普段あまりバラエティに出ない人が出る」ことです。前者なら最近はTHE RAMPAGEの陣さん、SUPER BEAVERの渋谷龍太さん、TravisJapan松田元太さんといったトーク番組にあまり出る機会がないゲストが面白いトークを繰り広げ、話題を呼ぶことがあります。多種多様のゲストを呼ぶことでフジテレビの新規視聴者層の開拓に繋がるのです。実際に『酒のツマミになる話』はTVer再生回数が常に『水曜日のダウンタウン』(TBS)に続いて2位です。また後者は初回から香取慎吾さんを呼んで、中居さんと6年ぶりに共演、大きな話題を呼びました。その後も上沼恵美子さん、岡田准一さん、小栗旬さんといったなかなかトーク番組に出ないゲストを積極的に呼んで話題を集めてます。また『まつもtoなかい』は音楽番組的な側面でマカロニえんぴつ、ちゃんみな、SnowManといった若年層に多く支持を集めるアーティストを出すことで、こちらも新規視聴者層の開拓に繋がっています。
そして松本さんは新しい企画にめちゃくちゃ積極的です。『IPPONグランプリ』や『人志松本のすべらない話』はそういった積極性から生まれた番組ですし、『まっちゃんねる』『FNSラフ&ミュージック』でIPPONの派生をやってみたり、先日放送され大きな話題になった『THE SECOND』にアンバサダーとして参加したのもそういったご本人のお笑い、バラエティ、テレビに対する積極性からだと邪推してしまいます。レギュラー番組を観てフジテレビを観るようになったライトな層も、テレビが大好きなコアな層にも、そして新しいことが模索している今のフジテレビにも、全方位で面白いことを開発・提供できるのは今のフジテレビには松ちゃんしかいません。もしかして本当にあざといのは松ちゃんなのか?
こういった事柄を踏まえて「憧れの先輩」港社長がにも触れていきたいと思います。これは大変申し上げにくい話ですが、フジテレビって時の社長に振り回されすぎじゃないですか?月9は恋愛ドラマ徹底路線を打ち出して、生放送の音楽番組や情報番組を始めて「LIFE is LIVE」と言っていた亀山さんも、『プライムニュース』を地上波に持ってきて、「変わるフジ、変えるテレビ」と言っていた宮内さんも、そして今回『オールナイトフジコ』を始めた港さんも。かわいいんですけど、愛すべきフジテレビなんですけど、それが功を奏した記憶が僕には無くて、心配になります。
以前、他の方の記事でフジテレビは「今の若者」に向けてではなく、フジテレビが黄金の時代を走っていた頃のフジテレビの「当時の若者」に向けて作っているのでは?という指摘があって、本当にその通りだと感じました。正直『オールナイトフジコ』や『明石家さんまのラブメイト10』が2023年に通用してしまう企業って、テレビ局ってどうなの?って凄い感じます。そんな過激なこと、古いことをしなければフジテレビって話題にならないんですか?昔の記憶を掘り起こさなくても、今のフジテレビには戦える武器が揃っているはずだと僕は思っています。
港社長が悪いとかそういう話ではない。むしろ港社長になってからフジテレビは確実に良い方向に前進していると思うし、お笑い・バラエティの革新的な熱をすごく大事にしていると思いますが(じゃなきゃ『THE SECOND』を速攻で来年の開催宣言しない)、時代錯誤的な企画の復活がその革新を止めているのではないかと思ってしまうのです。港社長は「看板番組を作りたい」とおっしゃってましたが、看板番組ってそうやって生まれるものでしょうか?
そういった意味で今のフジテレビのバラエティは「新規開拓」と「伝統芸能の継承」の間で揺れているなと感じます。
④フジテレビはいつも主人公にいる
フジテレビのヒロイン適性の高さが充分に分かったところで、結局この記事は何が言いたいのか。それはフジテレビはいつもメディアの主人公だということです。
かつてフジテレビは日テレと熾烈な視聴率争いを繰り広げてきました。ただフジテレビが2013年ごろから徐々に傾き始めます。しかしそんな時でも当時の亀山社長は「世帯視聴率では負けているが、若年層には観られている」とアピールしていました。その通り、2020年に「個人視聴率」「コア視聴率」に指標が切り替わってから実は2位争いをしてきたことが明らかになってます。近年「テレビ離れ」と危機感が騒がれていますが、本当にそうでしょうか?日々ドラマは世界トレンド、TVerは普及率を拡大、今や「TVerで観る」といった声を自分の周りでも聞くようになりました。面白ければ何だろうと観られるのです。ただやはりそれがフジテレビになると「社会現象」と他局も巻き込んでお祭り騒ぎになる。いくら話題になったドラマがあったとしても、『silent』の瞬間最高風速には勝てない。いくら夢の共演が実現してもアンタッチャブルの復活や中居×香取の共演には勝てないのです。「フジテレビを叩くとPV数が稼げる」と暗黒期に言われていたように、フジテレビから明るい話題が出ると自ずとテレビ界・メディア全体が明るくなる気がします。そういった意味でフジテレビこそがテレビ界のヒロインであり、主人公なのです。
最後に港社長のカッコイイエピソードを紹介して終わりにします。
年始の『週刊フジテレビ批評』でコア視聴率について問われた港社長が
「フジテレビって元々若い人向けに人気のあるコンテンツを作れてこれたので、13歳〜49歳を大事にするっていうのは今までやってきたことと変わらない。そもそもそんなこと考えて番組を作らない。面白いものを作れば自ずと(若い視聴者は)入ってくるだろう」
っておっしゃったんです。めっちゃかっこよくないですか?そしてめっちゃあざとくないですか?コア向けコア向けと叫ばれている時代にこの感覚を持っているの凄いと思うし、相当な自信がなきゃこんな言葉は出ない。これを聞いた時に「フジテレビは良い方向になる」と確信が持てました。
あざとく面白く頑張れフジテレビ!!!!!
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