見出し画像

「#世界はジャズを求めてる」2022.3月4週(3/24)『Blue Noteのラテン』eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。ジャズ評論家の油井正一さん「ジャズはカリブ音楽の一種」と喝破されたように成り立ちから一つのラテンとジャズは、垣根を意識することなくお互いに溶け合ってきています。そんな関係のカッコいい曲をお届できればと。番組をお聴きになってラテンに興味がでた方、ラテンがお好きな方はラテン音楽Web マガジン「エル・ポップ(eLPop)」など覗いて頂けたら幸いです。(URL=http://elpop.jp

◆◆◆◆

3月はまたジャズの良い映画が封切りされました。

ブルーノート・レーベルに関する映画『Blue Note Story』にちなんでBlueNoteのラテンを集めて見ました。

THE BLUE NOTE STORY

まず映画の事をご紹介しますと、出演はハービー・ハンコック、クインシー・ジョーンズ、シーラ・ジョーダン、チャールズ・トリヴァー、ベニー・ゴルソン、ソニー・ロリンズ、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ロン・カーター、ルディ・ヴァン・ゲルダー、ケニー・バレル、ジミー・ヒース、ジョージ・ベンソン、レジー・ワークマン、セシル・マクビー、チャールズ・トリヴァー、ロルフ・キューン、ベニー・モウピン、マイケル・カスクーナ、ケネス・ウルフ、ダン・モーゲンスターン、ピーター=ヨアキム・フォン・ドレンクマン (P・V・ドレンクマン) 、バリー・シンガーなどなど。演奏シーンというより証言が多いです。

『パリ、テキサス』(84)、『ベルリン・天使の詩』(87) 、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)などのヴィム・ベンダースが総指揮を行い、ドイツで最も評価されているドキュメンタリー監督の1人であるエリック・フリードラが監督を務めました。

1. Bansheer's Dream / Kenny Dorham from "Afro-Cuban" (1955)

https://youtu.be/ppy-k9HFzSE

ケニー・ドーハム(tp)のブルーノートでのデビュー盤。1-4曲目は元々10インチ盤で出ていたものに残りの曲を加え12インチLPにしたものなので1-4曲目にパタートがコンガで入ったユニット。これがこの盤の魅力の秘密と言えます。デビュー盤でアフロキューバンをとなるくらいこのころはジャズにラテンが融合していたのが分かりますし、その疾走感こそが聴きどころです。レアグルーヴ以降のクラブでもよくかかる定番の一枚です。

Kenny Dorham (tp), J.J. Johnson (tb), Hank Mobley (ts), Cecil Payne (bs), Horace Silver (p), Oscar Pettiford (b) (1 – 4, 9), Art Blakey (ds), Carlos “Patato” Valdes (congas) (1 – 4, 9) , Ritchie Goldberg (cowbell) (1 – 4, 9); Percy Heath (b) (5 – 8).

2 . Rhapsodia Del Maravilloso / Sabu Martinez from "Palo Congo"(1957)

https://youtu.be/Ebwuy2IXyM0

サブー・マルティネスはNYのスパニッシュ・ハーレム生まれ。

チャノ・ポソの代わってディジー・ガレスピー(tp)のオーケストラでやったのが11歳の時の事。以来チャーリー・パーカー、エリントン、ベイシー、モンク、ミンガス、ノロ・モラレス、マルセリーノ・ゲーラ、ジョー・ロコとジャズ側、ラテン側、また混合の多くのバンドでプレイして来ました。アート・ブレイキーのグループの後、自分のバンドを持ちブルーノートに吹き込んだデビュー盤がこの『パロ・コンゴ』。これがブルーノートからの作品なのかと思えるような全編アフロ、キューバ色に満ちた作品。特筆すべきはトレスのアルセニオ・ロドリゲスが作品全体を引っ張っている点です。

 アルセニオ・ロドリゲスはキューバのマタンサス地方生まれ。7歳の時、馬に蹴られて失明してしまいますが、トレス演奏や作曲の才能が素晴らしく数々のバンドに参加。1940 年には自己のバンドを結成します。1947年NYに目の治療で訪問しそこからキューバに帰らずNYで活動することを選びます。そのアルセニオがサブーのデビュー盤に全面協力しました。

Louis "Sabú" Martínez (congas, bongos, vo),Arsenio Rodríguez (g, tres, vo),Raúl "Caesar" Travieso (congas),Israel Moisés "Quique" Travieso (congas),Ray "Mosquito" Romero (congas),Evaristo Baró (b),Willie Capó (vo),Sarah Baró (vo)

3.Mambo Inn / Grant Green from "The Latin Bit" (1963)

https://youtu.be/_zqx6VmNHa8

ブルージーなギターの名手グラント・グリーンのラテン・アルバム。グラント・グリーンの柔軟でフットワーク軽くかつ彼しか出せないファンキーな感覚とラテン側、特にパタートの絶妙な切り込みやグルーヴ感の交差がかっこいいアルバム。

「Mambo Inn」はマリオ・バウサ(sax)、ボビー・ウッドレン(tp)というマチート楽団の腕っこきと、チック・ウエッブやグッドマン、アーティ・ショウなどなどでも活躍したsax/vlnのエドガー・サンプソンの娘のグレイス・サンプソンの共作。ラテン・ジャズのスタンダードです。

