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"今"と"過去"をつなぐ世界史のまとめ

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#世界

【ニッポンの世界史】#29 「長い目」で世界史を見る:成長の限界・ノストラダムス・小松左京

終末論から生み出された新しい「世界史」観  「ニッポンの世界史」には、その時代の日本人のものの考え方や精神性のようなものが反映されているのではないか。  そのような観点に立ち、今あらためて1970年代をふりかえってみると、これまでみられなかった新しい種類の想像力が立ち上がり、それが日本人の歴史に対する考え方を変え、「世界史」の再定義に向かっていったのではないか、と思うのです。  まあ、1970年代のサブカルチャーや社会の変化については、すでにひととおり多くの人によって語り尽

ニッポンの世界史【第10回】:京都学派の世界史(その1)

京都学派とはなにか  京都学派とは一般に、京都帝国大学を拠点とした西田幾多郎と、その後継者である田辺元、さらにかれらの弟子たちを総称した呼び名です。  西田と田辺を受け継いだ第二世代のうち、哲学者の高山岩男、西谷啓治、高坂正顕、さらに西洋史家の鈴木成高の4人は「京都学派四天王」と呼ばれることもあります。  彼らの共通点は、仏教的な概念と西洋哲学の概念を重ね合わせて、西洋近代を批判し、西洋中心主義をのりこえた新しい「世界史の哲学」を構想しようとしたところにありました。  し

【ニッポンの世界史】第8回:ヨーロッパの「妄想」に挑んだ2人—飯塚と上原

 1949年に「世界史」という科目が設置され、戦前の西洋史・東洋史・国史(日本史)をのりこえる「世界史」構想が本格的にはじまりました。しかし、これまで見てきたように、世界史に対するマルクスの唯物史観の影響力は、年々強まっていきます。  特に1947年9月に、マルクス未完の草稿である『資本制生産に先行する諸形態』(ロシア語で執筆)が翻訳され『歴史学研究』に掲載、1949年に書籍として刊行されたことは、大きなインパクトを与えました。 世界のどの地域も一様のスピードで発展してこな

歴史の扉 No.17 「K-POP」の世界史

コロナ禍1年目、波が一瞬収束したそのタイミングで、たのしい遠足だというのに、生徒たちは「バス車内は静かに」との注意を行儀よく内面化していた。その座席から、つつましくささやく「Dynamite」が聞こえたとき、コロナ禍の鬱々がぱっと晴れるような心持ちがした。2020年、BTSの楽曲「Dynamite」が、アメリカ・ビルボードの総合チャート「ホット100」で初登場1位となった、ちょうどそのころである。いまだに高校生の間でもなかなかの人気であるが、世代の差もあって、それ以前のK-P

新科目「歴史総合」入門(4)グローバル化

■3つ目のしくみ「グローバル化」 いよいよ最後、3つ目のしくみは「グローバル化」があらわれる20世紀半ばの時代をみていきましょう。 前回みたように、戦争が終わると、今度はアメリカとソ連の2つの世界に引き裂かれましたが、2度の世界大戦を通して縮小していた貿易や交流は、以前と比べれば回復に向かいます。 ソ連とアメリカは、それぞれの掲げるイデオロギーのもとで、世界をひとつにまとめようとします。 人々は、生活水準を高める憧れを抱き、どちらかの陣営に参加し、よりよい人生をおくる

東と西のあいだ “今”と“過去”をつなぐ世界史のまとめ⑥ 前800年〜前600年

前800年頃、ギリシア各地にポリスとよばれる都市国家が誕生した。約400年つづいた混乱時代がおさまり、英雄をたたえる聖域が築かれ、都市にあつまって暮らす人々が増えたのだ。 ギリシアは、現代のヨーロッパ文明にとってのルーツである。ヨーロッパの民主主義や文化の源流はギリシアにある。その思いは、近代以降、ヨーロッパ諸国がいかに自国の国威発揚のために建設した博物館や美術館に、無数のギリシア文化のコレクションが所蔵されていることからも明らかだ。 かつて、当時のギリシアの人々は黒人だ

【全文無料】総目次 世界史/日本史のまとめ

基本コンセプト  昔と今を、今と未来をつなぐ。  世界の中の日本、日本の中の世界をつなぐ。  世界史を26ピースに「輪切り」にし、 深く、たのしく、わかりやすく”翻訳”する。 コンテンツの一覧【1】ゼロからはじめる世界史のまとめ(世界史×ゼロから) 【2】同時に学ぶ! 世界史と地理(世界史×地理) 【3】世界史のまとめ × SDGs(世界史×未来) 【4】"世界史のなかの" 日本史のまとめ(世界史×日本史) 【5】世界史の教科書を最初から最後まで(世