【北海道】地域おこし協力隊と行政②

=地方自治体は、じゃあどうすればいいのか?=

なんといっても、地域おこし協力隊員をめざすには「自己防衛」がまずはいちばんですが、良い地方自治体を見分けるには、次のような内容を実践しているかどうかにかかっています。

「地域おこし協力隊」を募集する地方自治体のやるべきこと

①募集する業種を決めない(それは近隣の求人情報誌でやって)
②総務省のお金だけで、有能な人材を確保しようとしないで
③本当に過疎から脱出したいなら、「応援」はすれど「邪魔」はしないで

もう、これら3点につきます。

①ですが、これは前述の通り「うちの町は魅力が少なくて移住・定住する人が少ないから労働力がない、だからとりあえず雇えればいい」という考えは破棄してください。こんな甘い考えで、本当に過疎から脱出して、人口が増えると思いますか?そんな町や村の職員がいるなら、もうその自治体は壊滅的です。

そして、「移住したい→でも自分のやれる仕事がそこにはない」という人は、潜在的にものすごく多いと思います。しかし、役場の考えることは、

・うちの町で、うちの町にある仕事をして、うちの町に金を入れて

申し訳ないのですが、過疎の町で完結する仕事など、将来性は非常に乏しいです。介護くらいじゃないでしょうか、将来性があるのは。都市部と繋がっているからこそ、都市部の新しい考え方や訪問者、技術的な交流も発生するのです。しかしほとんどの自治体にこの考えは「ない」のです。

募集をかけるなら、テーマフリーにして、一応こういう要望はあるけれど……程度にすべきです。まずは移住してきてもらうことが先決なのではないですか?

②ですが、うちの町にはお金がない……って、いえいえ、総務省からの補助金が大半。そこに上乗せしていないから、「月給11万(控除前)」とか、そんな無謀な金額を提示しているのですよね。TOEIC800点の人が、宅建などの国家資格を持った人が、すすんでその金額で、本当に移住するとでも思っているのでしょうか?

さらに、「面接はうちの町で。交通費は各自で」とか。

私は知っていますよ。過疎でお金が全然ないと言っていたのに、町の広報誌はフルカラー印刷のところも。(カラー印刷って版下なども依頼するから高額なんですよ)しかも広報担当は、お金がない町なのに、地域おこし協力隊の給料が14万円なのに、Adobe Creative Suite全部入れていて、フォントも購入していましたよ。1フォント数万円するのに、6ウェイト×5フォント入れている役場を。

役場の課長や参事とか、30万、40万もらっているのに、能力のある50歳に手取りで10万円ちょっとにしかならない給料を提示しているのを、いったい世間一般の人たちはどう思っているのでしょうか。中学英語もままならず、一日の大半を役場のWiFiでネットを見て、たまにはんこを押して、みんなから集めたお金で珈琲をいちばん飲んでいる中間管理職の方が、40万?

それでいて、地域おこし協力隊の募集欄には「期間満了後は定住してもらい、その際に起業までしてくれたら少しは補助を出すよ」のような文言が踊っています。いえいえ、貯金できるような賃金じゃありませんから。しかも役場の中でコーヒー代だの月間会費を集められたりだの、起業や定住などムリです。

地域おこし協力隊の賃金は、副業禁止なら年齢相応、保持資格に見合う、年齢相応の額にするべきです。20代で20万円台とか。

それでいて民間企業に賃上げしろって、おかしいですよ。

③は、これが最も多くて顕著で、最も地域おこし協力隊の士気を下げることです。これまでその地方自治体は何をやっても、祭りをやっても何をしてもダメで、結果過疎化に歯止めがかからないのですね。

そこへ他から来た地域おこし協力隊員が問題点を考え、その改善を考え、どうすればお金をかけずに活性化できるかを練っているのに、「それはこの町ではムリ」「それはうまくいかないよ」といって、うまくいかなかった人たちの価値観で却下するのです。

挙げ句の果てには、「あなたがそれをやって失敗したら、こっちの責任になっちゃう」「地域おこしは役場の人間って思われてるから何かあったら困る」と言います。

地域おこし協力隊員を馬鹿にしないでください。
リスクは多少あれど、うまくいくかどうかもわからないけれど必死に考えて、失敗してもそれを次に生かして、それでやっていくものじゃないんでしょうか。地域おこし協力隊になりたいと思っている人は、みんなその市町村や業界を盛り上げようと思っているのです。みんなだと思います。

そして、それを腰砕けにするのは、地域おこし協力隊を募集している自治体や機関なんです。

厳しい意見を書きましたが、地域おこし協力隊の募集を見ていると、毎回同じ町が募集してきています。それでは人は集まりません、ということを改めて認識して、募集の方法を変えたり、受入方法を変えたりすれば、「万年募集」にはならなくなるのではないでしょうか。

■2021年11月26日時点で募集している自治体の問題点

①観光関連のものが全くないのに観光振興の募集

おそらくどこの市町村にも、何かしら史跡や名所、○○館なるものはあると思いますが、札幌からでも、旭川からでも、人が来るか来ないかは魅力があるかないかで決定されてしまいます。どうやっても絶対に人が集まるものがないのに、観光振興で募集しても厳しいと思います。10年後に、その街が観光振興で賑わっているか、この投稿を振り返って頂けるといいかもしれません。中頓別町や共和町、栗山町、南幌町、江別〜美唄市、平取町、日高町、下川町など。どうやっても多くの観光客が来たりしないと思います。

②人不足としか思えない・特定職種で募集しないで

スポーツインストラクターを募集している斜里町や浜中町、こんな一択の募集で人は来るのでしょうか。斜里町はもう長いことこの募集をかけていますが、そろそろ変更した方が良いのでは?斜里も浜中も、せっかく別のことで募集かけたら人が集まりそうなのに……。

あと、林業、漁業、酪農を募集している道南の町や十勝。明らかに人不足なだけですよね。それとも、フランスのすごい農場で経験を積んだ農業経験者がいて、その人が移住してくれると思うのでしょうか。イカもサンマも採れないのに「行業従事者になろう!」と明るく募集していますが、これも単なる人不足ですよね。

こういうことは地域おこし協力隊として募集せず、地元(あるいは道内の都市部)で募集してください。未来のない産業、あったとしても20万もしない賃金で来るのは、右も左もわからない何も知らない若者です。

西興部、新得、礼文など。特定しすぎて応募がない、あるいは分散しすぎてわかりにくいというのもあります。

芦別や美唄のように、テーマは決めず、その人の得意分野で町を活性化させてください!が最も効果的だと思います。もちろん、それに見合う賃金や、更別・幌加内のように赴任費用まで出してくれるのかどうか、そういうものも非常に重要です。

③雇用関係は「なし」に

住民票を移すのはわかりますが、「雇用関係あり」にすると個人事業など手広くやっていて、地方移住だって問題ないという人でも、それだけで躊躇して応募しません。「地方自治体の臨時職員になりたいわけではない」という感覚も、しっかりとご理解頂きたいですね。

(③へつづく)