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「#世界はジャズを求めてる」2022.6月4週(6/23)『ラテン・フュージョン』eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉FM

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。ジャズ評論家の油井正一さん「ジャズはカリブ音楽の一種」と喝破されたように成り立ちから一つのラテンとジャズは、垣根を意識することなくお互いに溶け合ってきています。そんな関係のカッコいい曲をお届できればと。番組をお聴きになってラテンに興味がでた方、ラテンがお好きな方はラテン音楽Web マガジン「エル・ポップ(eLPop)」など覗いて頂けたら幸いです。(URL=http://elpop.jp

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さて6月は『ラテン・フュージョン』特集を。
1970年代くらいから「クロスオーバー」そして「フュージョン」という言葉、ジャンル(?)が出てきました。ジャズが電気楽器と使いつつロック、ソウル、ラテン、ファンクなどを取り入れた感じのものなわけですが、いや、ラテンとかもっと前からフュージョンだし、みたいなことも思います。なので、ラテン・フュージョンってなんなのよ、エレベ、ギター、ドラムス、キーボード+パーカッションだとラテン・フュージョン?って感じもありますが、あまり定義にはこだわらず、かっこいい曲をお楽しみください。

1.   Watu Wasuri/Tito Puente from “Tito Unlimited” (1974)

https://youtu.be/SLEJ7sr-dyA

ラテンディスコ/レアグルーブ的でグルーヴィーなファンキー・ラテンという感じのこの曲は16ビートが途中からハチロクになるのが面白いです。このほかにもこのアルバムはメロトロン入りの”BORINQUEN"とかディスコっぽい”MARGIE'S MOOD"とか、1974年という時代の、まだコンコード・ピカンテ・レーベルでのラテン・ジャズ路線が固まる前のティト・プエンテの面白さがあります。1970年がマイルスの『Bitches Brew』、1972年がリターン・トゥ・フォーエヴァーと来て、一方でファニア・オールスターズは『Yankee Stadium』前の『Latin-Soul-Rock』の時代。プエンテ先生がどこに行くか模索しているような感じから生まれたフロア向きの曲。

2.  Where is the love /Ralph MacDonald from “Sound of Drum”(1976)

https://youtu.be/iN6_PT1kE0I
クロスオーバ、フュージョン時代にはアフロキューバン以降、4ビートジャズでは冷遇されてた(使い方が分からなかった?)パーカッションが急にジャズサイドで復活した感がありました。その中の売れっ子代表の一人がラルフ・マクドナルド。いかにもなメンバーとの音が良い感じです。

Ralph MacDonald (congas, perc), Rick Marotta (ds), Chuck Rainey (b), Eric Gale (g), Richard Tee (p), Jean "Toots" Thielemans (harmonica), Frank Floyd (vo), Gwen Guthrie(vo), Patti Austin(vo), Raymond Simpson(vo), Vivian Cherry(vo), Zachary Sanders(vo)

3.      Lucumi, Macumba, Voodoo/Eddie Palmieri from “Lucumi, Macumba, Voodoo”(1976)

https://youtu.be/fI8rLt-PW0o
当時衝撃の一枚だった、名盤『ルクミ・マクンバ・ヴードゥー』のタイトル曲。
フランシスコ・アグアベージャやチャッキー・ロペスなどの強力なパーカッションにバディ・ウイリアムスのヘビーなドラム、アンソニー・ジャクソンやフランシスコ・センテーノのベース、そこにサンボーン(as)やジョージ・ヤング(as)、ロニー・キューバー(bs)、ジョン・ファディス(tp)、ルー・ソロフ(tp)などの怒涛の管がかぶり、スティーヴ・カーンバリー・フィナティのギターがさく裂という、ちょっとまねのできないエディ・パルミエリでこその”フュージョンです”。

