「#世界はジャズを求めてる」2024.1月4週(1/25)『レイ・バレット特集』eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM
『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。ジャズ評論家の油井正一さん「ジャズはカリブ音楽の一種」と喝破されたように成り立ちから一つのラテンとジャズは、垣根を意識することなくお互いに溶け合ってきています。そんな関係のカッコいい曲をお届できればと。番組をお聴きになってラテンに興味がでた方、ラテンがお好きな方はラテン音楽Web マガジン「エル・ポップ(eLPop)」など覗いて頂けたら幸いです。(URL=http://elpop.jp)
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まずは新譜から。1/24にリリースされたばかりの小曽根真のニュートリオのアルバム『TRiNFiNiTY』からパキート・デ・リベラが参加したナンバーから。
1. Etudade/小曽根真 from 『Trinfinity』 (2024)
小曽根真(p)小川晋平(b)きたいくにと(ds)パキート・デ・リベラ(cl)二階堂貴文(congas, perc)
小曽根さんはブランフォード・マルサリス(sax)が入ったクリスチャン・マクブライド(b)ジェフ・ティン・ワッツ(ds)とのトリオ組んだりする中、ニュートリオとして若手の超逸材、小川 晋平(b)きたいくにと(ds)と始動したプロジェクト。強烈なエネルギーと創造性に満ちこれがスタートかと思うとこれから目が(耳が)離せません。
NY録音のアルバムはこのパキート・デ・リベラ(cl)参加のラテンチューン(小川作)があったり、先日来日、デヴィド・ボウイの「★」アルバムの音を方向付けたダニー・マッキャスリン(ts)も参加、そしてコンガは先日里帰りでぶっとい音を聴かせた二階堂貴文(perc)や、なんと19才驚きの新世代佐々木梨子(as)などと聴きどころ満載です。
【Ray Barretto特集】
ティト・プエンテ、エディ・パルミエリとジャズとラテンの架け橋、というか両方の分野をものにして音を作って来た偉大な音楽家の3人目レイ・バレットの特集です。
本名レイムンド・"レイ"・バレット・パガン(Raymundo "Ray" Barretto Pagán(1929/4/29 - 2006/2/17)
プエルトリコ系の両親(1920年代、プエルトルコのアグアディージャから移住)からブルックリンで生まれ、エル・バリオとブロンクスで育ちます。父親はバレットが4歳の時に一家を去り、母親のデローレスはブロンクスへ。デューク・エリントンやカウント・ベイシーのジャズに影響を受けていきます。
1946年17歳で陸軍入隊。ドイツに駐留中、ディジー・ガレスピーの「Manteca」を聴き、ノックアウト。クラブでバンジョーのバックヘッドを叩き音楽キャリアをスタート。
1949年、兵役から帰還し、コンガを手に入れNYでクラブのジャム・セッションに参加しながらコンガ・プレイを完成させていく中、ある時、チャーリー・パーカーがバレットの演奏を聴き、自分のバンドに招きいれます。
その後、1957年、当時大人気のホセ・クルベロ楽団に加入、1958年にはモンゴ・サンタマリアの後任でティト・プエンテ楽団に加入。名盤『ダンス・マニア』でその音を聴くことが出来ます。以降4年間在籍。
一方そのユニークなスタイルで他のジャズ・バンドのリーダー達からコール相次ぎます。
1960 年以降プレスティッジ、ブルーノート、リバーサイドのハウス・ミュージシャンとしても活躍。コロンビア・レーベルではハービーマンとも。また後にCTI盤にも多く参加しています。ざっと上げただけでもこんな感じ。
・レッド・ガーランド(p)"Manteca"(1958)
・ルー・ドナルドソン(as)"Swing and Soul"(1957)"Light Foot"(1958)"Blues Walk"(1958)
・アート・ブレイキー(ds)"Holiday for Skins vol.1"(1958)
・エディ・ロックジョウ・デイヴィス(ts)"AfroJaws"(1960)
・ジーン・アモンズ(ts)"Boss Tenor"(1960)
・ホレス・パーラン(p)"Heading' South"(1960)
・ソニースティット(ts)&ジャック・マクダフ(org)"Stitt Meets Brother Jack"(1962)
・ケニー・バレル(g)"Midnight Blue"(1963)
・スタンレー・タレンタイン(ts)"Mr. Natural"(1964)
・ジミー・スミス&ウエス・モンゴメリー"Further Adventure"
・フレディ・ハバード(tp)"Backlash"(1966)
・ウエス・モンゴメリー(g)"ミッドナイト・ムード"(1966),"Day In The Life"(1967)"California Dreaming(1966)
・クリフォード・ジョーダン(ts)"Soul Fountain"(1966)
・George Benson(g,vo)"The other side of Abbey Road"(1969)
・デオダード(p)"Prelude"(1972)
・ビリー・コブハム(ds)"Spectrum"(1973)
・ウエザー・レポート" Mysterious Traveller" (1974)
・ジュディ・コリンズ"True Stories and Other Dreams "(1973)
・Crosby, Stills & Nash, CSN (1977)