Grant Green (g)John Adriano Acea (p),Wendell Marshall(b),Willie Bobo (ds)Carlos "Patato" Valdes (conga ), Garvin Masseaux (chekere)

4.Recorda me / Joe Henderson from "Page One" (1963)

https://youtu.be/xwRbcb4ADjY

ジョーヘンダーソン(ts)のデビュー盤。ケニー・ドーハムの"Quiet Kenny"の曲から。ケニー・ドーハムのデビュー盤同様に、ラテンとジャズがごく普通にクロスしていることが分かります。Kenny Dorham (tp), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Butch Warren (b), Pete La Roca (ds)

5. Mimosa /Herbie Hancock from "Inventions & Dimensions" (1963)

https://youtu.be/EsKl3CF3KeA

さてヘンダーソンのデビュー盤と同じ年の63年にハンコックは3枚目のソロ・アルバム"Inventions & Dimensions"を出しますが、ラテンを大胆に取り入れた意欲作。リズムの面、ハーモニーの面両方でいかにハンコックが尖がってたかが表れています。

Paul Chambers(b), Willie Bobo (ds, timb), Osvaldo Chihuahua Martinez (congas),

6. Ritmo Bobo / Sonny Stitt from "Stitt Goes Latin"(1963)

この盤はBlue Noteではなくルースト盤ですが、ピック・アップしたのは、チック・コリアはその頃何してたか?ということで、このソニー・スティットの同じく63年のラテン盤でチックのピアノを聴くことが出来ます。ご存じの通り、チックは20歳の時にモンゴ・サンタマリアのバンドでキャリアをスタートし1962年の『Go! Mongo!』に参加しています。

Sonny Stitt(as) Willie Bobo(ds), Thad Jones(tp), Patato(congas), Chick Corea(p) , Chihuahua Martinez (bongos), Larry Gales (b)

8.Yuyo / Bobby Hutcherson from "Montara" (1975)

https://youtu.be/1GVvX6tTdwc

時代はそれから10年ちょっと経った1975年のブルーノート。ボビー・ハッチャーソンのかっこいい名盤から。ジャズ側、ラテン側、というのは本来ばかばかしいのですが、いいミックス具合が見事なサウンドを作り上げたアルバム。これもクラブでは良くかかる定番でもあります。メンバーが素晴らしい。

Bobby Hutcherson (vib,marimba)Oscar Brashear(tp), Blue Mitchell(tp),Plas Johnson(fl),Ernie Watts(ts), Fred Jackson, Jr.(ts, fl) ,Eddie Cano (p),Larry Nash(e-p),Dennis Budimir(g),Chuck Domanico(b), Dave Troncoso(b),Harvey Mason(ds),Bobby Matos(perc), Johnny Paloma(perc), Victor Pantoja(perc), Ralph MacDonald(perc), Willie Bobo(perc), Rudy Calzado(perc)

9. Moss Code / Ray Barretto and New World Spirit from "Contact" (1997)

https://youtu.be/De7UxPHlkT4

1997年にレイ・バレット(congas)がブルーノートに残したアルバムから。

Hans Glawishnig(b),Jairo Moreno (b),Ray Barretto (congas),Vince Cherico (ds),Ray Vega (perc),John Di Martino(ds),Adam Kolker(ts,ss),Michael Philip Mossman(tp,tb)

10. Lamento Cubano / Bebo Valdes Trio ftom "El Arte del Sabor" (2004)

https://youtu.be/1c5gz0HDTwo

最後は2000年代に入ってのベボ・バルデス(p)のアルバムから。

ベボ・バルデスは1918年生まれ。ディジー・ガレスピーやモンクやエラが1917年生まれですから彼らと同じ時代を生きた、つまりその時代のジャズとキューバ音楽を一体として体の中に通した世代のミュージシャンと言えますが、素晴らしく瑞々しい音を聴かせてくれます。

Israel Cachao Lopez(b), Carlos Patato Valdes (congas), Paquito D'Rivera(sax)

3月は以上です。ありがとうございました!気に入った方はぜひ「スキ」(ハートマークのクリック)をお願いします!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
鎌倉エリア以外の方は、JCBAインターネットサイマルラジオでリアルタイム聴取ができます。
鎌倉FMのウェブサイトはこちらです。トップページ右の「今すぐ聴く!」バナーをクリックしても聴くことができます。
https://www.kamakurafm.co.jp/
※お願い
この番組はJAZZを愛する出演者たちが自らスポンサーとなり、各自の手弁当で運営されています。
スポンサーとしてご協力をいただければとてもありがたいです。番組のスポンサーとなることをお考えの方は、下記にご一報頂ければご連絡さしあげますのでよろしくお願いします。
sekaijazz@gmail.com
また、このサイトの各記事に投げ銭でサポート頂くこともできます。
記事の最後に投げ銭を任意でお支払いいただく購入ボタンがあり、それとは別にお好きな金額を選んでいただけるサポートボタンもございます。
「世界はジャズを求めてる」を長く存続するために、ご助力いただければうれしく思います。(「世界はジャズを求めてる」出演者・スタッフ一同)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?