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1-1-2.シュメール 世界史の教科書を最初から最後まで

2つの川の流れる地


一年を通して雨があまり降らない代わりに、大きな川のある地域。それがメソポタミアだ。


現在イラクという地域のあるこの地域には、2本の大河が流れる。

ティグリス川とユーフラテス川だ。

メソポタミアというのは、2つの川の間の土地という意味のギリシア語。


乾燥エリアの中でも、大河のあるエリアは水が豊かで、まさに楽園だ。


都市ができた

その河口付近では、前3500年ころから人口が急激に増え始める。

当時の遺跡からわかることは、ここに大きな神殿があり、大きな集落がたくさんできたということだ。

やがて文字(楔形文字)という情報伝達ツールが発明され、石に代わって銅や青銅(せいどう)といった金属の道具もつくられるようになる。

はじめに都市ができてから約500年後、この地域の集落は「都市」(city)といえるほどのスケールにまで成長する。

シュメール人の都市は、ウル、ウルク、ラガシュが有名。都市間の戦争も少なくなく、時期によって主導権をとる都市が交替した。


都市国家のしくみ

都市の内部の人々は、さまざまな職業や役割に分かれていく。

トップに君臨するのは王だ。
その支配を支える神官や、都市の財産を守るために戦士の役割も欠かせない。
道具をつくる職人や、その材料を外から持ってきたり製品を輸出する商人も現れた。

これら都市は、それぞれ別々の「守り神」によって「バリア」が張られていると考えられた。
都市の支配者は「守り神」を喜ばせることのできる「神官」を従え、「守り神」を大切にすることで、都市の住民や、その周りにいる人たちの言うことを聞かせようとしたんだ。

都市の中心にある神殿(ジッグラトという)は「聖域」とされ、許された者は入ることができなかった。

現代の日本でいう「皇居」のようなものだね。

こうして、「守り神」信仰を利用して都市を支配する人たち(支配層)のところには、貢(みつ)ぎ物が集まる。
商人たちが都市の外から持ってきた富は、神殿に保管されたのだ。



都市が豊かになるのは「守り神」のおかげ。
だから、神殿には莫大な富が集まった。

このように、都市には、支配する人と支配される人が一つのまとまった組織を形成していった。
ある決まったエリアを支配する組織を「国家」というけれど、エリアは一つの都市周辺に限定されるので、こういう国家のことを「都市国家」(city-state)というよ。
都市国家のあったところからは、ほかに宮殿や王の墓の遺跡も見つかっている。

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ウルという都市国家で見つかった工芸品(ウルのスタンダード)。モザイクで描かれているのは「戦争」と「平和」をテーマにしたイラスト。さまざまな身分の人々や戦争の様子を読み取ることができる。


このように都市を発達させていった、メソポタミアの河口付近(メソポタミア南部)の人々のことを、「シュメール人」と呼ぶ。

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当時の像を見てみると、ギョロっとした目玉はそれこそETみたいな宇宙人っぽいね。
あごひげを立派に生やす風習は、現代のこの地域の人々とも共通しているよ。



アッカド人がやってきた

しかし、その繁栄にもやがて危機が訪れる。
アッカド人(言語学的にはセム語派というグループの言葉を話した人々)という人たちが、メソポタミア南部の富を求め、北から征服してきたからだ。


このたびはお読みくださり、どうもありがとうございます😊