Eddie Palmieri (p), Charlie Palmieri (p, org), Jorge Dalto (p), David Sanborn (as), George Young (as), Lou Orensteen (ts, fl), Ronnie Cuber (bs), Alan Rubin (tp, flh), Jon Faddis (tp, flh), Lew Soloff (tp, flh),Charlie Camilleri(tp), Steve Khan (g), Barry Finnerty (g), Francisco Centeno (g), Bobby Colomby (ds,perc, vo), Buddy Williams (ds), Francisco Centeno (b), Anthony Jackson (b), Chucky Lopez (bongos), Francisco Aguabella (congas, bata, claves), Charlie Cotto (timb), Dom Um Romao (perc, cuica, shaker), Mark Hood (perc), James Sabater* (coro), Luisito Ayala (vo), Rafael de Jesus (vo),

4.   Stone Alliance - I'll Tell You Tomorrow from “Con Amigos” (1977)

https://youtu.be/q7uNIJ10tyU
ドン・アライアス、ジーン・パーラ、スティーヴ・グロスマンで結成されたストーン・アライアンスが77年にいみなりアルゼンチンに飛んで録音した盤から。バンドネオンの出だしがしびれます。グロスマンも最高。

Don Arias (ds, perc), Gene Perla(b), Steve Grossman(ts), Daniel (bandoneon), José Maria (congas), Roberto (perc), Santiago (p)

5.      Morning Dance / Spyro Gira from “Morning Dance” (1979)

https://youtu.be/bVDZ5UY_oDw
70年代フュージョンで語らないわけにいかないスパイロ・ジャイラ。
軽快な曲調で軽くみられるかもしれませんが、皆上手い。現在も活動を続けていて、アルバムも数十枚。ラテン圏でとても人気があります。

Jay Beckenstein (as), Jeremy Wall (p), John Tropea (g), Jim Kurzdorfer (b), Ted Reinhardt (ds), Rubens Bassini (congas), Dave Samuels (marimba, steel drums)

6.      Poinsiana / Jorge Dalto & Super friends from “Rendez-vous”(1983) 

https://youtu.be/9j--wtk1wRY
1987年39歳の若さで亡くなったアルゼンチン出身、NYで活躍したホルヘ・ダルトの日本企画盤から。ソロ作品と共に、ジョージ・ベンソンの名盤『Breezin’』『In Flight』『Weekend in L.A.』やディジー・ガレスピー&マチートの『Afro-Cuban Jazz Mood』やウイリー・コロンの『Tiempo pa’ matar』なども素晴らしいです。

この曲はアンソニー・ジャクソン(b)やスティーヴ・ガッド(ds)、ジョージ・ベンソン(g)などジャズ側とカルロス・パタート・バルデス(congas)、ニッキー・マレーロ(timb)、などいわゆるラテン側が集結してますがNYでは普通なのでフュージョンとは?と覆わせてくれる作品の一つです。

Jorge Dalto (p), Anthony Jackson (b), Carlos "Patato" Valdes (congas, bata), Nicky Marrero (timb, cowbell), Steve Gadd (ds), Héctor Casanova (guiro), George Benson (g)

さて、次の最後の曲は新譜から。

7.      Bambula (To my Ancestors) /Alex “Apolo” Ayala from “Bambula” (2021) 

https://youtu.be/Z1WlQyIO1IU
プエルトリコのコンセルバトリーで学び、ロベルト・ロエナ、やヒルベルト・サンタロサ、ルイス・ペリーコ・オルティスなどのバンドでサルサのエリアで活躍するとともに、ラルフ・イリサリー(timb)やウンベルト・ラミレス(tp)、パポ・バスケス(tb)などとのジャズのエリア、またプレネーロス・デ・ラ・21などボンバ&プレーナのエリアと幅広く活躍して来たアレックス・アポロ・アヤラ(b)の新作。ボンバを取り上げているが、その骨太のベースとボンバを新鮮なアプローチでジャズの語法で聴かせてくれる、まさにフュージョンといえる快作です。

Alex "Spolo" Ayala (b), Ivan Renta (as,ss), Fernando Garcia (ds), Nelson Mateo Gonzalez (barril de Bomba), Anna Louise Andersson (vo)

6 月は以上です。ありがとうございました!気に入った方はぜひ「スキ」(ハートマークのクリック)をお願いします!
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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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