1960年に最初のグループ「チャランガ・ラ・モデルナ」を結成。”El Watusi”がヒットします。1965年ティコと契約、1967年ファニアと契約しアルバム『Acid』が大ヒット。1972年『Que Viva La Musica』からの”Cocinando”はサルサの誕生を捉えた素晴らしい映画『Our latin Thing』のオープニングに使われます。1973年バンドメンバーがTipica 73結成の為脱退の難を受けますが、1975年アルバム『Barretto』、1978年『Barretto Live』はグラミー・ノミネート。以降も多くのアルバムをリリースします。2006年、ニュージャージーにて逝去。
ということで曲に。
2.3D Mambo/Tito Puente from Dance Mania (1958)
Tito Puente(timb, vib, marb)
Bernie Glow(tp), Jimmy Frisaura(tp), Frank Lo Pinto(tp), George López(tp), Gene Repetti(tp), Larry Moser(tp), León Merian(tp)Rafael Palau(sax), Jerry Sanfino(sax), Schapp Pullman(sax), Tony Buonpastore(sax), Raymond Concepción(p),Bobby Rodríguez(b),
Ray Barretto(congas), Ray Rodríguez(bongos), Julito Collazo(congas,4&11),
Santitos Colón(vo),Vitin Avilés(coro), Otto Olivar(coro)
3.Green Eyes /Lou Donaldson from Light-Foot (1958)
Lou Donaldson(as), Herman Foster(p),Peck Morrison(b),Jimmy Wormworth(ds)
Ray Barretto (congas)
4.El Watusi/Ray Barretto from Charanga Moderna (1962)
RAY BARRETTO(CONGAS)
ALFREDO VALDÉZ, Jr. (p) GONZALO FERNÁNDEZ, (fl)
MIKE STANCERONE (vln) OSVALDO CHIHUAHUA MARTÍNEZ (güiro)
WITO KORTWRIGHT, (lead vocals), PETE BONETM GOODY BASORA (vocal chorus), among others.
5.Chittlins Con Carne/Kenny Burrel from "Midnight Blue" (1963)
Kenny Burrell (g), Stanley Turrentine (ts), Major Holley (b), Bill English (ds), Ray Barretto (conga)
6.Hard Hands/Ray Barretto from Hard Hands (1969)
かっこいいラテン・ソウル。映画『サマー・オブ・ソウル』の頃の作品です。(映画ではこの曲はなし。同盤の”Abidjan”と一つ後の盤から”Together”)
Ray Barretto(congas)
Mr. Soul(b), Tony Fuentes(bongos). Louis Cruz(p), Orestes Vilato(timb), adalberto Santiago(vo), Papy Roman (tp), Rene Lopez(tp), Roberto Luis Rodriguez(tp), Willie Torres (vo)
7.On The Road/Ray Barretto from On The Road (1973)
ビリーコブハムがドラム。ラテン・ファンク/クロスオーバー的なサウンド。まだ1973年ですから先端です。
Ray Barretto (congas, ds)
Roberto Rodriguez (tp), Joseph Roman (tp), Manuel "Manny" Duran (flh, tp), Eddy Martinez (p,kyd),Guillermo Edghill (b),Ray Romero (timb), Tony Fuentes (bongo), Arthur Webb (fl), Billy Cobham (ds)
https://youtu.be/6t8e9CFciOA?si=Hjdqb6G2IlGwQVVZ
8.Confrontation/Ray Barretto from Can You Feel It (1978)
ヘビーメタルビバップ的高速デスカルガ
9.Close Your Eyes from Homage to Art (2002)
アート・ブレイキーへのオマージュ。アート・ブレイキーのアルバム『Holiday for Skins vol.1』(1958)にも参加したバレットのジャズへの愛をラテンとジャスを両方自身に持つバレットならではのオマージュ。ミゲル・セノン、ルイス・ペルドモ、ハンス・グラヴィシュニクなどがかっこいい。
Ray Barretto(congas)
John Bailey(tp), Miguel Zenon(as),Luis Perdomo(p),Hans Glawischnig(b),Vince Cherico(ds)
なお過去に『Blue Noteのラテン』という特集を組んだ回がありますので、もしよろしけれはそちらもお読みください。
https://note.com/sekaijazz/n/n7f8c3ee34df3
1月は以上です。ありがとうございました!気に入った方はぜひ「スキ」(ハートマークのクリック)をお願いします!
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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
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